文献情報
文献番号
202109037A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模災害時における避難所等での適切な食事の提供に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20FA2001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
須藤 紀子(お茶の水女子大学 基幹研究院)
研究分担者(所属機関)
- 笠岡 宜代(坪山 宜代)(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター)
- 島田 郁子(高知県立大学 健康栄養学部)
- 佐藤 慶一(専修大学 ネットワーク情報学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
8,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
研究①:当研究班が令和2年度の研究において改定した「避難所における栄養の参照量」(以下、改定参照量)及びその活用ツールであるQ&Aについて、行政職員から意見を聴取し、さらなる改定が必要かどうかを確認する。
研究②:厚生労働省が令和2年に公表した「大規模災害時に備えた栄養に配慮した食料備蓄量の算出のための簡易シミュレーター」(以下、シミュレーター)を改良し、「栄養に配慮した備蓄と食事計画シミュレーター」(以下、改訂版シミュレーター)を作成する(分担研究:佐藤慶一)。
研究③:実際に避難所で提供されていた料理や食品を組み合わせて、災害時にも提供可能な改定参照量を満たす献立を考案し、これをもとに改訂版シミュレーターの「1日の食事計画シート」を作成する。
研究④:行政職員に改訂版シミュレーターを試用してもらい、グループインタビューにより、適切に改良されているかどうかを確認する。
研究⑤:避難所食事調査の方法(簡易評価と写真法の妥当性、必要調査日数)について検討する。
研究⑥:災害時の食材調達の困難さを想定した改定参照量を満たす弁当献立を考案する(分担研究:島田郁子)。
研究⑦:弁当業者から聞き取りを行い、栄養に配慮した弁当提供に関する協定締結と発災後に弁当の内容を改善する際の障害等を明らかにする。
研究⑧:炊き出し団体から聞き取りを行い、炊き出しにおける要配慮者対応の可否についてたずねるとともに、当研究班で考案した栄養に配慮した炊き出し献立が実際に調理可能なものになっているかどうかを確認する。
研究⑨:日本災害食認証商品の栄養価データベースを作成する(分担研究:笠岡(坪山)宜代)。
研究②:厚生労働省が令和2年に公表した「大規模災害時に備えた栄養に配慮した食料備蓄量の算出のための簡易シミュレーター」(以下、シミュレーター)を改良し、「栄養に配慮した備蓄と食事計画シミュレーター」(以下、改訂版シミュレーター)を作成する(分担研究:佐藤慶一)。
研究③:実際に避難所で提供されていた料理や食品を組み合わせて、災害時にも提供可能な改定参照量を満たす献立を考案し、これをもとに改訂版シミュレーターの「1日の食事計画シート」を作成する。
研究④:行政職員に改訂版シミュレーターを試用してもらい、グループインタビューにより、適切に改良されているかどうかを確認する。
研究⑤:避難所食事調査の方法(簡易評価と写真法の妥当性、必要調査日数)について検討する。
研究⑥:災害時の食材調達の困難さを想定した改定参照量を満たす弁当献立を考案する(分担研究:島田郁子)。
研究⑦:弁当業者から聞き取りを行い、栄養に配慮した弁当提供に関する協定締結と発災後に弁当の内容を改善する際の障害等を明らかにする。
研究⑧:炊き出し団体から聞き取りを行い、炊き出しにおける要配慮者対応の可否についてたずねるとともに、当研究班で考案した栄養に配慮した炊き出し献立が実際に調理可能なものになっているかどうかを確認する。
研究⑨:日本災害食認証商品の栄養価データベースを作成する(分担研究:笠岡(坪山)宜代)。
研究方法
研究①④:令和3年9~11月に、被災地行政栄養士12名、被災経験のある自治体または首都直下地震や南海トラフ巨大地震被害想定自治体の防災担当職員9名、栄養士配置のない市町村の保健師2名を対象にグループインタビューを行った。
研究②③⑤:令和2年7月豪雨で被災した熊本県内の12避難所で提供された食事調査データを解析した。
研究⑥⑦:令和4年1月に、南海トラフ巨大地震の被害が想定されている某県の弁当製造・販売業者5社を対象に調査を実施した。
研究⑧:令和3年12月~令和4年1月に炊き出し団体6団体にインタビューを行った。
