青年期発達障害者の円滑な地域生活移行への支援についての研究

文献情報

文献番号
200827013A
報告書区分
総括
研究課題名
青年期発達障害者の円滑な地域生活移行への支援についての研究
課題番号
H19-障害・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
深津 玲子(国立障害者リハビリテーションセンター 病院 医療相談開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 江藤文夫(国立障害者リハビリテーションセンター 更生訓練所)
  • 中島八十一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 高木晶子(国立秩父学園)
  • 石渡利奈(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 神尾陽子(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 北村弥生(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
青年期というライフステージに適した発達障害者の地域生活移行を円滑に行うための支援体制および支援手法について提言する。
研究方法
福祉、医療、雇用支援機関の地域における連携モデル(所沢モデル)を提唱・運用することにより、青年期発達障害者の自立訓練および就労移行支援を行う。
結果と考察
(1) 所沢モデルの整備・拡充と運用:初年度は、発達障害支援センター(埼玉県まほろば)、医療機関(国立秩父学園発達診療室)、自立支援法指定障害者支援施設(国立障害者リハビリテーションセンター更生訓練所)、雇用支援機関(国立職業リハビリテーションセンター)の連携を確立した。2年目は、青年期まで未診断の群を支援の枠組みの中に入れるため、連携モデルに一般精神科を加え、専門医療機関(20年10月1日以降国立リハセンター病院発達障害診療室)との双方向性の対象者の流れを作った。現在8例が所沢モデル運用の対象となり5例が研究対象者として訓練を受けている。
(2) 青年期発達障害者の支援手法の開発
• 定量的な行動評価方法の確立:PARS,SRS-A,AQ-Jを用いている。SRS-Aについて、3例で自閉症的行動特徴の親評価は介入後著明に減少している。
• 自立訓練、就労移行支援に必要な介入手法の開発:個別支援計画を作成し、更生訓練所にて介入を行い、事例検討した。他の障害を持つ集団内での個別訓練の効果は大きいことが示唆される。全例介入中であり、介入前後の変化については年度末報告書で詳述する。
• 発達障害者と両親の自己概念の評価:訓練初、中期に本人と両親に自己概念の質問紙による調査をした。初期当事者と父親の自己概念得点は対照群と有意な差はないが、母親のそれは有意に高い。介入3ヶ月後で自己概念得点は当事者、両親とも大きな変化はなく、訓練が否定的な経験ではなかったことがうかがわれる。
• 機器による補完的手段の有効性の検討:19年度の調査結果に基づき、個別に福祉機器活用を提案、2例でタイムエイドを試用中。他例においても提案予定中である。
結論
青年期の発達障害者が円滑に職業生活を主体とした地域生活を行うための支援体制は、学童期までの支援体制とはやや異なる可能性があるが、いずれも発達障害者支援センターを中心に連携可能である。そこでの支援手法について評価、個別訓練方法、補完的手段を含め提言可能と考える。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-