検診情報と栄養情報の標準的なデータ項目・様式・交換方式をFHIR準拠仕様として開発する研究

文献情報

文献番号
202109051A
報告書区分
総括
研究課題名
検診情報と栄養情報の標準的なデータ項目・様式・交換方式をFHIR準拠仕様として開発する研究
課題番号
21FA1014
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(東京大学 医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 志保子(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉)
  • 利光 久美子(愛媛大学医学部附属病院 栄養部)
  • 中島 直樹(国立大学法人九州大学 大学病院)
  • 古井 祐司(東京大学 未来ビジョン研究センター)
  • 野口 貴史(国立成育医療研究センター 情報管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
5,667,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、次世代医療情報標準FHIRによる健康医療情報の流通の効率化を目指して、①自治体各種検診結果、②栄養状態評価、栄養管理、栄養管理と栄養食事指導等におけるデータに関して、その収集・管理・活用から標準的なデータ項目、様式、交換方式をFHIRに準拠した仕様として策定し、それを用いた収集・管理・活用収集等において、健診・特定保健指導、医療、介護がFHIRベースで情報連携できる方策と残る課題を検討する。
研究方法
①自治体各種検診結果報告書のFHIR仕様:自治体検診に係るPHRへの対応を踏まえたHL7CDA標準様式をベースとしたFHIR 仕様を策定することとした。基底仕様にはFHIR R4に修正を加えたVer. 4.0.1(Oct-30, 2019)を採用した。また、FHIR仕様策定の方針は、2022年3月に厚生労働省標準規格となった、日本医療情報学会健康診断結果報告書FHIR記述仕様 第1版の方針、文書体裁を踏襲した。② 栄養情報の標準化:栄養管理、栄養食事指導時の栄養情報は、資料1「データ整理のための標準的な栄養管理フローの確認」を考え方の基本として、診療報酬に定められる栄養情報と今後、栄養の重要性が増す中で求められる情報を整理した。栄養データは、項目の必須・選択の位置づけ、項目の分類を大分類・中分類、XML表示名、データスタイルとしてまとめた。以上の整理結果を、FHIRリソースとFHIR要素(FHIR path記述)を対応づけ課題を整理した。
結果と考察
自治体検診結果報告書HL7 FHIR記述仕様 第1版を作成し、暫定的に公開した。仕様書だけでなくprofileを記述し実際にサンプルデータをvalidationする実証も実施した。栄養データは、分担報告書表1「栄養データ項目とデータスタイル」に示す通りである。必須 495項目、選択 93項目、全588項目となり、大分類は、食事箋、栄養指導箋、入院診療計画書、栄養管理計画書、栄養治療実施計画 兼 栄養治療実施報告書、看護及び栄養管理等に関する情報(2)、緩和ケア実施計画書の7つに設定された。
栄養情報の標準化では、電子カルテの標準化ならびに健診・医療・介護情報の連結を意識し、栄養データの普及とともに、個々人の栄養評価・改善に寄与するものと考えられる。また、生活習慣病に伴う過栄養や偏食、低栄養やフレイル、サルコペニアの状態等、身体状況、疾病等の情報をから栄養情報の活用ができ、国のデータベースに蓄積することである。更には、診断やアレルギーコード等とともに国際コードに繋げるきっかけとなり、世界に通用する栄養情報への発展にも繋がるものと考える。 
結論
自治体検診のFHIR準拠仕様とそのprofileを作成し暫定公開した。validationを自動的に行なうためのprofileを作成が重要であるが、検査結果やその単位記述までvalidationできるようにするには効率的なprofileを記述する上では、外部terminology serverの利用方法とともに検討の課題が残されている。栄養情報の標準化は、栄養の普及に大きく繋がるものであり、健診・医療・介護の情報利活用とともに、国民一人ひとりの健康増進、疾病予防・重症化予防、介護予防・重度化予防に寄与することができる。FHIR準拠の仕様を策定するにはリソースマッピングの観点からさらなる分析が必要である。

公開日・更新日

公開日
2022-10-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-10-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202109051C

成果

専門的・学術的観点からの成果
自治体検診のFHIR準拠仕様とそのprofileが作成され、8種類の検診について検診情報が次世代標準のFHIRで記述できるようになったことは、学術的、国際的にも重要なステップである。栄養情報の標準化は、栄養の普及に大きく繋がるものであり、健診・医療・介護の情報利活用とともに、国民一人ひとりの健康増進、疾病予防・重症化予防、介護予防・重度化予防に寄与することができる。FHIR準拠の仕様を策定するにはリソースマッピングの観点からさらなる分析が必要であることも指摘できた。
臨床的観点からの成果
がん検診の結果情報が次世代標準FHIRで収集できるようになると、他の臨床データとの統合データベース解析は将来効率的に実施できるようになる。栄養情報も同様にFHIRで収集、流通できるようになる契機となり、他の臨床情報との統合的な解析が可能となる。
ガイドライン等の開発
自治体検診、栄養情報ともにFHIR仕様の策定が進めらて、特に自治体検診の仕様はすでにドラフトとして公開できた。今後、厚労省標準に認定するステップにはいれるようさらに精緻化を進めるきっかけとなった。
その他行政的観点からの成果
ヘルスデータ改革においても、検診や栄養情報のディジタル化に伴う次世代FHIR標準化が計画されており、これを見据えた今回のFHIR仕様の策定や検討が、今後の医療のディジタル化やヘルスデータ改革に重要な構成要素となることが期待される。
その他のインパクト
特定健診や保健指導と同様に、自治体検診や栄養情報がFHIRで蓄積されるようになると、FHIRの簡便なインタフェイスを活用してスマホアプリなどでも自己情報の参照ができるようになるインフラの構築が期待される。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
自治体検診FHIR仕様書ドラフトのWeb公開(https://jpfhir.jp/eMunicipalCheckup/output/index.html)

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-11-16
更新日
-

収支報告書

文献番号
202109051Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,367,000円
(2)補助金確定額
6,946,000円
差引額 [(1)-(2)]
421,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 846,480円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 4,400,000円
間接経費 1,700,000円
合計 6,946,480円

備考

備考
自己資金480円

公開日・更新日

公開日
2022-12-05
更新日
-