HIV感染症の医療体制の整備に関する研究

文献情報

文献番号
200830044A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症の医療体制の整備に関する研究
課題番号
H20-エイズ・指定-010
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
濱口 元洋((独)国立病院機構名古屋医療センター 統括診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡 慎一(国立国際医療センター戸山病院 エイズ治療・研究開発センター)
  • 小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科 病態内科学講座・第二内科)
  • 伊藤 俊広((独)国立病院機構仙台医療センター 血液内科)
  • 田邊 嘉也(新潟大学医歯学総合病院 臨床感染制御分野)
  • 上田 幹夫(石川県立中央病院 血液免疫内科)
  • 白阪 琢磨((独)国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター エイズ先端医療研究部 HIV/AIDS先端医療センター)
  • 上平 朝子((独)国立病院機構大阪医療センター 免疫感染症科)
  • 木村 昭郎(広島大学原爆放射線医科学研究所 ゲノム疾患治療研究部門血液内科研究分野)
  • 山本 政弘((独)国立病院機構九州医療センター 感染症対策室)
  • 前田 憲昭(医療法人社団皓歯会阪急グランドビル診療所)
  • 島田 恵(国立国際医療センター戸山病院 エイズ治療・研究開発センター)
  • 山中 京子(大阪府立大学 人間社会学部)
  • 潟永 博之(国立国際医療センター戸山病院 エイズ治療・研究開発センター)
  • 田中 千枝子(日本福祉大学 社会福祉学部保健福祉学科)
  • 満屋 裕明(熊本大学大学院医学薬学研究部 血液内科学分野)
  • 杉浦 亙(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
85,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、今までも全国のHIV医療体制の整備を目的とした指定研究として、事業的側面の強い研究班である。全国8ブロックにおけるブロック拠点病院を中心とし、中核拠点病院との連携を深め、診療水準の均てん化を目的とする。
研究方法
各ブロック拠点病院が中心となり、ブロック内の中核拠点病院・拠点病院に対し、研修会・連携会議を実施した。歯科診療の実態調査やHIV診療の入院・外来の実際の原価を計算した。中核拠点病院の他科連携状態あるいは準備状況について調査した。包括ケア班では、各グループで研修を行い、患者の就労支援についても調査した。共同研究基盤では、臨床試験が適切に推進されるよう、効果安全委員長となった。薬剤耐性班では、新規薬剤に関する情報を鑑み、適宜ガイドラインの改定作業を実施した。
結果と考察
1)アンケートはWeb回答群と郵送群に分かれるものの、回答率が年々減少し、郵送群における回答率は極めて低い。診療拠点病院といってもHIV感染患者を診療していない施設も存在し、患者が集中する施設との二極化が一段と進んでいる。
2)各ブロック拠点病院が中心となり、中核拠点病院・拠点病院に対し、研修会・連携会議を実施したが、全国で95回に及んだ。HIV感染患者の少ない拠点病院の診療経験の浅い医師・看護師・薬剤師において研修の満足度が高く、HIV診療の底上げが期待できた。
3)医療経済の研究から原価は入院外来共に請求額を下回っていた。無症候性キャリアと比較してAIDS期の原価率の方が高かった。全身管理の研究では他科との連携が不可欠であることが明らかとなり、メンタルヘルスでは、精神疾患による非就労は、内科疾患による非就労よりも長期化しやすいことが明らかになった。臨床研究の基盤整備では、海外の安全性情報にも注意を払い、患者の安全を第一優先に迅速な対応ができるよう委員会を開催した。

考察
 HIV感染症は外来を中心とした診療を行う慢性疾患になったという理解に基づいた政策が必要であり、医療連携を強力に進めていくための仕組みを構築することである。均てん化に向けブロック拠点病院は年間95回にも達する研修会を実施し、我が国におけるHIV診療の医療体制を築き上げてきた活動と考えられる。今後、ブロック拠点病院は中核拠点病院の診療レベルを上げ、中核拠点病院は拠点病院に対する研修を行い、診療レベルを上げるという仕組みで、さらなる均てん化を目指す。
結論
HIV診療の均てん化のためにいろいろな角度からの活動を行った。このような活動は継続的に行う必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-