我が国における公衆衛生学的観点からの健康診査の評価と課題

文献情報

文献番号
202109034A
報告書区分
総括
研究課題
我が国における公衆衛生学的観点からの健康診査の評価と課題
課題番号
20FA1021
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
和田 高士(東京慈恵会医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 平井 都始子(奈良県立医科大学附属病院 総合画像診断センター)
  • 祖父江 友孝(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 社会医学講座環境医学)
  • 立道 昌幸(東海大学医学部)
  • 中野 匡(東京慈恵会医科大学)
  • 加藤 公則(新潟大学大学院医歯学総合研究科生活習慣病予防検査医学講座)
  • 杉森 裕樹(大東文化大学 スポーツ・健康科学部看護学科)
  • 後藤 励(慶應義塾大学 経営管理研究科)
  • 川野 伶緒(広島大学 病院広島臨床研究開発支援センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
9,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
課題名「我が国における公衆衛生学的観点からの健康診査の評価と課題」の下で,①健康診査の制度について諸外国の制度(健診項目、実施主体、費用、対象年齢、検査頻度、精度等)との比較を行い,健康診査による集団の健康や費用対効果に関する報告をレビュー。②国内で行われている健康診査の現状(健診項目,実施主体,費用,対象年齢,検査頻度,精度等)の調査。③各健診・検診項目について,医学的効果や社会・経済学的効果を評価・整理を通じて,将来の健康診査制度の在り方の基礎資料を作成することを目的とする。
研究方法
本研究では法定外健診の代表である人間ドックに照準にあて,その評価と課題を検討した。人間ドックの内容は法定健診である特定健康診査,事業主健診,がん検診の項目を包括している。令和3年度(2年目)は、①国内外の健康診査の調査として、国内の健康機関の調査、国際的学術団体による日本の人間ドック検査項目の評価を行った。②精度管理の観点から、診察時の聴診、婦人科検査を調査した。③医学的効果や社会・経済学的効果の評価として、判定区分、乳房検診判定マニュアルの策定、人間ドック受診者の治療状況、人間ドック受診者の主観的健康感を検証した。
結果と考察
①国内の健康機関の調査から、47都道府県別の検討で、人口の少ない県では人口100万当たりの健診機関数のばらつきが多く、アクセスの観点で課題があると考えられた。国際的学術団体による人間ドック検査項目に対して多くの項目で推奨しない、制限を設けていることが明らかとなった。②精度管理の観点から、絶対性不整脈である心房細動例で、診察時の心拍不整指摘率は、人間ドック健診専門医は非専門医よりも高率であり、機能評価認定施設であれば非専門医でも高率であった。細胞診採取とHPV検査導入について、アンケート調査を行ない、受診者への説明、システムとしての精度管理の改善、HPV検査による検診実施の準備が必要であることが明らかとなった。③医学的効果や社会・経済学的効果の評価として、受診者行動を明確にする人間ドック判定区分の改訂を行った。乳がんにおける任意型検診では、超音波検査が実施されることから、またマンモグラフィ検査との併用時の判定に関する判定マニュアルを策定した。人間ドック受診者では、国民に比べ、人間ドックで実施する検査項目に関する治療率が高率であった。人間ドックと治療する医療との連携と推察された。人間ドック受診者の主観的健康感は、国民に比べ良好であり、加齢による悪化するにもかかわらず、人間ドック受診年数が伸びるほどその悪化は防止できていた。
結論
い県で、人口当たりの施設数のばらつきが多かった。人口の少ない県ではアクセスしにくい課題が浮き彫りにされた。人間ドックでは検査項目数が多いことが優れていると勘違いしている国民が少なくない。日本人間ドック学会の定める基本検査項目について、国際的学術団体にスクリーニングとしての医学的評価状況について調査した。その結果、人間ドック検査項目における多くの項目で推奨しない、制限を設けていることが明らかとなった。今後、価値のない検査を明らかにし、公表していくことが大切である。
②精度管理の観点では、人間ドックでの診療の質の観点から、心房細動例での聴診における心拍不整指摘率について検証した。日本人間ドック学会と日本総合健診医学会が認定する人間ドック健診専門医の心拍不整指摘率は、日本循環器学会認定循環器専門医と同レベルであった。非専門医の指摘レベルは有意に低かった。しかし非専門医であっても、日本人間ドック学会認定の機能評価認定施設では、高い診断率であった。人間ドックの質は、健診施設としては機能評価認定、また医師個人としては人間ドック健診専門医を取得することが肝要と考えられた。
③医学的効果の評価として、日本人間ドック学会での判定区分を、人間ドック受診者行動に基づいた判定区分名称に変更した。乳房検診判定マニュアルの策定し、今後の普及が待たれる。人間ドック受診者の治療状況調査から、一般国民に比べ人間ドック受診者では高い治療率が確認できた。人間ドックでの対面での受診勧奨が効果を生み出していると考えられた。また人間ドック長期間受診者での主観的健康感の良好な保持が確認された。人間ドックで疾病の芽を摘み、障害のない健康的生活の持続が、主観的健康感を維持させていると考えられた。尿糖を多量排泄させるSGLT-2阻害薬上市により、健診における尿糖検査のspecificity、false positive rate、positive predictive valueは大きく悪化した。健診においては、尿糖検査の実施意義は今後低くなると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2022-10-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202109034Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,000,000円
(2)補助金確定額
12,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,037,310円
人件費・謝金 0円
旅費 111,860円
その他 5,151,069円
間接経費 2,700,000円
合計 12,000,239円

備考

備考
自己資金239円

公開日・更新日

公開日
2022-11-17
更新日
-