次期がん対策推進基本計画に向けた新たな指標及び評価方法の開発のための研究

文献情報

文献番号
202108030A
報告書区分
総括
研究課題名
次期がん対策推進基本計画に向けた新たな指標及び評価方法の開発のための研究
課題番号
20EA1019
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
東 尚弘(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 がん登録センター)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 ゆり(大阪医科薬科大学 医学研究支援センター医療統計室)
  • 小川 千登世(国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科)
  • 樋田 勉(獨協大学 経済学部)
  • 助友 裕子(日本女子体育大学 体育学部 スポーツ健康学科)
  • 増田 昌人(琉球大学病院がんセンター)
  • 松坂 方士(国立大学法人弘前大学 医学部附属病院)
  • 若尾 文彦(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所)
  • 高山 智子(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 がん情報提供部)
  • 脇田 貴文(関西大学 社会学部)
  • 片山 佳代子(群馬大学 情報学部)
  • 渡邊 ともね(国立がん研究センター がん対策研究所 医療政策部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
・所属機関異動  研究分担者 片山佳代子  神奈川県立がんセンター(令和2年4月1日~令和3年3月31日)  →群馬大学 情報学部(令和3年4月1日以降) ・所属機関名変更  研究分担者 伊藤ゆり  大阪医科大学 研究支援センター(令和2年4月1日~令和3年3月31日) →大阪医科薬科大学 医学研究支援センター(令和3年4月1日以降)   研究分担者 若尾文彦、高山智子  がん対策情報センター(令和2年4月1日~令和3年8月31日)  →がん対策研究所(令和3年9月1日以降)  研究分担者 渡邊ともね  がん対策情報センター がん臨床情報部(令和2年4月1日~令和3年8月31日)  →がん対策研究所 医療政策部(令和3年9月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
第2期がん対策推進基本計画から、がん対策の指標による進捗評価が定められたことから、先行する研究班において全体目標・分野別施策の指標を策定し、全国の患者体験調査等を含む諸データ源による測定をしてきた。平成27年に第1回の患者体験調査を行い、平成30年には改訂した質問票を使用し、厚生労働省の委託事業において全国2万人の成人がん患者を対象とした全国患者体験調査が行われ、続く令和元年度には小児患者体験調査を実施した。
以上の経緯を踏まえ次期がん対策推進基本計画に向けた進捗評価指標を設定し、測定結果に基づくがん対策の継続的改善を推進するため必要な研究を行うことと、特定のテーマに偏ることなく分野横断的にがん対策上の課題を俯瞰するため必要事項の抽出から始め、科学的に整理しつつ解決を進めていくことを目的とする。
研究方法
2年目である本年度は大別して以下の5点を行った。
①患者体験調査の詳細解析
成人患者体験調査のデータを使い分析を行った。データの正確性を検討するものや無回答のパターンに関する検討など方法論に関するものとともに、長期療養がん患者の回答について、短期の患者とどのように異なるか、がん相談支援センターの認知・利用と、医療に対する評価の関連などの解析をおこなった。
②小児患者体験調査
小児患者体験調査の結果をさらに解析し、学会発表などを通じて公表することで、医療者のみならず患者家族を含む小児がんにかかわる関係者からの意見を収集し、次期がん対策推進基本計画への課題につき検討した
③数理モデルにかかる調査
シミュレーションががん対策評価に適切に活用していくためには、その条件を周知し、適正な活用の目を養うことが必要である。そのために、文献検索を行い、シミュレーションを活用するための注意点等まとめを作成した。
④がん教育
がん対策関係者、がん教育担当者の問題意識を集約して、先行研究なども参考にしながら、がん教育の進捗評価が可能な、高校2年生へのアンケート用紙をパイロット実施、結果を検討した。
⑤都道府県のがん診療連携拠点病院の連携
都道府県としては、各分担研究者が関連する、青森県、沖縄県、群馬県の状況と、情報交換を行った。
結果と考察
1. 患者体験調査の詳細解析
平成30年度末に実施された患者体験調査について、詳細解析を実施した。方法論に関しては、引き続き無回答に関して改善可能な要因を検討するとともに、医療の全体的な評価とがん相談支援センターの認知・利用などとの関係、長期療養患者の回答の傾向などを記述するなど、今後の施策の立案に資する解析を継続して行った。
2.小児患者体験調査
厚労省委託事業における小児患者体験調査は、参加依頼施設150、うち参加施設数97であり、調査票の発送数2511、除外数492、であった。非がん患者数245であり小児がん患者(記載は家族)からの回収数は1221であった。これらの解析をまとめて学会発表などを通じて関係者との意見交換会を始めている。
3.がん対策におけるシミュレーション
様々な施策においてマイクロシミュレーションを使った統計予測などが発行されている。しかしながら、シミュレーションは内容がブラックボックスになりがちであり方法において使えるシミュレーションかどうかがわからない。そのため海外のガイドラインをレビューしてシミュレーションのあり方に関する示唆を得ることを試みた。
4.がん教育
これまで準備を進めてきた高校2年生に対するがん教育の知識について神奈川県、沖縄県においてパイロット調査を行い、知見を得た。これらの結果をもとに質問紙を改定するとともに、対象を広げて広い範囲での調査を実施する予定である。
5.都道府県のがん対策との情報交換
引き続き、都道府県のがん対策推進計画におけるデータの活用体制やその実例に関する情報交換を行った。青森県においてはがん診療連携拠点病院の指定によるがん医療の確保が重要と考えられているが、その配置と受領行動の関連が分析された。沖縄県、群馬県においても、データを計画に活用する体制についての情報交換がなされた。

がん対策の評価を継続的に行うための、患者体験調査を継続的に解析し、その結果を反映させた調査改定や二次調査を行っていくことが必要である。また、評価のための様々な課題についても継続的に検討し、都道府県との情報交換も行いつつ、全体での評価の標準化や地域特性に合わせた焦点の調節を検討すべく情報交換をしていくことが重要と考えられた。
結論
がん対策の評価を継続的に行うための患者体験調査を継続的に解析し、その結果を反映させた調査改定や二次調査を行っていくことが必要である。また、評価のための様々な課題についても継続的に検討し、都道府県との情報交換も行いつつ、全体での評価の標準化や地域特性に合わせた焦点の調節を検討すべく情報交換をしていくことが重要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202108030Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,000,000円
(2)補助金確定額
10,492,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,508,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,900,566円
人件費・謝金 2,095,458円
旅費 133,458円
その他 2,594,218円
間接経費 2,769,000円
合計 10,492,700円

備考

備考
新型コロナウイルス感染症の影響により旅費が減額し、研究計画も変更したため、返金が発生した。支出合計金額のうち700円が自己資金となるため、収入の「(2)補助金確定額」と支出の「合計」に差異が出た。

公開日・更新日

公開日
2023-09-29
更新日
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