セルフメディケーション税制による医療費適正化効果についての研究

文献情報

文献番号
202106018A
報告書区分
総括
研究課題名
セルフメディケーション税制による医療費適正化効果についての研究
課題番号
21CA2018
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
五十嵐 中(横浜市立大学 医学群(健康社会医学ユニット))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
4,530,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
i) 商用レセプトデータベース・薬事工業生産動態統計調査を用いたセルフメディケーション・セルフメディケーション税制導入による潜在的な医療費削減効果の推計とii) スマートフォンアプリケーションを用いたアンケートによるセルフメディケーション・セルフメディケーション税制利用動向調査を実施した。
これらの結果に基づいて、研究班内での検討を行い、指標として「セルフメディケーション税制の導入による税収減少効果」「医療用医薬品からセルフメディケーションへの移行にともなう保険医療費削減効果」の双方を設定しつつ、iii)双方の財政インパクトを経時的に捕捉する評価手法の確立を目指した。
研究方法
i) 商用レセプトデータベース・薬事工業生産動態統計調査を用いたセルフメディケーション・セルフメディケーション税制導入による潜在的な医療費削減効果の推計
 医療用医薬品の売上のうち現状の置き換わり状況を把握すべく、OTC医薬品の売上げと医療用医薬品の売上げについて、「総数でのシェア」「OTC成分でのシェア」「OTC効能のシェア」の3つについて、薬効分類ごとの算出を実施した。
ii) スマートフォンアプリケーションを用いたアンケートによるセルフメディケーション・セルフメディケーション税制利用動向調査
 健保組合加入者を対象にしたスマートフォンベースの健康啓発アプリケーションを用いて、アプリ利用者に対してセルフメディケーション・セルフメディケーション税制利用動向調査を実施し、税制の利用に関わる因子と行動様式の同定を試みた。
 アプリ利用者に対して定期的に実施しているアンケートに、
 「セルフメディケーション税制の認知度」
 「医療費控除の認知度」
 「確定申告の有無・医療費控除制度の利用の有無」
 「セルフメディケーション税制制度の利用の有無」
 「OTC医薬品の年間購入金額」
 に関する質問を追加し、調査を行った。
iii) 令和4年 (新制度導入)以降の制度導入に伴う医療費削減効果推計の基盤整備
 セルフメディケーション領域の特性を十二分に考慮するために、i)やii)の検討結果を踏まえて、次年度以降にどのような形での実態評価を実施するかについて、プロトコルと研究体制の基礎作りを実施した。
結果と考察
i) 商用レセプトデータベース・薬事工業生産動態統計調査を用いたセルフメディケーション・セルフメディケーション税制導入による潜在的な医療費削減効果の推計
 医療用医薬品の売上げ10.4兆円 (2019年度)のうち、OTCが存在する66分類の売上は6.4兆円 (61.7%)を占めた。OTCの医薬品の売上げは7,930億円で、総売り上げをベースにした場合のシェアは7.1%、OTCが存在する薬効分類に絞った場合のシェアは11.0%であった。
 66分類の医療用医薬品の売上総額6.4兆円を、レセプトから得た品目別の売上および品目で絞り込んだ場合、OTCのシェアは、「OTC成分」ベースでは54.5%, 「OTC効能」ベースでは71.2%であった。
ii) アンケートによるセルフメディケーション・セルフメディケーション税制利用動向調査
2021年6月〜7月にかけて調査を実施し、23,721人から有効回答を得た。
 「よく理解している」および「ほぼ理解している」回答者の割合は、セルフメディケーション税制で22.3% (5,304人)、医療費控除制度では56.6% (13,431人)であった。しかし、セルフメディケーション税制を「利用した」と回答した547人のうち、医療費控除を「利用していない」と回答したのは50人 (9.1%)にとどまり、493人 (90.1%)は医療費控除を「利用した」と回答していた。
iii) 令和4年 (新制度導入)以降の制度導入に伴う医療費削減効果推計の基盤整備
i)ii)の結果と、先行して実施していた研究結果も踏まえて、A)保険加入者向けアプリケーションを用いた調査と医療費把握 B) 他のチャネルを用いた経時的検証
C) セルフメディケーション税制の利用意向に関する行動経済学的調査 D)現行制度による医療費削減効果の検証を、次年度以降の課題として特定した。

結論
通常の保険診療で行われる医療とは異なり、セルフメディケーションおよびセルフメディケーション税制を評価するためには、消費者(患者)側の能動的なアクション(OTCの購入・金額の捕捉・申請など)も必要となる。制度導入の影響について、歳入減少効果としての「セルフメディケーション税制の利用による税収削減」、歳出減少効果として「OTCへの置き換わりによる保険医療費削減」を捉えつつ、単なるレセプト分析を超えて、利用者の行動変容(と認知度向上)を目指すプログラムと連携した評価手法の開発を行った。

公開日・更新日

公開日
2022-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202106018C

成果

専門的・学術的観点からの成果
セルフメディケーション税制導入の影響について、歳入減少効果としての「セルフメディケーション税制の利用による税収削減」、歳出減少効果として「OTCへの置き換わりによる保険医療費削減」を捉えつつ、単なるレセプト分析を超えて、利用者の行動変容(と認知度向上)を目指すプログラムと連携した評価手法の開発を行った。次年度以降の政策立案が期待される。
臨床的観点からの成果
セルフメディケーションの潜在的医療費削減効果と、利用動向の双方についての定量的なデータを提供できた。令和4年度以降の政策評価の基礎となる手法を開発できた。
ガイドライン等の開発
本研究の成果にもとづき、次年度以降からのセルフメディケーション税制拡張について経時的評価を実施する基盤が得られた。
その他行政的観点からの成果
 税制導入のインパクトを複眼的に推計することと、そもそものセルフメディケーションおよびセルフメディケーション税制の認知度を高めること、さらに認知度向上に資する施策の特定を経時的に進めることで、令和4年以降の新制度下における実施が期待される。
その他のインパクト
セルフメディケーションシンポジウム (OTC協会主催)にて結果を報告するとともに、講演その他によって結果を広く配信している。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
審議会での議論2件
その他成果(普及・啓発活動)
10件
講演

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-07-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
202106018Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,888,000円
(2)補助金確定額
5,888,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 904,841円
人件費・謝金 354,820円
旅費 0円
その他 3,270,339円
間接経費 1,358,000円
合計 5,888,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-07-01
更新日
-