HAART時代の長期予後を脅かす治療抵抗性エイズリンパ腫に対する多面的治療戦略開発に関する研究

文献情報

文献番号
200830025A
報告書区分
総括
研究課題名
HAART時代の長期予後を脅かす治療抵抗性エイズリンパ腫に対する多面的治療戦略開発に関する研究
課題番号
H19-エイズ・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 誠治(熊本大学 エイズ学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邉 俊樹(東京大学大学院新領域創成科学研究科)
  • 味澤 篤(東京都立駒込病院感染症科)
  • 永井 宏和(国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 藤原 成悦(国立成育医療センター研究所 母児感染研究部)
  • 照井 康仁(癌研究会癌研有明病院 血液腫瘍科)
  • 清水 則夫(東京医科歯科大学 難治疾患研究所)
  • 片野 晴隆(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 駒野 淳(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HAART導入後エイズが慢性疾患化した現在、エイズリンパ腫はエイズ患者の長期予後を規定する最重要因子のひとつとなった。エイズリンパ腫は難治性・再発性であり、標準的治療法は確立していない。本研究では、エイズと悪性リンパ腫治療の最前線に立つエイズ治療専門医・血液腫瘍専門医と基礎研究者が有機的に提携し、日本人に最適化されたエイズリンパ腫の治療法確立と新規治療薬の開発を目的に共同研究を展開する。
研究方法
研究は、相互に関連のある3本の柱を軸に展開する。
柱1 日本人悪性リンパ腫治療最適化プログラムと新規サルベージ療法開発に関する研究:日本におけるエイズリンパ腫の発生状況と治療状況を把握し、日本人に最適化された標準的治療法の策定・普及を図る。標準的プロトコールを作成して、多施設共同治験を展開する。
柱2 エイズリンパ腫の分子病態解析:新規治療法開発を目指して、日本人エイズリンパ腫の分子生物学的解析、リンパ腫発生の分子メカニズムおよび化学療法耐性細胞出現の分子機構解明を行う。
柱3 エイズリンパ腫再現マウスモデルの開発と治療法開発への応用:「エイズリンパ腫再現マウスモデル」を樹立し、その分子病態の解析から新たな治療法の開発に資する。
結果と考察
1)「エイズリンパ腫治療の手引き」を作成し、日本血液学会と日本エイズ学会において公開した。日本血液学会の教育講演、日本エイズ学会のシンポジウム等において、研究成果の公開と普及に努めた。
2)全国規模臨床治験を行うためのワーキンググループを立ち上げ、び慢性大細胞性リンパ腫と治療抵抗性リンパ腫のプロトコールを作成中である。
3)エイズリンパ腫の病態解析に基づき、有効な薬剤を数種類同定した。
4)エイズリンパ腫の保存検体は、マイクロアレイ解析には適していなかった。新たな検体収集システムの構築を計画している。
5)新たな高度免疫不全マウスを用いてヒトの造血・免疫系を構築したマウスを樹立した。「ヒト化マウス」にEBVを感染させることにより、潜伏感染とリンパ増殖性疾患のモデルを確立した。また、エイズリンパ腫治療モデルを樹立した。
結論
日本人に最適化されたエイズリンパ腫の治療法確立のために「エイズリンパ腫治療の手引き」を策定し、全国レベルの多施設共同研究の実施体制を整えた。また、エイズリンパ腫発症・治療マウスモデルの作成、分子標的療法の有用性についての知見を得るなどの研究の進展が認められた。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
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