地域・職域における生活習慣病予防活動・疾病管理による医療費適正化効果に関する研究

文献情報

文献番号
200825036A
報告書区分
総括
研究課題名
地域・職域における生活習慣病予防活動・疾病管理による医療費適正化効果に関する研究
課題番号
H19-循環器等(生習)・一般-019
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
津下 一代(愛知県健康づくり振興事業団 あいち健康の森健康科学総合センター 健康開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 村本 あき子(あいち健康の森健康科学総合センター)
  • 石川 貴之(トヨタ自動車 安全健康推進部)
  • 玉腰 暁子(愛知医科大学 公衆衛生学)
  • 沼田 健之(岡山県南部健康づくりセンター)
  • 小池 城司(福岡市健康づくりセンター)
  • 川渕 孝一(東京医科歯科大学 医療経済学)
  • 加田 賢治(社会保険中京病院 循環器科)
  • 織田 順(東京医科大学 救急医学)
  • 宮地 元彦(国立健康・栄養研究所)
  • 中川 正美(中川整形外科)
  • 水上 哲秀(水上クリニック)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
26,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域・職域における効果的・効率的な保健指導実施方策の検討と効果検証、保健事業や生活習慣病リスク低減による医療費適正化効果の検証を主な目的とする。また安全に運動指導を実施するためのリスク管理について検討する。
研究方法
①効果的な保健指導実施方策に関する研究:地域・職域においてメタボリックシンドローム(MetS)該当者・予備群を抽出、保健指導による健康指標・医療費の変化を経年的に評価する。現時点で4市町330人、5企業健保627人に対して保健指導を実施、性、年代、BMIをマッチングさせた対照群と比較した。
②医療費適正化効果の検証:2企業健保において、健診・レセプトデータの突合をおこない、健診後4年、10年後の医療費と初回検査データの関連を精査した。
③運動中の心血管疾患発症状況について文献レビュー、3次救急における活動中の重症心血管事故に関する調査、健康運動指導士に対するアンケート(事故経験、安全管理法など)を実施した。

結果と考察
①保健指導3か月後の体重減少率は平均2.0kg(2.9%)、MetS減少率39.7%、[該当者+予備群]減少率は22.0%。1年後の追跡を終えた401人の体重は平均2.7kg、4.0%減、MetS減少率45.1%、[該当者+予備群]減少率は29.5%。1年後の医療費は実施群、非実施群で有意差はなかった。
②医療費適正化効果の検証:予備群レベルの異常が数年後の医療費に反映すること、保健指導判定値⇒受診勧奨判定値への移行、リスク重複数の増加により、医療費が増大することが示された。
③運動指導の安全確保:健康運動指導士(1,617人)の回答では事故に遭遇した指導士は25%。安全に運動指導できる体制づくりが必要との観点から、運動指導時の安全管理マニュアルを作成した。
結論
保健指導の1年後評価にてMetS該当者の減少などの効果が確認できたが、医療費に及ぼす影響については追跡調査が必要である。保健指導による生活習慣病リスクの減少は数年後の医療費へ好影響を及ぼす可能性が示唆された。地域・職域では、対象者特性、制約条件、活用できるマンパワー等に相違があり、それぞれに合わせた実施体制の整備と保健指導プログラム開発が重要である。

公開日・更新日

公開日
2009-03-31
更新日
-