HIV検査相談機会の拡大と質的充実に関する研究

文献情報

文献番号
200830012A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV検査相談機会の拡大と質的充実に関する研究
課題番号
H18-エイズ・一般-013
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
今井 光信(神奈川県衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 真吾(慶応義塾大学医学部)
  • 川畑 拓也(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 木村 和子(金沢大学大学院自然科学研究科)
  • 小島 弘敬(東京都南新宿検査・相談室)
  • 貞升 健志(東京都健康安全研究センター)
  • 嶋 貴子(神奈川県衛生研究所)
  • 杉浦 亙(国立感染症研究所)
  • 立川 夏夫(横浜市立市民病院)
  • 玉城 英彦(北海道大学大学院国際保健医学)
  • 中瀬 克己(岡山市保健所)
  • 長野 秀樹(北海道立衛生研究所)
  • 日野 学(日本赤十字社血液事業本部)
  • 松浦 基夫(特定非営利活動法人チャーム)
  • 矢永 由里子(財団法人エイズ予防財団)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
50,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、HIV検査相談の機会を活用して、HIV感染者の早期発見・早期治療と感染予防・感染拡大の防止を計るため、(1)HIV検査相談機会の拡大に関する研究(2)相談・カウンセリングの質的向上に関する研究(3)HIV検査技術の開発・改善・導入・普及等に関する研究等の3課題の研究を行った。
研究方法
HIV検査相談の実施機関、HIV検査技術・検査相談技術の研修機関、HIV検査の実施機関、大学等の共同研究として、上記の研究を行った。(倫理面への配慮:プライバシーの保護に努めると共に、検査結果の迅速な還元に努めた。)
結果と考察
1. 検査相談の最新詳細情報を提供している、ホームページ“HIV検査相談マップ”へのアクセスは、1日2200件、積算で500万件を越え、携帯電話からのアクセス数も年間56万件に達し、情報提供手段として極めて有効に機能した。また、各項目へのアクセス状況により、受検希望者の動向をモニタリングする研究手段としても有用であった。
2. 保健所等無料検査における受検者数および陽性者数はここ数年、増加を続け、2008年には2002年に比べ受検者数で2.9倍、陽性者数では2.2倍(501件)に達した。また、即日検査の導入クリニックでの受検者も増加しており2008年の陽性数は104件であった。また、2008年の郵送検査利用者数は5万件で、陽性数は230件に増加した。
3. HIV検査相談に試験的にNATを導入し検討した結果、抗体陰性でNATのみ陽性の感染初期例が10例あり、感染リスクの高い集団にはNATによる検査の有用性を明らかにできた。
4. PA法とBED法を用いて抗体価から感染時期を推定した結果、保健所、クリニック、献血等での陽性者の4%-12%が感染後3ヶ月以内の感染初期例の可能性があることが分かった。
5. 汎用PCR機器で測定可能なHIV-RNA測定キットの販売中止となるため、汎用機器で測定可能で、必要検体量が0.5 ml以下でコバスTaqMan法と同程度の性能を有する、独自のHIV-1RNA定量法(KK-TaqMan法)を開発した。
6. HIV検査相談の担当者向けの研修用ガイドライン実践基礎編を作製しその活用に努めた。
結論
即日検査の普及等により保健所等無料検査への受検者数・検査陽性数は増加しつつあるが、献血での陽性者も依然多く、新たな検査相談法の開発・導入も含め、さらに検査相談体制の充実に向けての努力が必要である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-

