わが国の女性における生活習慣病の実態把握と発症要因の探索及び介入に関する研究

文献情報

文献番号
200825035A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国の女性における生活習慣病の実態把握と発症要因の探索及び介入に関する研究
課題番号
H19-循環器等(生習)・一般-018
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
太田 博明(東京女子医科大学 産婦人科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 松村 康弘(桐生大学医療保健学部)
  • 岡野 浩哉(東京女子医科大学 産婦人科学教室)
  • 石谷 健(東京女子医科大学 産婦人科学教室)
  • 林 邦彦(群馬大学医学部保健学科・疫学)
  • 藤田 利治(統計数理研究所 疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
中高年ボランティア女性を対象にメタボリックシンドローム(Met-s)と骨粗鬆症との罹患に対して,ライフスタイルの改善から発症予防法および進展抑制法を検討・提唱する(研究1)。
また,日本ナースヘルス研究データから生活習慣病の発生の実態と生活習慣・保健習慣などとの関連を分析する(研究2)。
研究方法
研究1
基本背景情報を聴取し,身長,体重,腹囲,血圧,腰椎骨密度(BMD),脈波伝搬速度(PWV),内臓脂肪面積(VFA),を測定する。さらに血液採取により脂質・糖・骨代謝等の130項目を評価し,生活習慣把握のために食事調査(DHQ)および身体活動調査(JALSPAQ)を行い,Metsと骨粗鬆症との疾患関連性を明確化する。
研究2
1999年に既往歴,保健習慣,生活習慣などの情報を収集したベースライン調査から,2年毎に追跡調査を実施し,保健習慣および生活習慣の変化と各種疾患の発生状況に関する情報を収集し,その関連性を調査する。
結果と考察
研究1
Metsも内臓脂肪の蓄積だけに留まっている間は体重増加とアディポネクチンの低下により,BMDは増加する。しかし,内臓脂肪の蓄積から,高血糖,高HbA1C,高TG血症,高血圧,高CRPを呈するとBMDは低下する。Metsの予備段階ではBMDは増加し,骨粗鬆症を併発しないが,Metsが進行して血管が硬化し,動脈硬化を来してくると,BMDは低下し,骨粗鬆化を呈するので,Metsと骨粗鬆症は併発することとなる。
研究2
(1)女性看護職の喫煙者の割合は4年間に14.7%から11.3%に減少していた。
(2)牛乳・乳製品,豆腐,納豆の摂取頻度は30歳以上で増加している。
(3)喫煙習慣,食物摂取は年齢や妊娠経験の影響を受けるが,閉経の影響は認められなかった。
結論
研究1
Metsに至らない内臓脂肪の蓄積の段階で予防策を講じれば,脂質・糖代謝異常や高血圧の防止が可能となり,動脈硬化も抑止できる。動脈硬化が抑止できれば骨粗鬆症化も招かない。健康教育などの介入により,Metsの初期段階における内臓脂肪の蓄積を持続させないことが重要である。
研究2
生活習慣と健康との関連に関する疫学研究においては,生活習慣を一時点のみで把握するのではなく,その変化を加味した検討を行う必要性が示唆された。
食物摂取に関しては,定量的解析を行うとともに,保健習慣,生活習慣の長期間における変化を加味した検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-