関節リウマチ骨髄血中の疾患誘導因子解明と根治療法開発研究

文献情報

文献番号
200832027A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチ骨髄血中の疾患誘導因子解明と根治療法開発研究
課題番号
H20-免疫・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
越智 隆弘(大阪警察病院 医務部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉川 秀樹(国立大学法人大阪大学医学系研究科)
  • 下村 伊一郎(国立大学法人大阪大学医学系研究科)
  • 西本 憲弘(国立大学法人大阪大学医学系研究科)
  • 大和谷 厚(国立大学法人大阪大学医学系研究科)
  • 鈴木 隆二(国立相模原病院臨床研究センター)
  • 宇月 美和(岩手医科大学医学部)
  • 島岡 康則(行岡病院リウマチ臨床研究センター)
  • 前田 朋子(塩野義製薬株式会社医薬開発研究本部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「RA主病巣は骨髄」という仮説のもとに、未解明のRA病因解明と根治療法開発を以下の研究で進める。Ⅰ)RA骨髄病態細部検討目的での動物実験系開発。Ⅱ)RAと無関係と思われていた物質の新規臨床応用。Ⅲ)RA新鮮骨髄細胞からの新規遺伝子と、Ⅳ)網羅的解析プロフィールから選択したS100A4遺伝子からの病因物質解明と根治療法開発である。
研究方法
Ⅰ)放射線照射マウスにGFP transgenic (TG)由来骨髄細胞を移植後、関節炎病態解析。Ⅱ)Adipo、OPN;コラーゲン関節炎マウスに対する抗炎症・骨吸収抑制作用検討。更にRA患者の血中動態検討。 C1q;アッセイ系による重症化予後診断薬開発。 His;破骨細胞分化促進機能に対する効果解析。Ⅲ)Tnfsf14 、Granulin、SHPS-1、Sirpa、MMP12、EF1-α、CCAR1, CXCL5 、OLR1の各遺伝子に対して①各蛋白合成、mAb作成、ELISA系によるRA患者血中値と病態との関係解明。②各遺伝子に関してのTGマウス、F1マウス、KOマウス作製。Ⅳ)網羅的解析プロフィールからのRA病因遺伝子選択。
結果と考察
Ⅰ)関節炎マウス病変部に移植骨髄細胞多数が認められる有用な実験系と判明した。 Ⅱ)Adipo過剰発現により明瞭な関節炎抑制が認められた。RA血中濃度は有意に高値で、予後と相関した。 OPN;血液B細胞と共培養するRA滑膜細胞にOPNを過剰発現させるとIL-6産生が上昇し、 siRNA導入により減少した。  C1q; 抗C1qモノクロ抗体(mAb)を用いてのELISA系はRA重症化指標になる。 His; HisによりRA滑膜細胞の破骨細胞様細胞分化が抑制された。いずれも臨床応用へと進めている。Ⅲ)新鮮なRA骨髄細胞から選択された新規遺伝子;①病態解析; 順次得られている遺伝子蛋白はRA関節滑膜やマクロファージなどに発現し滑膜細胞増殖及び破骨細胞様細胞の分化、増殖活性を示した。②遺伝子改変マウス作成中である。Ⅳ)polyJIAとRAで発現が増加し骨破壊の強いS100A4を選択した。いずれも病因遺伝子候補であり、次年度以後の研究に期待が大きい。
結論
Ⅰ)RA骨髄病巣研究に有用と思われる動物実験系が開発された。Ⅱ) Adipo、OPN、C1q、Hisともに臨床実用研究へと進めたい。Ⅲ)RA骨髄細胞からの新規遺伝子に対する病因解明、根治療法開発研究には期待が大きい。Ⅳ)S100A4にも期待は大きい。

公開日・更新日

公開日
2009-03-30
更新日
-