HCV感染における宿主応答の分子機構の解析と新規創薬標的の探索

文献情報

文献番号
200831016A
報告書区分
総括
研究課題名
HCV感染における宿主応答の分子機構の解析と新規創薬標的の探索
課題番号
H19-肝炎・一般-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
松浦 善治(大阪大学 微生物病研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 考藤 達哉(大阪大学 大学院院医学系研究科)
  • 竹内 理(大阪大学 微生物病研究所)
  • 藤田 尚志(京都大学 ウイルス研究所)
  • 池田 正徳(岡山大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 土方 誠(京都大学 ウイルス研究所)
  • 小原 道法(東京都医学研究機構 臨床医学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
33,957,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
C型肝炎ウイルス(HCV)による自然免疫や獲得免疫の回避機構を解析し、これらの成果を新しい治療法の開発に資することを目的とする。
研究方法
1) 各種TLRリガンド刺激後のCXCR3の発現をReal-time PCR法にて測定した。2) C型慢性肝炎患者および非感染者の末梢血よりMDCを分離し、TLR/RIG-Iの発現を検討した。3) RIG-I欠損細胞にHCV遺伝子を導入しRIG-Iの役割を検討した。4) 自然免疫のアダプター分子群の発現をsiRNAで抑制した。5) 任意の時期にHCV遺伝子をスイッチング発現することができるCre/loxP systemを用いたHCV構造蛋白質領域発現Tgマウスの樹立を試みた。
結果と考察
1) HCV感染細胞ではCD44によるIP-10の発現制御が、肝炎慢性化の抑制に重要である可能性が示唆された。2) C型慢性肝炎患者においてミエロイド樹状細胞ではTLR2、TLR4、RIG-Iの発現は非感染者より高値であったが、TLR3、MDA5は同等であった。3) RIG-IとMDA5がそれぞれ、短鎖、長鎖の二本鎖RNAを認識することを明らかにした。4) 中空糸を用いてヒト不死化肝細胞を立体培養する新たな培養細胞系を用いた感染実験により、患者血液の多様なHCVの感染増殖と自然免疫応答を解析することが可能になった。5) スイッチング発現システムにより、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、そして、肝細胞がんを発症できるモデルマウスを樹立した。
結論
1) CD44によるIP-10の発現制御が、C型肝炎慢性化の抑制に関与する可能性が示唆された。2) C型慢性肝炎患者のミエロイド樹状細胞の機能低下にTLR3-TRIF-TRAF6の系が関与していることが示された。3) RIG-IとMDA5のリガンドの違いが明らかとなった。4) ヒト不死化肝細胞を用いた培養系で患者血液中のHCVの感染と宿主応答を解析することが可能になった。5) スイッチング発現システムにより自然感染に近い免疫反応の解析が可能となった。

公開日・更新日

公開日
2009-03-13
更新日
-