口腔保健と全身のQOLの関係に関する総合研究

文献情報

文献番号
200825045A
報告書区分
総括
研究課題名
口腔保健と全身のQOLの関係に関する総合研究
課題番号
-
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
花田 信弘(鶴見大学 歯学部)
研究分担者(所属機関)
  • 宮崎 秀夫(新潟大学大学院)
  • 才藤 栄一(藤田保健衛生大学)
  • 小野 高裕(大阪大学大学院)
  • 泉福 英信(国立感染症研究所)
  • 若井 建志(名古屋大学大学院)
  • 石井 拓男(東京歯科大学 歯学部)
  • 安細 敏弘 (九州歯科大学 歯学部)
  • 安藤 雄一(国立保健医療科学院)
  • 野村 義明(鶴見大学 歯学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
口腔保健が全身のQOLに影響を及ぼしている状況を科学的に評価することを目的とした。
研究方法
「新潟スタディー」
 新潟市在住の「昭和2年生まれ」を対象とした。
「歯科治療による高齢障害者のQOLの改善」
48名の障害高齢者を対象とした。
「吹田研究」
国立循環器病センターの健診受診者311名。
「活性化NK細胞と体力および口腔日和見菌感染との関係」
80歳自立高齢者161名
「歯科医師における歯と全身の健康、栄養との関連」
日本歯科医師会の会員(約64,000名)を対象とした。
「咀嚼と肥満の関連性に関する研究」
小・中学校で肥満および早食い予防の個別支援プログラムに参加を希望した学童64名とその保護者。
「80歳福岡県地域住民におけるコホート研究」
1917年生まれの1282名のうち、827名を対象。
「国民健康・栄養調査データを用いた口腔状態と栄養摂取・身体状況等との関連」
 厚生労働省健康局生活習慣病対策室より利用許可を得た平成16年国民健康・栄養調査の個票データ。
結果と考察
「新潟スタディー」
 後期高齢男性において歩数と体力は関連し,咬合支持の多いほど優れた体力を有していた。精神健康度が口腔乾燥感に関与していた。
「歯科治療による高齢障害者のQOLの改善」:
昨年度の調査で、歯科治療介入群に口腔関連QOLスコアおよびFIM(表出)スコアの有意な増加が認められた。今回の調査結果がこれらを支持するかどうかを検証した。
「吹田研究」
歯数20本以上と20本未満の群とでは、年齢、収縮期血圧、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、血糖値において、有意差が認められた。
「活性化NK細胞と体力および口腔日和見菌感染との関係」
体力の維持が口腔常在菌数の安定化につながることが考えられた。
「歯科医師における歯と全身の健康、栄養との関連」
喪失歯数が多い群で少ない群よりも高い死亡リスクが観察された。
「咀嚼と肥満の関連性に関する研究」
肥満と「食べる早さ」や「よく噛む」などの『食べ方』との関連性が明らかとなった。
「80歳福岡県地域住民におけるコホート研究」
咀嚼能力が高い方を基準とすると、中くらいの者で2.1倍、低い者では5.1倍心血管疾患により死亡するリスクが高いことがわかった。
「国民健康・栄養調査データを用いた口腔状態と栄養摂取・身体状況等との関連」
50歳代以上ではHbA1cの値が高いと現在歯数が低値を示す傾向が認められた。
結論
口腔保健が全身のQOLに影響を及ぼしていることが各研究班の報告で示され、高齢者の口腔保健の重要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2009-04-15
更新日
-