文献情報
文献番号
200834003A
報告書区分
総括
研究課題名
パーキンソン病および関連神経変性疾患の生前同意に基づく脳バンクの構築に関する研究
課題番号
H18-難治・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
久野 貞子(国立精神・神経センター病院)
研究分担者(所属機関)
- 森 秀生(順天堂大学医学部附属越谷病院)
- 有馬 邦正(国立精神・神経センター病院 第一病棟部)
- 村山 繁雄(東京都老人総合研究所)
- 佐藤 啓造(昭和大学医学部法医学教室)
- 河原 直人(早稲田大学 先端科学・健康医療融合研究機構生命医療工学研究所)
- 塚本 忠(国立精神・神経センター病院 神経内科)
- 山村 隆(国立精神・神経センター神経研究所 免疫研究部)
- 秋口 一郎(康生会 武田病院神経脳血管センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
42,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本人の生前からの同意登録を基盤とする脳バンクを創設し,脳バンク運営のモデルを
構築することが目的である.日本には脳バンクを公称する施設はわずかである.脳バ
ンクが広く国民に受け入れられるために,患者団体と連携して運営するパーキンソン
病脳バンクを構築した.現行法と倫理指針を遵守して,生前からの献脳同意登録(ド
ナー登録)と登録者の死亡時の病理解剖による脳検体の凍結保存と登録システムを開
発し,実用性を評価した.
構築することが目的である.日本には脳バンクを公称する施設はわずかである.脳バ
ンクが広く国民に受け入れられるために,患者団体と連携して運営するパーキンソン
病脳バンクを構築した.現行法と倫理指針を遵守して,生前からの献脳同意登録(ド
ナー登録)と登録者の死亡時の病理解剖による脳検体の凍結保存と登録システムを開
発し,実用性を評価した.
研究方法
死体解剖保存法と倫理指針を遵守して,脳バンクのシステムを構築し,ドナー登録者
のインフォームドコンセントを作成した.認知機能に障害がないことをドナー登録の
条件とした.また,遺族の同意を得て剖検と凍結脳検体のバンク登録と医学研究使用
を行うこととした.バンクで保存された脳検体は検体データベースで検索可能とし
た.パーキンソン病友の会と連携し市民公開講座を開催し,ニュースレターを定期的
に発行し,ドナー登録者を募集した.ドナー登録者には登録カードを発行しデータ
ベース登録した.登録者死亡時にはコーディネーターが電話連絡を受け,複数の脳バ
ンク協力病院で病理解剖を実施する体制とした
のインフォームドコンセントを作成した.認知機能に障害がないことをドナー登録の
条件とした.また,遺族の同意を得て剖検と凍結脳検体のバンク登録と医学研究使用
を行うこととした.バンクで保存された脳検体は検体データベースで検索可能とし
た.パーキンソン病友の会と連携し市民公開講座を開催し,ニュースレターを定期的
に発行し,ドナー登録者を募集した.ドナー登録者には登録カードを発行しデータ
ベース登録した.登録者死亡時にはコーディネーターが電話連絡を受け,複数の脳バ
ンク協力病院で病理解剖を実施する体制とした
結果と考察
パーキンソン病友の会と協力し市民公開講座を開催し普及啓発活動を行った結果,
H21年3月31日時点で43件の健常者を含むドナー登録があった.1例の病理解剖を行い
半脳を凍結保存した.市民公開講座では,脳バンクや病理解剖がオープンに議論され
ており,市民に脳バンクが認知されることが期待される.今後は本システムを継続し
て運営し,他の疾患に広げることが必要である.更に,全国の剖検実施病院を組織化
することで,全国のドナー登録者の死亡時に病理解剖の実施が可能となる.
H21年3月31日時点で43件の健常者を含むドナー登録があった.1例の病理解剖を行い
半脳を凍結保存した.市民公開講座では,脳バンクや病理解剖がオープンに議論され
ており,市民に脳バンクが認知されることが期待される.今後は本システムを継続し
て運営し,他の疾患に広げることが必要である.更に,全国の剖検実施病院を組織化
することで,全国のドナー登録者の死亡時に病理解剖の実施が可能となる.
結論
生前同意登録を基盤としたパーキンソン病脳バンクのシステムを構築した.献脳生前
同意登録(ドナー登録)数は43名であり,1例の病理解剖と凍結検体のバンク登録を
行った.その結果構築したシステムが十分機能することが実証された.本研究は,基
盤整備事業であり,脳バンクのモデル事業として開始された.日本が日本人の脳バン
クを構築し、日本人の脳を用いて研究を行うことは科学政策上も重要であると考えら
れる.
同意登録(ドナー登録)数は43名であり,1例の病理解剖と凍結検体のバンク登録を
行った.その結果構築したシステムが十分機能することが実証された.本研究は,基
盤整備事業であり,脳バンクのモデル事業として開始された.日本が日本人の脳バン
クを構築し、日本人の脳を用いて研究を行うことは科学政策上も重要であると考えら
れる.
公開日・更新日
公開日
2009-05-12
更新日
-