「健康な食事」の基準の再評価と基準に沿った食事の調理・選択に応じた活用支援ガイドの開発

文献情報

文献番号
202109025A
報告書区分
総括
研究課題名
「健康な食事」の基準の再評価と基準に沿った食事の調理・選択に応じた活用支援ガイドの開発
課題番号
20FA1009
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
林 芙美(学校法人香川栄養学園女子栄養大学 栄養学部 食生態学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 新開 省二(女子栄養大学 栄養学部)
  • 石原 淳子(麻布大学 生命・環境科学部 食品生命科学科)
  • 赤松 利恵(お茶の水女子大学 基幹研究院)
  • 柳沢 幸江(和洋女子大学 家政学部)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 三石 誠司(宮城大学 食産業学群)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
5,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康寿命の延伸にむけた「健康な食事」のあり方と健康アウトカムとの関連を検討し,健康で持続可能な食生活の実現に向けた活用支援ガイドを作成することを目的とした。
研究方法
課題1:日本人の食事摂取基準(2020年版)に基づく「健康な食事」の基準の再評価
日本人の食事摂取基準(2020年版)及び令和元年国民健康・栄養調査結果を使用し,線形計画法(食事最適化法)を用いて,性・年齢階級別に,食事摂取基準を満たす食品サブグループ別摂取重量(最適化値)を試算した(横山)。
課題2:「健康な食事」の基準に沿った食事と健康アウトカム,フレイルとの関連の検討
1)JPHC研究データ(約500名)を用いて「健康な食事」スコアを算出し,FFQを用いて算出したスコアの妥当性・再現性を検証した(石原,他)。2)高齢者の統合コホートデータ(約1,000名)を用いて横断的に「健康な食事」とフレイル・サルコペニアとの関連を検討した(新開,他)。
課題3:「健康な食事」の基準に沿った活用支援ガイド・普及教材の開発
支援ガイド開発に向けて,次の5点を検討した。1)コンビニエンスストアの弁当・惣菜等(以下,中食)の栄養学的特徴を把握するために文献調査と買い上げ調査を実施した(林,他)。2)「健康な食事(以下,スマートミール)」を二次利用し,一食あたりの窒素フットプリント(NF)と食品群構成を検討(赤松,他)し,3)食塩相当量・食塩濃度に影響する料理レベル・メニューレベルの特性を把握した(柳沢)。4)環境に配慮した食事づくりの関連文献を検索し,5)成人男女2,400名を対象にWEB調査を行い環境に配慮した食事づくり行動の実態を把握した(林,他)。
課題4:持続可能な食事の視点で「健康な食事」の基準を検討
文献や各種データ等を分析し,①過去の日本の飢饉発生頻度,②フードシステムの観点から見た食料の基本的需給と生産構造の変化,③国際情勢の変化による人為的影響を検討した(三石)。
結果と考察
課題1:「健康な食事」の基準を作成するための計算プログラムを作成し,2015年の「健康な食事」と同様の値が計算可能となった。課題2:JPHCのFFQを用いて推定した「健康な食事」スコアの妥当性・再現性が確認された。また,「健康な食事」スコアが高くなるほど高齢者のサルコペニアの出現リスクが有意に低下した。課題3:中食で「健康な食事」基準を満たす商品は限られ,複数品組み合わせるには食塩が過剰となった。NFが低いスマートミールは魚介類など肉類以外のたんぱく質源を主菜としていた。主食が白飯で酸味・辛味を使用する料理の方が食塩濃度は低かった。調理パターン別に推奨可能な環境に配慮した行動を明らかにすることができた。課題4:「持続可能」な形で「健康な食事」を提供するためには,栄養学的観点で食事の基準を検討するだけでなく,食事そのものが提供されるまでの諸々の周辺条件(素材の生産,加工,調達,流通)などを同時に考慮していく必要性が示唆された。
結論
「健康な食事」の基準の再評価においては,より現実的な摂取重量にするための調整は必要だが,2015年の基準と同様の計算プログラムが完成した。健康アウトカムとの関連については,高齢者を対象とした横断的な検討において,「健康な食事」とサルコペニアに関連が示された。その他の健康課題も含めて,引き続き検討を行う。また,スマートミールの分析や文献調査,質問紙調査を通じて,「健康な食事」を普及するための支援ガイドの作成に必要な食物レベル・料理レベルの特性を明らかにし,さらに推奨可能な環境に配慮した食事づくり行動を明らかにすることができた。「持続可能」な形で「健康な食事」を提供するためには,栄養学的観点で食事の基準を検討するだけでなく,食事そのものが提供されるまでに関係する諸々の周辺条件などを同時に考慮していく必要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2022-11-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-11-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202109025Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,000,000円
(2)補助金確定額
6,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 766,573円
人件費・謝金 2,156,143円
旅費 66,862円
その他 2,210,721円
間接経費 800,000円
合計 6,000,299円

備考

備考
自己資金299円。

公開日・更新日

公開日
2022-11-09
更新日
-