母子保健情報を活用した「健やか親子21(第2次)」の推進に向けた研究

文献情報

文献番号
202107003A
報告書区分
総括
研究課題名
母子保健情報を活用した「健やか親子21(第2次)」の推進に向けた研究
課題番号
19DA1003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
上原 里程(国立保健医療科学院 政策技術評価研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
20,404,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、健やか親子21(第2次)の目標達成や新たな課題に関する科学的知見の収集・提案をすること、および、効率的効果的な母子保健事業の実施に資する普及可能な汎用性の高い利活用モデルを構築することである。
研究方法
研究内容は次の5点である。
1.母子保健情報を利活用した「健やか親子21(第2次)」の推進のための環境整備に関する研究
2.「健やか親子21(第2次)」に基づいた成育医療等基本方針の保健領域の指標提案
3.母子保健領域の「知」のデータベースの構築
4.全国へ普及可能な汎用性の高い利活用モデルの構築
5.新型コロナウイルス感染症による子どもの生活面、心理面への影響に関する調査研究
結果と考察
1.母子保健情報を利活用した「健やか親子21(第2次)」の推進のための環境整備に関する研究
 令和元年度に健やか親子21(第2次)の中間評価を終え、それに伴った乳幼児健診情報システムの改修も終了したため、本年度は主に「母子保健領域の「知」のデータベースの構築」と「全国へ普及可能な汎用性の高い利活用モデルの構築」に取り組んだ。また、毎年秋に開催される日本公衆衛生学会学術総会において「健やか親子21」に関する自由集会を今年も開催し、「健やか親子21(第2次)と成育基本法」というテーマで開催した。

2.「健やか親子21(第2次)」に基づいた成育医療等基本方針の保健領域の指標提案
成育医療等基本方針の保健領域に用いる指標について、成育医療等協議会において最終的に提出された保健分野の指標は31指標だった。成育医療等基本方針では保健、医療、福祉、教育のさらなる連携が強調されていることから、多分野の連携による施策推進を図り、今後設定される予定である指標目標の達成に努めることが望まれる。

3.母子保健領域の「知」のデータベースの構築
 「母子保健・医療情報データベース」は健やか親子21(第1次)開始時から運営されてきたが、データベースの仕様が古くなったこと、そして時代の変化とともに新しい指標が求められてきたことを鑑み昨年度に再構築を行った。今年度はデータベースの更新を実施し、データベースへのアクセス数やユーザー数は、多いとは言えないものの、本データベースの研究者や保健師等、専門家向けのコンテンツという特色や、アクセスしにくい環境である事を踏まえると、一年を通して利用者があり、一定のニーズがある事が伺えた。

4.全国へ普及可能な汎用性の高い利活用モデルの構築
 全国へ普及可能な汎用性の高い利活用モデルとしては、母親のヘルスリテラシーと健やか親子21(第2次)の指標との関連を明らかにする研究、地方小都市における思春期保健事業(学校授業)を題材にした思春期保健データの利活用と切れ目ない個別支援の枠組み構築の試み、久留米市における社会的ハイリスク妊産婦のリスク評価と出生児のランク別対応に関する研究、継続支援システムを取り入れた自治体における保健師の母子保健活動への認識の変化:フィンランドのネウボラの基盤システムの導入に関する研究、医療レセプトデータを用いた小児喘息と関連する要因に関する研究、子ども期の親への援助要請および地域交流の経験と成人期の対人関係の関連に関する研究をおこなった。
 
5. 新型コロナウイルス感染症による子どもの生活面、心理面への影響に関する調査研究
本研究は、コロナ対策が継続される中で、子どもとその保護者の生活状況、身体的、精神的な状態を調査することで、感染症対策の長期的な影響を把握することを目的とした。4,017組に調査票を発送し、子ども2,008人、保護者1,902人(きょうだいで参加している場合、同じ保護者が回答している場合は保護者は1名とカウント)、2,008組の回答が得られた。
結論
成育医療等基本方針の保健領域に用いる指標について検討し、周産期、乳幼児期、学童期・思春期、全成育期を網羅した31指標を令和3年末に開催された成育医療等協議会に提出することができた。今後は「成育基本法を地域格差なく継続的に社会実装するための研究(21DA0201)」班において、医療、福祉、教育等の領域とともに成育医療等基本方針全体の指標作成に反映される予定である。
また、「母子保健・医療情報データベース」は健やか親子21(第1次)開始時から運営されてきたが、昨年度に再構築を行い、今年度はデータベースの更新を行った。見えてきた課題についてデータベースのあり方を検討しながら引き続き更新を進めていく。
 最後に、新型コロナウイルス感染症による子どもの生活面、心理面への影響に関する調査研究から、長期にわたるコロナ対策で多くの制限が強いられている生活が続いていることは、子どものQOLの低下に影響している可能性が考えられた。

