精神障害者の生活機能と社会参加の促進に関する研究

文献情報

文献番号
200827019A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者の生活機能と社会参加の促進に関する研究
課題番号
H19-障害・若手-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 深雪(山形大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
1,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成19年度に開発した「自己評価式精神障害者生活機能評価尺度」を使用し,デイケア通所者の生活機能の実態を明らかにし,その上で生活機能と個人因子の関連を明らかにすることである。
研究方法
対象者は,病名が統合失調症である者で,かつ,病院付設型デイケア(26施設)に登録するデイケア通所者1176名,精神障害者小規模作業所(71施設)に登録する作業所通所者1014名,精神病院(6施設)に通院する外来通院患者(デイケア,作業所に通所しない)916名の3106名である。
郵送法による質問紙調査を実施した。質問紙の内容は,通所者の個人因子に関すること(年齢,通所目的,施設利用期間など),自己評価式精神障害者生活機能評価尺度(36項目),日本語版Rathus assertiveness schedule(J-RAS:30項目)である。統計的に分析した。倫理的配慮は,厚生労働省の「臨床研究に関する倫理指針」を遵守した。
結果と考察
1.デイケア通所者の生活機能と個人因子
生活機能について,デイケア通所者の生活機能点は82.7±17.1点,作業所通所者の生活機能点は82.5点±16.8点,外来通院患者の生活機能点は78.0±20.0点であった。デイケア通所者の生活機能点は,外来通院患者の生活機能点より有意に高かったが,作業所通所者の生活機能点とは有意な差がなかった。個人因子について,デイケア通所者の通所目的数は3.1±2.1個であり,作業所通所者の通所目的数は3.3±2.1個であった。アサーティブネス得点は,デイケア通所者-7.4±20.2点,作業所通所者-7.5±20.9点,外来通院患者-16.7±23.1点であった。デイケア通所者のアサーティブネス得点は,外来通院患者のアサーティブネス得点より有意に高かったが,作業所通所者のアサーティブネス得点とは有意な差がなかった。デイケア通所者の生活機能とコミュニケーション能力に個人差が大きいことが明らかとなった。
2.デイケア通所者の生活機能と個人因子の関連
デイケア通所者の生活機能点とアサーティブネス得点に正の関係がみとめられた。また,生活機能点と通所目的数に正の関係がみとめられた。デイケア通所者の生活機能は,コミュニケーション能力と通所目的数に関連している特徴がみられた。デイケアでは,通所者が通所目的を意識しながら通所できるよう支援することが,通所者の生活機能を向上すると考える。
結論
デイケア通所者の生活機能は個人差が大きかった。また,生活機能はコミュニケーション能力,通所目的数に関連していた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-05
更新日
-