文献情報
文献番号
202101011A
報告書区分
総括
研究課題名
F-SOAIPを用いた特別な支援の必要な保護者対応の記録システムの開発
課題番号
21AA1001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
上田 敏丈(公立大学法人 名古屋市立大学 大学院人間文化研究科)
研究分担者(所属機関)
- 勝浦 眞仁(桜花学園大学 保育学部)
- 嶌末 憲子(埼玉県立大学 保健医療福祉学部)
- 小嶋 章吾(国際医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
3,234,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、保育所において、特に配慮や支援の必要な保護者への対応を保育士が行う上で、どのような支援体制の構築が可能となるのかを明らかにすることが目的である。 そのために、特に本年度は、次の具体的な課題を明らかにする。
⑴ 保護者支援に対して保育士の抱える困難感はどのようなものがあるのかを文献研究から明らかにする。
⑵保育士の行う保護者支援プロセスをアンケート及びインタビュー調査から明らかにする。また、保護者の視点から保育所や保育士への相談についての調査を行う。
⑶配慮や支援の必要な保護者の情報を共有するツール(パイロット版)を作成する。
⑴ 保護者支援に対して保育士の抱える困難感はどのようなものがあるのかを文献研究から明らかにする。
⑵保育士の行う保護者支援プロセスをアンケート及びインタビュー調査から明らかにする。また、保護者の視点から保育所や保育士への相談についての調査を行う。
⑶配慮や支援の必要な保護者の情報を共有するツール(パイロット版)を作成する。
研究方法
本研究を行うにあたり、インタビュー・アンケート調査については、研究者間で項目の精選・確認を行い、筆頭著者の所属する大学において、倫理審査委員会の承認を得ている。また、実際に調査を行う際には、牌畏怖先の所属機関との事前協議の上、内諾を頂き、拒否・無回答しても何の不利益もないことを確認した上で、依頼を行った。インタビュー調査については、事前に研究内容の説明を行い、書面にて同意を得た。
個別の研究協力者の概要については、分担報告書等に記載されている。
個別の研究協力者の概要については、分担報告書等に記載されている。
結果と考察
本年度の調査から、配慮や支援の必要な保護者への保護者支援について次のことが明らかになった。
保育士及び保護者へのアンケート調査から概ね両者の相談については、適切な関係性が構築されており、80%以上の保護者が丁寧な対応に満足していることである。しかしながら、一部のケースについて、相談しにくいことや相談しても問題が解決していないことがある。
このような時、特に初期段階での対応や伝え方で認識のずれが生じたとき、保育士が支援の困難さを感じる事例が生じることとなった。保育士が支援に困難さを感じる事例では、長期化・複雑化してしまうことがあり、そのような場合、保育士への負担感が高く、離職を意識することへとつながってしまう。また、このような事例は、肯定的な関係性に基づき解決されないことも多く、時間経過による消極的解決や未解決感が残ることも、保育士にとって自己充実感を妨げることとなる。
そのために、配慮や支援の必要な保護者への支援プロセスとして、初期・中期・後期という3期によって、異なる対応が必要となることが示唆された。
認識のずれが生じる初期段階においては、まずずれを生じさせないような適切な対応が求められ、生じた場合も、丁寧な対応により保護者関係を構築することが大事である。
認識のずれが生じたまま、長期化していくことが見込まれる際には、組織的な対応として、情報を共有しつつ、一元化した対応が求められる。
長期化・複雑化した場合は、各種専門機関との連携が求められる。特に高ストレス化にさらされる対応保育士にとっては、他者からの支援アドバイスが必要であろう。
そのためには、まず園内での情報共有が必要である。アンケート調査から、このような事例に対しても、記録をとっていなかったり、とっていても、充分に活用していないことが明らかになった。従って、検索・活用のできる記録システムが求められるだろう。
保育士及び保護者へのアンケート調査から概ね両者の相談については、適切な関係性が構築されており、80%以上の保護者が丁寧な対応に満足していることである。しかしながら、一部のケースについて、相談しにくいことや相談しても問題が解決していないことがある。
このような時、特に初期段階での対応や伝え方で認識のずれが生じたとき、保育士が支援の困難さを感じる事例が生じることとなった。保育士が支援に困難さを感じる事例では、長期化・複雑化してしまうことがあり、そのような場合、保育士への負担感が高く、離職を意識することへとつながってしまう。また、このような事例は、肯定的な関係性に基づき解決されないことも多く、時間経過による消極的解決や未解決感が残ることも、保育士にとって自己充実感を妨げることとなる。
そのために、配慮や支援の必要な保護者への支援プロセスとして、初期・中期・後期という3期によって、異なる対応が必要となることが示唆された。
認識のずれが生じる初期段階においては、まずずれを生じさせないような適切な対応が求められ、生じた場合も、丁寧な対応により保護者関係を構築することが大事である。
認識のずれが生じたまま、長期化していくことが見込まれる際には、組織的な対応として、情報を共有しつつ、一元化した対応が求められる。
長期化・複雑化した場合は、各種専門機関との連携が求められる。特に高ストレス化にさらされる対応保育士にとっては、他者からの支援アドバイスが必要であろう。
そのためには、まず園内での情報共有が必要である。アンケート調査から、このような事例に対しても、記録をとっていなかったり、とっていても、充分に活用していないことが明らかになった。従って、検索・活用のできる記録システムが求められるだろう。
結論
本研究ではそのために、記録のポイントを押さえることのできるF-SOAIPに基づく記録システムを開発した。これらの記録システムを活用し効果検証すること、及び、本年度の成果から、このシステムに、外部専門機関との連携及び活用ができる枠組みを組み入れていくことが今後の課題となる。
公開日・更新日
公開日
2023-03-09
更新日
-