公開日・更新日

公開日
2023-02-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-02-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202107003B
報告書区分
総合
研究課題名
母子保健情報を活用した「健やか親子21(第2次)」の推進に向けた研究
課題番号
19DA1003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
上原 里程(国立保健医療科学院 政策技術評価研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、健やか親子21(第2次)の目標達成や新たな課題に関する科学的知見の収集・提案をすること、および、効率的効果的な母子保健事業の実施に資する普及可能な汎用性の高い利活用モデルを構築することである。
研究方法
本研究班では、次の1~4についての研究を3年間で行うこととした。
 1.「健やか親子21(第2次)」の中間評価に資する課題の整理
 2.母子保健領域の「知識」のデータベースの構築
 3.乳幼児健診情報システムの改修
 4.全国へ普及可能な汎用性の高い利活用モデルの構築
令和3年度には、「健やか親子21(第2次)」に基づいた成育医療等基本方針の保健領域の指標提案、および新型コロナウイルス感染症による子どもの生活面、心理面への影響に関する調査研究を追加で実施した。
結果と考察
1.健やか親子21(第2次)の中間評価に資する課題の整理
 指標の分析・評価および新たな課題の抽出と分析を実施した。

2.母子保健領域の「知識」のデータベースの構築
「母子保健・医療情報データベース」は健やか親子21(第1次)開始時から運営されてきたが、データベースの仕様が古くなったこと、そして時代の変化とともに新しい指標が求められてきたことを鑑み再構築を行った。

3.乳幼児健診情報システムの改修
 改修点は、中間評価で変更があった指標および指標の設問の文言である。ダウンロード開始より5年が経過し、自治体にも浸透しつつある本システムが、今後、より多くの市区町村と都道府県の母子保健情報データ利活用の一助となることを期待する。

4.全国へ普及可能な汎用性の高い利活用モデルの構築
産科医療機関と行政、行政と大学との連携に関する検討を進め、加えて、母子保健データ利活用状況の調査も行い、多くの課題も見つかった。
 
5.「健やか親子21(第2次)」に基づいた成育医療等基本方針の保健領域の指標提案
成育医療等基本方針の保健領域に用いる指標について、成育医療等協議会において最終的に提出された保健分野の指標は31指標だった。成育医療等基本方針では保健、医療、福祉、教育のさらなる連携が強調されていることから、多分野の連携による施策推進を図り、今後設定される予定である指標目標の達成に努めることが望まれる。

6. 新型コロナウイルス感染症による子どもの生活面、心理面への影響に関する調査研究
4,017組に調査票を発送し、子ども2,008人、保護者1,902人(きょうだいで参加している場合、同じ保護者が回答している場合は保護者は1名とカウント)、2,008組の回答が得られた。
結論
・「健やか親子21(第2次)」の中間評価時にデータ分析結果の提供を行った。また、中間評価だけでなく、5年後の最終評価に向けて取り組むべき課題の提示にも寄与でき、今後の施策検討の基礎資料として活用されることも期待される。
・「知」のデータベース(子育て相談を支援するデータベース)は、母子保健に関する素朴な疑問などに対する科学的根拠の有無を示し、保健従事者が養護者に支援する際に科学的根拠を示しながら対応できるようなデータベースの構築を試みた。科学的根拠に基づいた相談支援により、養護者の不安解消につながると考えられる。また、妊娠中、子育て中の養護者自身へも有効な情報提供ツールになるのではないかと考える。「母子保健・医療情報データベース」は健やか親子21(第1次)開始時から運営されてきたが、令和2年度に再構築を行い、令和3年度はデータベースの更新を行った。見えてきた課題についてデータベースのあり方を検討しながら引き続き更新を進めていく。
・全国へ普及可能な汎用性の高い利活用モデルの構築に関する研究では、産科医療機関と行政、行政と大学との連携について検討を進めた。これらの連携と母子保健データ利活用状況の調査結果を基に全国へ普及できるような汎用性のあるモデルの検討により、全国で母子保健関係者の連携が進み、情報の利活用がより活発になると考えられる。
・成育医療等基本方針の保健領域に用いる指標について検討し、周産期、乳幼児期、学童期・思春期、全成育期を網羅した31指標を令和3年末に開催された成育医療等協議会に提出することができた。今後は「成育基本法を地域格差なく継続的に社会実装するための研究(21DA0201)」班において、医療、福祉、教育等の領域とともに成育医療等基本方針全体の指標作成に反映される予定である。
・新型コロナウイルス感染症による子どもの生活面、心理面への影響に関する調査研究から、長期にわたるコロナ対策で多くの制限が強いられている生活が続いていることは、子どものQOLの低下に影響している可能性が考えられた。

公開日・更新日

公開日
2023-02-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202107003C

収支報告書

文献番号
202107003Z