筋萎縮性側索硬化症・認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症・ユビキチン化封入体を伴う前頭側頭型認知症死後脳脊髄資源の構築

文献情報

文献番号
200833074A
報告書区分
総括
研究課題名
筋萎縮性側索硬化症・認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症・ユビキチン化封入体を伴う前頭側頭型認知症死後脳脊髄資源の構築
課題番号
H20-こころ・一般-024
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
村山 繁雄(財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団 東京都老人総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 治彦(東京都精神医学総合研究所)
  • 清水 潤(東京大学大学院医学系研究科神経内科)
  • 齊藤 祐子(財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団 東京都老人総合研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋萎縮性側索硬化症(ALS)・認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症(ALSD)・ユビキチン陽性封入体を伴う前頭側頭型認知症(FTLDU)を、原発性TDP43蛋白蓄積症と定義し、その死後脳脊髄資源を構築すると同時に、その全貌を明らかにすることと研究目的とする。
研究方法
ALS/ ALSD/ FTLDUと診断された症例を、抗TDP43抗体免疫染色でスクリーニングし、原発性TDP43蛋白蓄積症と診断される例を抽出、その臨床・病理学的特徴とゲノム背景を明らかにする。そのために、蓄積機序を明らかにし、スクリーニングに最も適した抗体の作成を試みた。作成した抗体中最適と判断された抗体を用い、高齢者連続剖検例の脳・脊髄を網羅的に検索し、同時に凍結資源を確保することで、TDP43蛋白蓄積症の全貌と、研究資源の確保を行う。
結果と考察
 TDP43蛋白蓄積の機序として、N末がプロセスされ、C末がリン酸化を受け、次いでユビキチン化が起きる機序を明らかにした。その結果、スクリーニング抗体として、最C末のリン酸化部位に対する抗体(Pser 409/410 monoclonal)が最適であることを明らかにした。Pser409/410 monoclonal抗体よるスクリーニングで、ALS/ ALSD/ FTLDUと診断されていた既往例で陰性であったのは、SOD1変異家族性ALS例と、好塩基封入体を伴う若年性ALS例のみであった。また、FTLDUにも前頭側頭型認知症(FTD)にも属さない老年期認知症で、原発性TDP43蛋白蓄積症と考えられる症例が2例、前方視的検討より抽出された。脊髄資源としては、原発性TDP43蛋白蓄積症14例、脳を含めTDP43蛋白蓄積を全く認めない正常コントロールとして、18例が確保できた。原発性TDP43蛋白蓄積症と診断された例に、TDP43遺伝子解析を行ったが、遺伝子異常は検出されなかった。
結論
原発性TDP43蛋白蓄積症として、翻訳後異常修飾による蓄積機構を明らかにした。また、最適スクリーニング抗体を用いることで、原発性TDP43蛋白蓄積症の臨床スペクトラムは、ALS/ FTDの範疇を超える可能性が示された。脊髄資源の構築は、TDP43遺伝子変異例の表現形がALSである点よりは、必須であり、今年度研究に必要な一定数を確保することが出来た。

公開日・更新日

公開日
2009-04-13
更新日
-