文献情報
文献番号
202108011A
報告書区分
総括
研究課題名
がん・生殖医療連携ネットワークの全国展開と小児・AYA世代がん患者に対する妊孕性温存の診療体制の均てん化にむけた臨床研究―がん医療の充実を志向して
課題番号
19EA1015
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 直(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 池田 智明(国立大学法人三重大学 医学系研究科)
- 大須賀 穣(国立大学法人 東京大学 医学部附属病院)
- 杉山 隆(愛媛大学医学部)
- 松本 公一(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 小児がんセンター)
- 古井 辰郎(岐阜大学大学院 医学系研究科)
- 高井 泰(埼玉医科大学総合医療センター産婦人科)
- 太田 邦明(東京労災病院 産婦人科)
- 高江 正道(聖マリアンナ医科大学 医学部)
- 安岡 稔晃(愛媛大学 医学部)
- 岩間 憲之(東北大学 医学系研究科)
- 荻島 創一(国立大学法人 東北大学 高等研究機構 未来型医療創成センター)
- 水野 聖士(東北大学 メディカル・メガバンク機構)
- 高橋 俊文(福島県立医科大学 ふくしま子ども女性医療支援センター)
- 小宮 ひろみ(福島県立医科大学附属病院 性差医療センター)
- 岩佐 武(徳島大学 大学院医歯薬学研究部)
- 佐藤 美紀子(浅井 美紀子)(日本大学 医学部)
- 鈴木 達也(国立研究開発法人 国立がん研究センター がんゲノム情報管理センター)
- 長谷川 潤一(聖マリアンナ医科大学 産婦人科学)
- 洞下 由記(奥津 由記)(聖マリアンナ医科大学 産婦人科学)
- 青木 洋一(がん研究会 婦人科)
- 清水 裕介(がん研究会 婦人科)
- 小野 政徳(東京医科大学 医学部)
- 原田 美由紀(東京大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
9,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
がんサバイバーシップ(生殖機能)に主眼をおいて、「がん・生殖医療連携ネットワークの全国展開と小児・AYA世代がん患者に対する妊孕性温存の診療体制の均てん化」を目指した7つの研究を行い、成果による政策提言を行う。
研究方法
本年度も「がん・生殖医療連携ネットワークの全国展開と小児・AYA世代がん患者に対する妊孕性温存の診療体制の均てん化」を目指した6つの研究を予定通り進めることができた。
研究① 全国47都道府県におけるがん・生殖医療ネットワークを構築した。また、地域における事情を勘案して、地域がん・生殖医療ネットワークの定義となる「地域がん・生殖医療ネットワークの構成と機能に関する研究班の基本的考え」(I.地域がん・生殖医療ネットワーク設置の目的、II.地域がん・生殖医療ネットワークの設置概要(構成と運営)、III.地域がん・生殖医療ネットワークの事業、IV. OCjpnとの連携・協力体制の構築、V.検討会、VI.人材育成、VII.啓発活動)を作成し、厚生労働省に提出した。研究② 全国小児がん拠点病院における本領域の均てん化を志向して本研究班で取り纏めた調査結果を参考に啓発活動を進めた(北海道ブロック、九州・沖縄ブロック)。研究③ 現時点での妊孕性温存療法のエビデンスを検証した。研究④ 本研究班で取り纏めた調査結果を参考に、がんサバイバーに対するプレコンセプションケア支援体制の構築における、生殖医療と周産期医療の連携基盤確立を志向して、資材を作成し全国に配布した。研究⑥ 小児・AYA世代がんサバイバー女性のがん治療後の後遺症および併存疾患の実態調査とSPC予防に関する意識調査を行い、本邦における現状の課題を把握した。研究⑧ がん・生殖医療ネットワーク未整備地域において、がん治療施設における妊孕性治療運用システムの整備が課題となる。さらに、がん治療施設と妊孕性温存実施施設の有機的連携を実現した妊孕性治療運用システムのモデルの構築、提案および課題の抽出を共有することが有用である。がん治療施設における妊孕性治療運用システムの構築を目的として、院内体制整備並びにがん研有明病院の院内マニュアルを作成した。
研究① 全国47都道府県におけるがん・生殖医療ネットワークを構築した。また、地域における事情を勘案して、地域がん・生殖医療ネットワークの定義となる「地域がん・生殖医療ネットワークの構成と機能に関する研究班の基本的考え」(I.地域がん・生殖医療ネットワーク設置の目的、II.地域がん・生殖医療ネットワークの設置概要(構成と運営)、III.地域がん・生殖医療ネットワークの事業、IV. OCjpnとの連携・協力体制の構築、V.検討会、VI.人材育成、VII.啓発活動)を作成し、厚生労働省に提出した。研究② 全国小児がん拠点病院における本領域の均てん化を志向して本研究班で取り纏めた調査結果を参考に啓発活動を進めた(北海道ブロック、九州・沖縄ブロック)。研究③ 現時点での妊孕性温存療法のエビデンスを検証した。研究④ 本研究班で取り纏めた調査結果を参考に、がんサバイバーに対するプレコンセプションケア支援体制の構築における、生殖医療と周産期医療の連携基盤確立を志向して、資材を作成し全国に配布した。研究⑥ 小児・AYA世代がんサバイバー女性のがん治療後の後遺症および併存疾患の実態調査とSPC予防に関する意識調査を行い、本邦における現状の課題を把握した。研究⑧ がん・生殖医療ネットワーク未整備地域において、がん治療施設における妊孕性治療運用システムの整備が課題となる。さらに、がん治療施設と妊孕性温存実施施設の有機的連携を実現した妊孕性治療運用システムのモデルの構築、提案および課題の抽出を共有することが有用である。がん治療施設における妊孕性治療運用システムの構築を目的として、院内体制整備並びにがん研有明病院の院内マニュアルを作成した。
結果と考察
本年度も「がん・生殖医療連携ネットワークの全国展開と小児・AYA世代がん患者に対する妊孕性温存の診療体制の均てん化」を目指した6つの研究を予定通り進めることができた。
結論
本研究班の研究成果によって、全国のがん・生殖医療ネットワークにおける行政、がん側そして生殖側の医療施設における、密ながん・生殖医療連携の構築が進むことで、がん・生殖医療のさらなる均てん化の促進が期待される。さらに、令和3年4月に開始された「小児・AYA世代がん患者等に対する妊孕性温存療法に係る経済的支援に関する国の研究事業」を円滑に進めるための一助となりうる。特に、本邦においても進みつつある小児・思春期世代がん患者に対するがん・生殖医療連携の実態が明らかにされたことから、本年度の小児がん拠点病院におけるwebinarを用いた本領域の啓発活動によって、小児・思春期領域においてもがん・生殖医療の均てん化の促進が期待される。また、日本がん・生殖医療登録システム(JOFR)への登録を通じて、がん治療成績や妊娠予後を明らかにすることで、本領域のエビデンスを構築する。さらに、がんサバイバーのプレコンセプションケアに対する方策を検証し、受胎から成育医療への切れ目のない医療体制の確立や、がんサバイバーのソーシャルキャピタルを高める支援に繋がると期待される。また、女性がんサバイバーにおける後遺症に関する実態調査や第二がん予防に関する実態調査を施行することによって、がんサバイバー女性におけるヘルスケアに関するわが国独自のエビデンスとなり得る。
公開日・更新日
公開日
2022-06-09
更新日
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