新型インフルエンザ大流行時の公衆衛生対策に関する研究

文献情報

文献番号
200829036A
報告書区分
総括
研究課題名
新型インフルエンザ大流行時の公衆衛生対策に関する研究
課題番号
H20-新興・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
押谷 仁(東北大学大学院医学系研究科 微生物学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 小坂 健(東北大学大学院歯学系研究科 国際歯科保健分野 )
  • 森兼 啓太(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 神垣 太郎(東北大学大学院医学系研究科 微生物学分野 )
  • 和田 耕治(北里大学医学部衛生学公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型インフルエンザ対策としてワクチンの開発・抗ウイルス薬の備蓄が進んでいるが、実際に被害を最小限に食い止めるためには様々な公衆衛生対策も同時に行うことが必要である。具体的には学校・職場の閉鎖、集会の制限などや、接触者の自宅待機や発症者の隔離、検疫の強化による水際対応、咳エチケットなどの個人防御が含まれる。しかしこれらの有効性に関する科学的な根拠は乏しく、またこれらの対策を大規模に行った場合の社会的影響も非常に大きいために周到な検討が必要である。新型インフルエンザパンデミック時における公衆衛生対策を実施する際に問題となる点を明確にするとともに、実際に対策を実施するために必要な疫学的なおよび社会学的な知見を集めることを目的とする。
研究方法
1)現時点での我が国におけるパンデミックインフルエンザ対策の現状に関する検討、2)公衆衛生対応における現時点での知見の集積、3)停留やマスク着用における課題点の整理および提言をまとめるという3つのコンポーネントについて研究を実施した。
結果と考察
市町村での対策が十分に進んでおらず、強化していく必要であることがアンケート調査で明らかとなったが海外においては机上訓練などを通して課題の整理・改善を行なっており、このような取り組みが日本でも必要であると考えられた。公衆衛生対策を行う上で必要な知見については、これまで報告されている感染伝播に関する知見および学校閉鎖に関してレビューを行った。パンデミック期を通してインパクトを把握するシステムとして死亡者数を監視するサーベイランスは有用であると考えられる。停留は新型インフルエンザ発生初期の検疫体制を考える上で重要な部分を担っているが実際に行なうことで問題点の整理を行うことができた。マスクについても着用に関してのトレーニングツールの開発などを行なうとともにN95マスクのフィット改善に向けた課題点を整理した。
結論
インフルエンザの感染伝播様式はいくつかの可能性がありそれを踏まえて総合的にかつ戦略的に対策を進める必要がある。学校閉鎖についてはその開始するタイミングが非常に重要であると考えられた。また停留については、新型インフルエンザ発生初期の検疫体制を考える上で重要な部分を担っているが実際に停留を行なうことで問題点の整理を行うことができた。停留の実行についても多くの課題がありこれらの課題の整理と対応策を早急に考える必要がある。N95マスク着用に関しても教育ツールや小児に対するマスクの開発などが更なる対策が必要であると考えられた。地域においてさらに実際の対策について準備をすすめる必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2010-01-12
更新日
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