加熱式たばこなど新たなたばこ製品の成分分析と受動喫煙による健康影響の研究

文献情報

文献番号
202109053A
報告書区分
総括
研究課題名
加熱式たばこなど新たなたばこ製品の成分分析と受動喫煙による健康影響の研究
課題番号
21FA2001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
稲葉 洋平(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 牛山 明(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 高橋 秀人(国立保健医療科学院 統括研究官)
  • 伊藤 加奈江(戸次 加奈江)(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 杉田 和俊(麻布大学 獣医学部)
  • 中江 大(東京農業大学 応用生物科学 食品安全健康学科 食品安全評価学研究室)
  • 李 時桓(イ シファン)(名古屋大学 大学院 環境学研究科)
  • 戸塚 ゆ加里(日本大学 薬学部)
  • 中田 光紀(国際医療福祉大学)
  • 鳥羽 陽(長崎大学 大学大学院医歯薬学総合研究科(薬学系))
  • 中舘 和彦(明治薬科大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
24,490,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、これまでのたばこに関する研究成果(分析法、実験装置)を基盤として、加熱式たばこ等の新たなたばこ製品について、①主流煙および環境たばこ煙の成分分析および評価、②副流煙の室内でのシミュレーションと実験環境下での実測などから受動喫煙による健康影響を研究、③加熱式たばこおよび新たなたばこ製品についての評価手法を検討、④動物実験を基盤として曝露マーカー、毒性試験、⑤本研究によって開発された健康影響の評価手法に従って、加熱式たばこなど新たなたばこ製品の評価を実施し、受動喫煙防止のための施策に活用することを目的としている。
研究方法
2020-21年に新たに販売開始された加熱式たばこ製品の主流煙に含まれるタール、ニコチン、一酸化炭素、たばこ特異的ニトロソアミン類の分析を行った。さらに芳香族アミン類、多環芳香族炭化水素キノン類の主流煙の捕集・分析を行なった。その他に電子たばこ成分の分析を行なった。これまでに開発した加熱式たばこ用副流煙装置を使用してピリジン類、フラン類の分析を行なった。得られた副流煙データをもとに加熱式たばこの喫煙による呼吸特性と化学種物質の挙動特性の解析も行なった。次に動物実験では、我々が開発した動物曝露用の喫煙装置を使用して、装置の妥当性を評価した。
結果と考察
初年度は,2020から21年に販売開始された加熱式たばこ銘柄の主流煙タール、ニコチン、一酸化炭素、たばこ特異的ニトロソアミン類(TSNAs)の分析とたばこ葉のニコチン、TSNAsが検出された。さらに、発がん性物質のo-トルイジン、4-アミノビフェニルが含まれる芳香族アミン類、さらには多環芳香族炭化水素キノン類、揮発性のある水銀も定量された。これらの有害化学物質も加熱式たばこの主流煙に含まれていた。次に、電子たばこの粒径分布ごとの成分調査、長期使用による有害化学物質の発生など新たな知見が得られた。加熱式たばこ副流煙にもフラン類、ピリジン類が確認された。これらの基礎データをもとに、加熱式たばこの喫煙による呼吸特性と化学種物質の挙動特性の解析に適用し、加熱式たばこ専用室でのたばこ成分の流れ、受度喫煙者の曝露評価を進めた。
動物実験では、我々が開発した動物ばく露装置について実際にマウスに加熱式たばこをばく露して装置としての妥当性を検証した。次に、装置を用いて加熱式たばこの健康ハザードの同定を目的とした生理学的評価、組織学的評価を行った。本装置を用いてマウスにIQOS主流煙をばく露したところ、肺胞マクロファージ(AM)内の還元型GSH濃度の減少を伴う酸化ストレス応答が発生していること、およびAMの泡沫化が起きることが示された。引き続き、遺伝毒性、病理組織学的解析なども曝露期間を調整して評価を再度行っていく。
結論
加熱式たばこ、電子たばこ主流煙の捕集・分析を行なったところ、多くの有害化学物質が定量された。さらに加熱式たばこの最近の傾向として主流煙ニコチン量が1 mg/stickとなっていた。2014年の販売当初は、ニコチン量が低い製品も販売されていたが、ニコチン量が足りないと喫煙者の満足感が得られなかったのか、高ニコチン量の製品の販売が主体に変化している。ニコチン量が多いと禁煙することは難しいと考えられるので、加熱式たばこの使用が使用者にとってメリットはないと考える。また、副流煙成分も確認されていることから、飲食可能な専用室ではたばこ煙の曝露はあると考えられた。今後は、より分析結果を蓄積していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2022-12-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-12-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202109053Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
25,000,000円
(2)補助金確定額
24,885,000円
差引額 [(1)-(2)]
115,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 18,127,447円
人件費・謝金 5,493,398円
旅費 142,712円
その他 612,670円
間接経費 510,000円
合計 24,886,227円

備考

備考
自己資金1,227円

公開日・更新日

公開日
2023-02-10
更新日
-