思春期精神病理の疫学と精神疾患の早期介入方策に関する研究

文献情報

文献番号
200833036A
報告書区分
総括
研究課題名
思春期精神病理の疫学と精神疾患の早期介入方策に関する研究
課題番号
H19-こころ・一般-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
岡崎 祐士(東京都立松沢病院)
研究分担者(所属機関)
  • 西田淳志((財)東京都医学研究機構 東京都精神医学総合研究所)
  • 谷井久志(三重大学大学院医学系研究科)
  • 原田雅典(三重県立こころの医療センター)
  • 小澤寛樹(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 今村 明(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 長岡 和(医療法人カメリア)
  • 針間博彦(東京都立松沢病院)
  • 糸川昌成((財)東京都医学研究機構 東京都精神医学総合研究所)
  • 水野雅文(東邦大医学部)
  • 倉知正佳(富山大学医学部・)
  • 松本和紀(東北大学医学部)
  • 大久保善朗(日本医科大学)
  • 笠井清登(東京大学医学部)
  • 伊澤良介(東京都立松沢病院)
  • 伊藤弘人(国立精神神経センター精神保健研究所)
  • 野中 猛(日本福祉大学)
  • 横山和仁(三重大学大学院医学系研究科)
  • 生野照子(浪速生野病院)
  • 林 直樹(東京都立松沢病院)
  • 原田誠一(原田メンタルクリニック)
  • 市川宏伸(東京都立梅ヶ丘病院)
  • 宮田雄吾(大村共立病院)
  • 伊勢田堯(東京都立松沢病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 統合失調症発症後1年以内に抗精神病薬治療を開始した群は1年以上経って開始した群よりも転帰がよいことが発見された。以後、精神疾患早期介入の検討が始まった。
 本研究は、精神疾患への早期介入の根拠や標的となる精神病症状体験など思春期精神病理を大規模疫学調査により明らかにし、啓発と早期介入の方法と手段の開発、及び早期介入の導入によってわが国の精神保健及び精神医療システムはいかに変わるか、またその費用対効果はどうかを明らかにするものである。
研究方法
1.中学・高校生を主とする思春期児童を対象とする質問紙(可能なら面接)法による精神病理等
 の大規模疫学調査
2.保健室支援を中心とする学校への精神保健支援の具体化、支援システムモデルの形成
3.中高校生や教職員、父母、地域の人々、及び一般科医師への思春期精神病理とそれに対する早
 期支援の必要性についての啓発、及び啓発資材の開発
4.早期支援を医療における早期発見・早期治療につなげる精神保健・医療システムの再編の検討
5.疫学研究や早期介入研究と連動した思春期精神病理とその転帰の生物学的研究
結果と考察
1.中高校生を主(一部小学校高学年、大学生含む)とする3万人の質問紙疫学調査実現
2.三重県津市の1中学校の依頼により、保健室・学校支援システム=津市モデルを実現した
 (アウトリーチサービスを含む早期精神保健介入センターを県立こころのセンターに設置)。
  四日市でも新たなシステムを形成中
3.児童向けリーフレット2種、家族向け・教師向けパンフレット各1種、一般医向けパンフ1
 種、一般向け本2冊、児童・青年向け絵本3種等開発した
4.早期介入津市モデルを組み込んだ、わが国の精神保健・医療の早期介入システム案を形成
5.東大精神科・保健センターにリスク外来を設け、研究対象のリクルート開始
結論
2年度も、予定以上に研究が進展した。つまり、思春期精神病理疫学研究は、世界最大規模になり、精神病症状様体験が思春期に15%前後体験されることは確実になった。体験者は様々な悩みを多く有しており、早く発見し、現在から相談・支援・治療を行う必要がある。そのためには種々の啓発手段によって情報を届けることが必要である。また、わが国の精神保健と精神科医療のシステムが、そのような機能を積極的に含むようなものに再編される必要がある。また、このような思春期の病態がなぜ、どのような人に生じるのか等の解明が必要である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-29
更新日
-