HIV診療支援ネットワークを活用した診療連携の利活用に関する研究

文献情報

文献番号
200830045A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV診療支援ネットワークを活用した診療連携の利活用に関する研究
課題番号
H20-エイズ・指定-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
菊池 嘉(国立国際医療センター戸山病院エイズ治療・研究開発センター )
研究分担者(所属機関)
  • 山本 隆一(東京大学大学院情報学環)
  • 木内 貴弘(東京大学医学部附属病院医療情報ネットワーク研究センター)
  • 岩本 愛吉(東京大学医科学研究所先端医療研究センター感染症分野・感染免疫内科)
  • 岡村 牧男(特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権)
  • 佐藤 典宏(北海道大学病院輸血部)
  • 伊藤 俊広(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター)
  • 田邊 嘉也(新潟大学大学院医歯学総合研究科臨床感染制御分野)
  • 横幕 能行(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 上田 幹夫(石川県立中央病院)
  • 渡邊 大(独立行政法人大阪医療センター)
  • 藤井 輝久(広島大学病院輸血部)
  • 南 留美(独立行政法人国立病院機構九州医療センター)
  • 宮城島 拓人(独立行政法人勤労者福祉機構釧路労災病院)
  • 健山 正男(琉球大学大学院医学研究科感染病態制御学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
80,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV診療ネットワーク(A-net)は、HIV訴訟における和解勧告に基づき、HIV診療支援を行うために、全国のエイズ拠点病院をコンピューターネットワークで結ぶシステムとして平成11年11月より本格運用に移行している。導入から10年を経てネットワーク器機が老朽化したことなどもあり利用されなくなり、その存在価値が急速に低下しつつある。現行のシステムで今後継続可能か検討する。
研究方法
1.過去の全データを匿名化して抽出し、データの粒度を調べる。2.国立国際医療センターを親施設として、当研究班に参画している12の臨床施設において、患者個人情報を削除しCD4数、HIV-RNA量の推移とHAARTの有無を記録し、HIV感染者の治療導入状況と、効果を判定する。3.一般人を対象としたアンケートを行い、HIVに感染した場合に情報収集をするソースを調査する。4.セキュリティーを担保した、Web上での運用を見据えた新たなシステムの構築の基礎検討を行う。
結果と考察
1.現行のA-net参加者512名のデータ登録状況はまばらであった。CD4,ウイルス量、治療薬の内容等の重要なデータに限っても未記載が多かった。2.12施設より670症例のデータを収集することができた。そのうち治療を導入後1年以上経過観察中の528症例中70%でウイルス量が50コピー未満に抑制されており、10年以上の観察期間のある117症例では、8割が50コピー未満に抑制されており、全体として良好なコントロールであった。3.病気の情報を得る手段としては、8割の人がインターネットからの情報を第一位と捉えており、医療機関、携帯電話からの情報がこれに続いた。4.現行のA-netシステムに代わる、新診療支援システムを構築するために、SSL-VPN上でWebサーバにデータ入力をし、中央でデータ管理が出来る予備実験を行った。初年度の予備実験では、入力端末の制限緩和、データベースシステムの構築及び入力項目を簡便化した入力ソフトの開発により、継続入力が可能な環境を整備することが出来た。

結論
セキュリティーが担保された新システムの導入が喫緊の課題である。蓄積された内容はまばらであり、継続性もなく疫学的な検討に資するものとなっていなかった。班研究に参画した12臨床施設から集められたデータでは、HAART導入者は免疫能が回復し維持されていることが示された。セキュリティーを担保した新システムを構築する時期に来ている。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
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