急性心筋梗塞症と脳卒中に対する超急性期診療体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
200825043A
報告書区分
総括
研究課題名
急性心筋梗塞症と脳卒中に対する超急性期診療体制の構築に関する研究
課題番号
H19-心筋・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
野々木 宏(国立循環器病センター 心臓血管内科)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 保博(日本医科大学 救急医学)
  • 澤野 宏隆(大阪府立済生会千里病院 救命救急センター)
  • 石見 拓(京都大学大学院 医学研究科)
  • 豊田 一則(国立循環器病センター 脳血管内科)
  • 菊地 研(獨協医科大学 心血管肺内科)
  • 長尾 建(駿河台日本大学病院 循環器科)
  • 佐瀬 一洋(順天堂大学大学院医学研究科臨床薬理学教室)
  • 安田 聡(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 安賀 裕二(住友病院 循環器内科)
  • 嘉田 晃子(国立循環器病センター研究所 病因部)
  • 筈井 寛(大阪府三島救命救急センター)
  • 川村 孝(京都大学大学院 医学研究科)
  • 横山 広行(国立循環器病センター 緊急部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
34,125,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、地域医療圏における急性心筋梗塞症と脳卒中発症時に高度医療を時間の遅延なく効果的に提供できる救急医療システムの構築である。
研究方法
そのため予後改善に必要な発症から治療までの許容時間や高度医療施設の適性配置数、GIS利用による搬送距離と時間解析から必要なシステムの条件を検討する。また、モバイルテレメディシンを導入し、救急システムと3次救急医療施設間での共有システムにより、適切な搬送システムやオンラインメディカルコントロールシステムを構築しシステムの検証を行う。その結果、根拠に基づく医療として日本人の特性に応じた救命率向上対策としての診療体制の確立を目指すものである。
結果と考察
(1)搬送時間と予後:発症時重症度で補正すると、脳梗塞患者は早期来院例が退院時により多く機能回復が得られていた。(2)全国循環器疾患死亡調査に基づく分析を用い、広域医療圏である北海道や和歌山県は時間が長くなるにつれて高死亡率の範囲が広くなり、都市部である大阪は、時間が長くなっても死亡率に大きな変化は認められなかった。(3)大規模抽出によるアンケート調査を行い、一般住民において、疾患の正確な理解は低率で、発症時の救急車要請を行うとする回答は低率(11%)で、又高リスク患者に緊急時の対応など何らかの説明をおこなっている医師は多かったが、発症時のサインについて説明している医師は約半数にすぎず、医師からの救急車要請の指導も低率であった。啓発活動は市民のみならず医療従事者にも必要であることが明確となった。(4)モバイル・テレメディシン・システムにより5台の救急車と病院を結び12誘導心電図・バイタルサイン・動画電送を循環器救急症例に適用し治療開始までの時間を約30分短縮可能であった。(5)心原性心停止蘇生後に対する低体温療法多施設登録システムとプロトコール作成し、約250例の登録症例を得て解析を開始した。
結論
予後改善に必要な発症から治療までの許容時間や高度医療施設の適性配置数、搬送距離と時間解析から必要なシステムの条件を検討するため基礎データの作成を行った。また、モバイルテレメディシンを用いた適切な搬送システムやオンラインメディカルコントロールにより新しい循環器救急システムの提言が可能となった。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
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