福山型筋ジストロフィーおよび類縁疾患のユニークな治療法開発と病態解明

文献情報

文献番号
200833066A
報告書区分
総括
研究課題名
福山型筋ジストロフィーおよび類縁疾患のユニークな治療法開発と病態解明
課題番号
H20-こころ・一般-016
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
戸田 達史(大阪大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 遠藤 玉夫((財)東京都高齢者研究・福祉振興財団)
  • 松村 喜一郎(帝京大学 医学部)
  • 砂田 芳秀(川崎医科大学 医学部)
  • 鈴木 友子(国立精神・神経センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
治療研究を主眼とし、福山型筋ジストロフィー(FCMD)を中心とし、FCMDモデル細胞とモデル動物を用いて、LARGEによる酵素補充治療、基底膜異常に着目した細胞移殖治療、AAV遺伝子治療など、ユニークな治療実験を行って、臨床応用可能な治療法を確立し、臨床試験への道筋を目指す。
研究方法
1)レトロトランスポゾンによる発症機序の解明2)抗フクチン抗体を用いた解析3)FCMDと類縁疾患モデルマウスにおける糖鎖異常4)POMGnT1活性変化の検出方法の開発5)ゼブラフィッシュO-Man転移酵素の解析6)Large蛋白質を用いた新規治療法の開発7)Adeno-MyoD-GFP-MEF細胞のジストロフィン陽性筋細胞へのin vitro分化8)MyoD導入GFP-MEF細胞の筋線維へのin vivo分化9)POMGnT1欠損マウスを用いたα-dystroglycanの中枢神経系及び骨格筋での機能解析
結果と考察
FCMDの発症機序は当初推定されていたmRNA不安定化ではない。内在性fukutinを検出する抗体を作成でき、異常fukutinをはじめて検出した。レトロトランスポゾン変異をもつfukutinノックインマウスを作出し、POMGnT1 KOマウスとともに、α‐DGの糖鎖異常を認めた。LARGE遺伝子導入により、α‐DGの糖鎖とラミニン結合能の増強が観察された。fukutinコンディショナルKOマウスを作出し、糖鎖異常と病態を示すことを確認した。α-ジストログリカンにおけるMan末端糖鎖の定量法を確立し、α-ジストログリカンの糖鎖変化の簡易解析法の可能性を示した。ゼブラフィッシュのO-Man転移酵素zPOMT1、zPOMT2を同定し、複合体形成による活性発現機構が種を越えて保存されていた。Large Tgマウスを作出し、Largeによる-DGの機能修復がin vivoにおいても安全かつ確実に生じていた。マウス胎生線維芽細胞にMyoDを導入しin vitroでもin vivo でも筋細胞に分化させた。POMGnT1 KOマウスを作出し、a-DGの糖鎖修飾が異常であったが、筋変性•壊死は目立たず、-筋衛星細胞では細胞増殖能が低下していた。
結論
福山型筋ジストロフィーおよび類縁疾患のユニークな治療法開発をめざして、さまざまな病態解析と治療開発の研究をおこなった。

公開日・更新日

公開日
2009-04-13
更新日
-