健康づくりのための休養や睡眠の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
200825048A
報告書区分
総括
研究課題名
健康づくりのための休養や睡眠の在り方に関する研究
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
兼板 佳孝(日本大学医学部 社会医学系公衆衛生学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 赤柴 恒人(日本大学医学部 内科学系睡眠医学分野)
  • 内山 真(日本大学医学部 精神医学系精神医学分野)
  • 中路 重之(弘前大学医学部 社会医学講座)
  • 内村 直尚(久留米大学医学部 精神医学)
  • 三島 和夫(国立精神・神経センター 精神保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、健康づくりのための休養指針や睡眠指針の改定が検討されている状況にあって、休養と睡眠のあり方を疫学研究の立場から検証して、指針の改定に必要な科学的根拠を提供することを目的とする。
研究方法
(1)全国から一般住民2,371人を無作為抽出し、面接調査を実施した。(2)大学病院精神神経科を受診しICD-10の非器質性不眠症の診断を受けた患者20名を対象に初診時および治療1ヶ月後の気分状態および生活の質(QOL)を比較検討した。(3)睡眠センターにて診断された閉塞型睡眠時無呼吸症候群481人のうち、非肥満者118人について、メタボリックシンドロームの診断基準項目を検討した。(4)A県I町の一般住民を対象に身体計測、血液検査、生活習慣調査を行い、成人940名について睡眠とメタボリックシンドロームの関係を検討した。(5)(6)既存の一般成人24,686人の自記式質問票データを分析した。(7)A県I町の地域住民の2年間の縦断データ(497人)について解析を行った。(8)男性地方公務員(21,693人)の7年間の縦断研究データを解析した。
結果と考察
(1)休養がとれていないほど、余暇が充実していないほど、主観的健康度が低く、多変量解析では、休養と余暇の利用が独立して主観的健康度と関連した。(2)不眠の治療後、睡眠障害と日中の眠気の得点が改善した。不安、緊張、抑うつ、疲労、混乱、身体的QOLが有意に改善した。(3)非肥満例では無呼吸の回数が多い群において、高血圧、脂質代謝異常、糖代謝異常の合併が多かった(4)男性ではメタボリックシンドロームに罹患しているものほど睡眠障害を有する率が高かった。(5)不眠の重症度と休養不足感は正の相関を示し、不眠のタイプと休養不足感の関連では、熟眠障害で最も関連が強かった。(6)睡眠自己調節法として「入浴」や「規則正しい生活を心がけている」ことは日中の過剰な眠気と負に関連し、「軽食をとる」ことは正に関連した。(7)入眠障害が、高血糖の発症のリスクを高める結果が得られた。(8)短い睡眠時間では肥満、高血糖、高トリグリセライド血症のそれぞれの発症リスクが高まる結果が得られた。また、交代制勤務に従事することは、高血糖と高トリグリセライドの発症を促進することが明らかとなった。
結論
不眠と抑うつが関連することや、睡眠時間とシフトワークが生活習慣病に関連することなど、休養や睡眠と心身の健康との間の密接な関連性を示唆する知見が得られた。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-