文献情報

文献番号
200830012B
報告書区分
総合
研究課題名
HIV検査相談機会の拡大と質的充実に関する研究
課題番号
H18-エイズ・一般-013
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
今井 光信(神奈川県衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 大竹 徹(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 加藤 真吾(慶応義塾大学医学部)
  • 金光 公浩(日本赤十字社血液事業本部)
  • 川畑 拓也(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 木村 和子(金沢大学大学院自然科学研究科)
  • 小島 弘敬(東京都南新宿検査・相談室)
  • 貞升 健志(東京都健康安全研究センター)
  • 佐野(嶋) 貴子(神奈川県衛生研究所)
  • 澤田 幸治(北海道立衛生研究所)
  • 杉浦 亙(国立感染症研究所)
  • 立川 夏夫(横浜市立市民病院)
  • 玉城 英彦(北海道大学大学院国際保健医学)
  • 中瀬 克己(岡山市保健所)
  • 長野 秀樹(北海道立衛生研究所)
  • 日野 学(日本赤十字社血液事業本部)
  • 松浦 基夫(特定非営利活動法人チャーム)
  • 矢永 由里子(財団法人エイズ予防財団)
  • 吉田 靖子(東京都健康安全研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、HIV検査相談の機会を活用して、HIV感染者の早期発見・早期治療と感染予防・感染拡大の防止を計るため、(1)HIV検査相談機会の拡大に関する研究(2)相談・カウンセリングの質的向上に関する研究(3)HIV検査技術の開発・改善・導入・普及等に関する研究等の3課題の研究を行った。
研究方法
HIV検査相談の実施機関、HIV検査技術・検査相談技術の研修機関、HIV検査の実施機関、大学等の共同研究として、上記の研究を行った。(倫理面への配慮:プライバシーの保護に努めると共に、検査結果の迅速な還元に努めた。)
結果と考察
1. ホームページ“HIV検査相談マップ”(アクセス数、1日2200件、積算500万件、携帯電話からのアクセス数も年間50万件以上)の活用により、HIV検査相談の最新情報を提供すると共に、そのアクセス状況により、受検希望者の動向をモニタリングが可能となった。
2. 保健所等無料検査における受検者数および陽性者数はここ数年、増加を続け、2008年には2002年に比べ受検者数で2.9倍、陽性者数では2.2倍(501件)に達した。また、即日検査の導入クリニックでの受検者も増加しており2008年の陽性数は104件であった。また、2008年の郵送検査利用者数は5万件で、陽性数は230件に増加した。
3. HIV検査相談に試験的にNATを導入し、NATのみ陽性の感染初期例(10例)を検出し、感染リスクの高い集団でのNAT検査の意義と有用性を明らかにした。
4. PA法とBED法を用いて抗体価から感染時期を推定した結果、保健所、クリニック、献血等での陽性者の4%-12%が感染後3ヶ月以内の感染初期例の可能性があることが分かった。
5. クリニック等での検討により、唾液検査キットの性能とHIV検査相談の場での有用性について明らかにした。
6. 汎用機器で測定可能で、必要検体量が0.5 ml以下でコバスTaqMan法と同程度の性能を有する、独自のHIV-1RNA定量法(KK-TaqMan法)を開発した。
7. HIV検査相談の担当者向けの研修用ガイドライン実践基礎編を作製しその活用に努めた。
結論
即日検査等利便性の高い検査相談の普及等により保健所等無料検査への受検者数・検査陽性数は増加しつつあるが、献血での陽性者も依然多く、新たな検査相談法の開発・導入も含め、さらに検査相談体制の充実に向けての努力が必要である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200830012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
①HIV即日検査の効果と課題を明らかにするとともに、保健所等のHIV検査相談の現状とその年次推移、今後の課題地域特性等を明らかにした。
②ホームページ“HIV検査相談マップ”による広報の効果とそのアクセス数、各項目へのアクセス状況から広報の効果と受検希望者のニーズ等を明らかにした。
③市販キットを使用しない独自のHIV定量検査法(DNA とRNA)の開発を行った。
臨床的観点からの成果
①HIV定量検査を行っている民間検査センターや各地の衛生研究所を対象に毎年パネル検体を用いた測定結果の検討を行い、その測定精度の向上を計った。
②HIVスクリーニング検査における偽陽性をできるだけ少なくするための二重検査法の開発とその導入により、偽陽性問題の減少とスクリーニング検査の精度向上を計った。
③HIV遺伝子検査の一部スクリーニング検査への導入により、感染初期のHIV感染者の発見とその早期治療に繋げた。
ガイドライン等の開発
保健所等におけるHIV即日検査のガイドライン(改訂版)”“HIV検査相談の事例集(ⅠおよびⅡ)”、“HIV検査相談に関する研修のためのガイドライン”を作成し各保健所やHIV検査相談を実施している関係者に配布し、HIV検査相談の質の向上を計った。
その他行政的観点からの成果
①研究班が提供するホームページ“HIV検査相談マップ”(パソコン用と携帯電話用)の活用により、HIV検査相談の詳細な最新情報を提供することで、受検希望者と受検者の増加に貢献できた。
②保健所等HIV検査相談実施施設や郵送検査実施施設へのアンケート調査により、HIV検査相談やHIV検査の実施状況・現状・課題等を明らかにできた。
③各種ガイドラインの作成と配布および講習会の実施等により、HIV検査相談の質の向上に貢献できた。
その他のインパクト
研究班の活動と関連して“HIV即日検査”、“HIV検査相談マップ”“偽陽性問題”等が新聞等のマスコミに取り上げられることでエイズやHIV感染に関する関心を高めることに貢献できた。

発表件数

原著論文(和文)
60件
原著論文(英文等)
51件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
161件
学会発表(国際学会等)
26件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
5件
「HIV検査・相談マップ」「保健所等におけるHIV即日検査のガイドライン(改訂版)」「HIV検査相談の事例集(ⅠおよびⅡ)」、「HIV検査相談に関する研修のためのガイドライン」

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-07-03
更新日
-