臓器移植の社会的基盤に関する研究

文献情報

文献番号
200832049A
報告書区分
総括
研究課題名
臓器移植の社会的基盤に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-024
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
篠崎 尚史(東京歯科大学市川総合病院 角膜センター)
研究分担者(所属機関)
  • 大島 伸一(国立長寿医療センター)
  • 藤堂 省(北海道大学大学医学研究科 消化器・一般外科学分野)
  • 浅井 康文(札幌医科大学医学部救急集中治療医学講座 高度救命救急センター)
  • 高橋 公太(新潟大学大学院 腎泌尿器病態学)
  • 星長 清隆(藤田保健衛生大学)
  • 高原 史郎(大阪大学大学院医学研究科 先端移植基盤医療学)
  • 横田 裕行(日本医科大学大学院 侵襲生体管理学)
  • 藤田 民夫(名古屋記念病院)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部 社会医学講座 )
  • 北村 惣一郎(国立循環器病センター)
  • 山口 芳裕(杏林大学救急医学)
  • 田中 秀治(国士舘大学 体育学部スポーツ医科学科救急医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
43,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 臓器提供者の増加を図り、腎提供に関しては3年間で倍増(過去5年平均88例/年)以上とすることを目的とする。スペインTPMをモデルとした日本版臓器移植推進のための教育体制に関して、移植Co、並びに医療従事者に対する教育体制の検討、実施、評価を行う。
 組織移植に関しては、全ての認定施設において、国際コード化しトレーサビリティーを可能にし、組織移植の安全性確保を実施する。
研究方法
〔臓器移植〕
臓器提供医療施設24施設を選定し、5病院程度のモデル病院ではドナーディテクションシステムの導入を試み教育、院内体制整備、フォローアップシステムを導入し経時的にモニターしていく。スペインTPMの教本を翻訳し必要箇所の検討を実施する。WHOの移植ガイドライン改正案に併せ、臓器移植におけるトレーサビリティーの確保に向けた情報収集を実施する。 
(組織移植)
SNS(スキンバンクネットワークシステム)を使用するにあたり、動作、環境、内容の把握を行った。さらに今後、導入予定の国際標準コード化を念頭に、日本組織移植学会認定バンク5施設への導入の可能性を検証した。
結果と考察
〔臓器移植〕
医学、看護教育に臓器提供の概念の浸透には、医学教育体制や医療機関での移植Coの雇用体系、政策のあり方等、複合的課題があり、検証可能な、評価できる臓器提供推進モデルを提供する事が重要である。救急現場での脳死判定、ドナー管理、家族とのコミュニケーションなどの教育も体系立てて実施することが必要であり、救急医へのセミナーを標準化するために更なる検証を行い、救急医学会や関連学会との連携を図り、これらの教育体制がどのように現場で実施できるか等を模索する必要がある。 
(組織移植)
本研究班は、JSTTの理事会、教育セミナーと協力し、システム運用のみならず、ドナースクリーニングの教育や情報収集の教育、実施に向けた体制の確立を目指す。
結論
(臓器移植)
臓器提供を増加させるシステムの確立は、今後の法体系、あっせん方法の変更等が発生した場合でも、恒常的に評価できる制度として、体系付ける必要がある。
(組織移植)
従来以上のトレーサビリティーとリアルタイムでの副作用情報などの確立は、将来的な組織移植、再生医療などへの根幹となる安全性の確保には必要不可欠であるが、国民の理解が得られ、倫理性も確保された管理システムとする必要があり、今後は運用者の妥当性も含めて検討することが必要である。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-