研究⑨:令和3年11月4日~11月10日時点で日本災害食学会のホームページに掲載されていた認証商品情報のうち離乳食や炊き出し用等を除外した認証商品(n=129)を抽出し、それぞれの商品の栄養価情報をインターネットで調査した。
研究②③⑤:令和2年7月豪雨で被災した熊本県内の12避難所で提供された食事調査データを解析した。
研究⑥⑦:令和4年1月に、南海トラフ巨大地震の被害が想定されている某県の弁当製造・販売業者5社を対象に調査を実施した。
研究⑧:令和3年12月~令和4年1月に炊き出し団体6団体にインタビューを行った。
研究⑨:令和3年11月4日~11月10日時点で日本災害食学会のホームページに掲載されていた認証商品情報のうち離乳食や炊き出し用等を除外した認証商品(n=129)を抽出し、それぞれの商品の栄養価情報をインターネットで調査した。
結果と考察
研究①:改定参照量が被災地の状況を考慮した、達成しやすい値になったことが確認できた。『新しい「避難所における栄養の参照量」Q&A』(総合研究報告書:成果物1)に掲載した改定参照量を満たす献立例は参考になると評価された。
研究②~④:改訂版シミュレーターは使いやすく改良されていることが確認できたが、グループインタビューで得られた新たな意見をもとにさらに改良を加え、「栄養に配慮した備蓄と災害発生後の食事シミュレーター」(三訂版シミュレーター)と使用の手引き(総合研究報告書:成果物2)を作成した。
研究⑤:研究代表者らが開発した「避難所食事状況調査票」のチェック回答や写真法の妥当性、秤量法の必要調査日数について、Q&Aに盛り込んだ。
研究⑥⑦:栄養に配慮した弁当提供に関する災害協定を締結するうえでの障害として、モデル献立に含まれる食材の準備、弁当業者が行政の担当者・窓口を知らない、大学生協が市区町村と災害協定を締結するためには大学の承認が必要という3点が明らかになった。また、発災後に弁当の内容を変更する際は、弁当に貼るシールの栄養成分表示と食材調達が障害になることが分かった。
研究⑧:要配慮者対応が可能な団体の特徴を明らかにするとともに、聞き取り結果をもとに「栄養素等供給量を考慮した災害時レシピ集」を作成した(総合研究報告書:成果物3)。
研究⑨:災害時に栄養補給として重要である災害食において、「避難所における栄養の参照量」の含有量が表示されている商品は極めて少ないことが明らかとなった。
研究②~④:改訂版シミュレーターは使いやすく改良されていることが確認できたが、グループインタビューで得られた新たな意見をもとにさらに改良を加え、「栄養に配慮した備蓄と災害発生後の食事シミュレーター」(三訂版シミュレーター)と使用の手引き(総合研究報告書:成果物2)を作成した。
研究⑤:研究代表者らが開発した「避難所食事状況調査票」のチェック回答や写真法の妥当性、秤量法の必要調査日数について、Q&Aに盛り込んだ。
研究⑥⑦:栄養に配慮した弁当提供に関する災害協定を締結するうえでの障害として、モデル献立に含まれる食材の準備、弁当業者が行政の担当者・窓口を知らない、大学生協が市区町村と災害協定を締結するためには大学の承認が必要という3点が明らかになった。また、発災後に弁当の内容を変更する際は、弁当に貼るシールの栄養成分表示と食材調達が障害になることが分かった。
研究⑧:要配慮者対応が可能な団体の特徴を明らかにするとともに、聞き取り結果をもとに「栄養素等供給量を考慮した災害時レシピ集」を作成した(総合研究報告書:成果物3)。
研究⑨:災害時に栄養補給として重要である災害食において、「避難所における栄養の参照量」の含有量が表示されている商品は極めて少ないことが明らかとなった。
結論
シミュレーターの改訂を2回行い、最終成果物である「栄養に配慮した備蓄と災害発生後の食事シミュレーター」と使用の手引き(成果物2)を完成させた。
Q&A(成果物1)に掲載した改定参照量を満たす食品の組み合わせ例は、栄養素量で示された参照量を食品に置き換えたことにより、参照量を他職種でも活用できるようにするために有用であることが確認できた。
「栄養素等供給量を考慮した災害時レシピ集」(成果物3)と弁当献立(分担研究報告書:島田郁子)は、炊き出し団体と弁当業者からのフィードバックをもとに改良を加えた。
Q&A(成果物1)に掲載した改定参照量を満たす食品の組み合わせ例は、栄養素量で示された参照量を食品に置き換えたことにより、参照量を他職種でも活用できるようにするために有用であることが確認できた。
「栄養素等供給量を考慮した災害時レシピ集」(成果物3)と弁当献立(分担研究報告書:島田郁子)は、炊き出し団体と弁当業者からのフィードバックをもとに改良を加えた。
公開日・更新日
公開日
2024-11-29
更新日
-