HIV関連Lipodystrophyの克服に向けて

文献情報

文献番号
200830035A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV関連Lipodystrophyの克服に向けて
課題番号
H20-エイズ・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
秋田 定伯(長崎大学 医学部・歯学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 白阪 琢磨(大阪医療センター)
  • 吉野 宗宏(大阪医療センター)
  • 菊池 嘉(国際医療センター)
  • 山本 有平(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 山下 俊一(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 )
  • 上谷 雅孝(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 )
  • 藤岡 正樹(長崎医療センター)
  • 吉本 浩(長崎大学 医学部・歯学部附属病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
24,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HAART療法などの長期間治療しているエイズ・HIV感染者に合併するLipodystrophy、リポディストロフィー、脂肪蓄積異常(過剰または萎縮)のわが国における実態を、HIV感染者およびHIV非感染者(健常ボランティア)の四肢・顔面・躯幹皮下脂肪の全身分布を収集し、皮下脂肪の全身性の分析を解析する。脂肪代謝の効率的手段を臨床的、基礎研究で検討し、自家脂肪由来幹細胞を用いた再生医療の基盤的検討をする。
研究方法
一施設検討の結果、リポディストロフィーは42名で主観的評価を用いて認めており、薬剤種、容量、期間と関連性が示唆された。HIV感染者4名、健常ボランテイア1名から三次元容量ヘリカルCTを用いて計測したところ、顔面の側頭三角部、鼻上口唇三角部、頬上口唇三角部、耳下腺三角部などで著明な脂肪の萎縮と周囲皮膚の陥凹を認めた。また多くの場合躯幹では正常ボランティアと比較して四肢の臨床上の“るいそう”を来しており特に、肘関節、膝関節の末梢側で皮下脂肪が高度に萎縮した症例を多く認めた。血管茎付軟部組織移植術の問題点を明らかにし、脂肪萎縮の基礎検討では血管茎が重要である事が判明し、自家脂肪由来幹細胞は増殖性の維持と2つ以上の分化系列に臨床的に分化し脂肪誘導培地で脂肪に分化した。
結果と考察
リポディストロフィーの簡便な客観評価と、女性患者を含めた検討・解析、三次元CT等を用いた定量データの蓄積が必要と思われ、基礎的検討展開及び、臨床におけるより確実で簡便な手法の開発が望まれる。自家脂肪組織由来幹細胞は脂肪分化能を有し、脂肪萎縮への適応可能性が示唆されるため更に基盤的検討を要する。
結論
HIV関連リポディストロフィーのわが国における端緒的研究であり、今後更に包括的な研究の推進が必要である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
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