小児期のメタボリックシンドロームに対する効果的な介入方法に関する研究

文献情報

文献番号
200825066A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期のメタボリックシンドロームに対する効果的な介入方法に関する研究
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-020
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大関 武彦(浜松医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 知雄(日本大学 医学部)
  • 吉永 正夫(国立病院機構鹿児島医療センター 小児科)
  • 有阪 治(獨協医科大学 小児科)
  • 板橋 家頭夫(昭和大学医学部 小児科学)
  • 井上 文夫(京都教育大学体育学科 学校保健)
  • 内山 聖(新潟大学大学院医歯学総合研究科 小児科学分野)
  • 杉原 茂孝(東京女子医科大学東医療センター 小児科)
  • 玉井 浩(大阪医科大学 小児科学)
  • 花木 啓一(鳥取大学医学部保健学科 母性 小児家族看護学講座)
  • 中川 祐一(浜松医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児のメタボリックシンドロームに対する効果的な介入方法を確立することを目的とする。これは小児期の健康増進に貢献するのみならず、成人期のメタボリックシンドロームを予防することが期待される。小児の脂肪蓄積は成人期にトラッキングし、生活習慣の確立は小児期にスタートすることから、小児期は生活習慣病の予防において重要な時期といえる。
研究方法
小児のメタボリックシンドロームの介入方法を確立するために、食事療法、運動療法、その他の療法についての具体的な方策を提示・検証する。このための基礎的事項として高リスク群と発症要因の把握し、小児のメタボリックシンドロームの病態についてのエビデンスを集積する。小児のメタボリックシンドロームの重要性と介入効果の判定のために血管病変の評価を加えた。効果的な介入のための対象者の群分けの基準を検討した。
結果と考察
小児のメタボリックシンドロームの発症には遺伝的素因および胎内環境によるエピジェネティックな機序などの出生前要因、乳児期の成長パターン、幼児期のBMI rebound(アディポシティリバウンド)などが関与することが示唆された。生活習慣では食事や運動のみならず、睡眠時間、両親を含む家族の生活状況の重要性が示された。
 日本人小児の診断は循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業「小児期メタボリック症候群の概念・病態・診断基準の確立及び効果的な介入に関するコホート研究」(平成17-19年度)の診断基準によりなされることが定着している。腹囲の増大、高血圧、脂質異常、高血糖の4種の心血管危険因子はリスクの評価や支援活動において有用であった。
 血管の初期病変の評価のため頚動脈超音波、脈波伝導速度、Flow mediated dilatation (FMD)、尿中アルブミンなど有効性の指標となる可能性が示された。
 効果的な介入を行うためには、(1)メタボリックシンドロームである小児(治療的介入)、(2)メタボリックシンドロームのリスクのある小児(予防的介入)、(3)現在はリスクのない小児(正しい情報提供)の3群に分類し、年齢を考慮した食事療法、運動療法を中心とした介入が効果的であると考えられた。
結論
小児におけるメタボリックシンドロームに対しては、我が国小児のための診断基準による判定と、対象者を(1)治療的介入、(2)予防的介入、(3)正しい情報提供群の3群に分けて食事・運動を含む介入方策を確立することが効果的であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-