文献情報
文献番号
202109008A
報告書区分
総括
研究課題名
健康への関心度による集団のグルーピングと特性把握ならびに健康無関心層への効果的な介入手法の確立
課題番号
19FA1011
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
福田 吉治(帝京大学 大学院公衆衛生学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 石川 ひろの(帝京大学 医学部)
- 近藤 尚己(京都大学 大学院医学研究科 社会疫学分野)
- 林 芙美(学校法人香川栄養学園女子栄養大学 栄養学部 食生態学研究室)
- 田淵 貴大(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター がん対策センター疫学統計部)
- 甲斐 裕子(公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所)
- 渋谷 克彦(帝京大学 大学院公衆衛生学研究科)
- 金森 悟(帝京大学 大学院 公衆衛生学研究科)
- 加藤 美生(帝京大学大学院公衆衛生学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
7,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、健康寿命の延伸、疾病予防、健康増進を目的に、特に健康無関心層に対して効果的な介入を実施するため、(1)健康関心度に応じたグルーピングとその特性の把握、(2)健康への関心度の概念の整理と定義づけ、定量化指標(健康関心度尺度(仮称))の開発、(3)先行研究のレビューによる、健康無関心層を中心とした集団の特性に応じた具体的で効果的な介入手法の検討、(4)健康無関心層も含めた疾病予防・健康づくりの推進に向けた取組の提案することを目的とする。
研究方法
各担当分野において、「ナッジ理論の応用パイロット事業とポピュレーションアプローチの類型化」(研究Ⅰ)、「健康関心度尺度の開発に向けた研究」(研2)、「コミットメント効果等を狙いとした職域保健プログラム「健診戦」における職位や雇用形態による効果の相違の分析」(研究3)、「コロナ禍における食生活への関心度の変化に関連する要因の検討」(研究4)、「紙巻きタバコ喫煙者における禁煙関連イベントの認知度・禁煙関連キャンペーンへの曝露と翌年の禁煙状況との関連」(研究5)、「行動経済学を応用した体を動かす人を増やす研究」(研究6)、「生活習慣病への「低関心・高習慣群」と「高関心・低習慣群」を対象としたマルチメディアキャンペーンのデザイン」(研究7)を行った。
結果と考察
研究1では、ナッジ理論の応用パイロット事業の実施を行い、ポピュレーションアプローチの類型化として、健康への関心度により集団を3層に分け、それぞれのリスクの低下の程度により、ポピュレーションアプローチの4つの類型を提示した。研究2では、英語版健康関心度尺度として、日本語版と同様の12項目、理論的範囲は12-48、下位尺度は、健康への意識、健康への意欲、健康への価値観の3因子であった。研究3では、プログラム参加群では非参加群に比べてBMI、体重、腹囲いずれでも検査値に改善がみられ、その改善度合いに職位による差はみられなかった。研究4では、生活への関心度の変化は、性別,婚姻状況,就業状況,暮らし向き,およびコロナ前の暮らし向きに有意な群間差が示された。さらに,食生活の優先度では,年齢層および世帯収入にも有意な群間差が示された。研究5では、禁煙関連キャンペーンへの曝露と翌年の禁煙達成については、禁煙支援書籍の読書経験にのみ有意な関連が見られ、禁煙支援書籍の読書経験があると、ない場合と比べて1.4倍禁煙達成に至りやすいという結果が得られた。研究6では、運動習慣者と非習慣者では遅延価値割引率や神経症傾向に有意差が認められ、先行研究において考慮されていた対象者特性は、年齢、性別、肥満度等であった。研究7では、キャンペーン目的を達成するためのメディア活動を、社会心理学的、コミュニケーション学、マーケティングで提唱される理論やモデルに基づいてデザインし、効果指標を示すことで、具体的で評価可能な介入活動とすることができた。
結論
健康無関心度の尺度の開発を行うとともに、健康無関心層の類型化の案を提示し、アプローチ方法を検討した。同時に、喫煙・禁煙、食事、保健指導、身体活動・運動、減量の個別な生活習慣について、健康無関心の観点から、具体的な介入方法を検討し、パイロット事業を実施することができた。論文や研修会等を通じて、研究成果を広く普及啓発することができた。
公開日・更新日
公開日
2022-10-03
更新日
-