虚血性心疾患に対する外来型心臓リハビリテーションの有効性のエビデンスの確立と普及方策の検討に関する多施設研究

文献情報

文献番号
200825028A
報告書区分
総括
研究課題名
虚血性心疾患に対する外来型心臓リハビリテーションの有効性のエビデンスの確立と普及方策の検討に関する多施設研究
課題番号
H19-循環器等(生習)・一般-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
後藤 葉一(国立循環器病センター 心臓血管内科)
研究分担者(所属機関)
  • 伊東 春樹((財)日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院)
  • 百村 伸一(自治医科大学附属大宮医療センター総合医学第1)
  • 野原隆司((財)田附興風会医学研究所北野病院循環器内科)
  • 代田浩之(順天堂大学循環器内科)
  • 増田 卓(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科)
  • 上月正博(東北大学医学系研究科機能医科学講座内部障害学分野・東北大学病院リハビリテーション部)
  • 牧田 茂(埼玉医科大学 リハビリテーション医学教室)
  • 上嶋健治(京都大学大学院医学研究科EBM研究センター)
  • 折口秀樹(九州厚生年金病院循環器内科)
  • 安達 仁(群馬県立心臓血管センター循環器内科)
  • 長山雅俊(財)日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院循環器内科)
  • 大宮一人(聖マリアンナ医科大学循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
心臓リハビリテーション(心リハ)は虚血性心疾患患者の長期予後を改善することが確立されているが、わが国では欧米に比べ外来通院型心リハの普及の遅れが著しいことが明らかにされている(Circulation J 2007;71:173-179)。本研究の目的は、わが国における虚血性心疾患に対する退院後の外来通院型心リハに関して有効性のエビデンスの確立および普及方策の検討を多施設研究として実施することである。
研究方法
虚血性心疾患患者に対する外来通院型心リハの有効性を前向き登録研究および後ろ向き多施設調査により検討し、わが国におけるエビデンスの構築を行う。また海外において成功的に心リハを実施している施設の実情を調査する。これらの成果を統合的に分析することにより、全国的な普及促進のための具体的方策を提言する。
結果と考察
下記の研究プロトコールを実施し、成果を得た。
1)虚血性心疾患に対する外来通院型心リハの有効性を検討するための前向き登録研究プロトコール(J-REHAB)を開始し、平成21年3月1日までに244例の症例が登録された。
2)急性心筋梗塞後心リハの効果と費用に関する後ろ向き調査(心リハ施行例387例、非施行例286例)において、心リハ施行群は非施行群に比べ3ヶ月後の運動耐容能(嫌気性代謝閾値、最高酸素摂取量)増加率が有意に大きく、冠危険因子の改善状況が有意に良好で、18ヶ月後までの不安定狭心症/急性心筋梗塞による入院は心リハ施行群において非施行群より有意に低率であり、医療費には差はなかった。以上より、心リハが医療費を増加させずに運動耐容能、冠危険因子、長期予後(心事故率)を改善することが示された。
3)急性心筋梗塞後心リハ全国実態調査データの追加解析により、心リハの採算性に関して初期の数年間は設備投資費用により赤字となるが、5年以上の減価償却期間を見込むことにより採算が取れるようになることが判明した。また1日当たりの心リハ参加患者数は年間の急性心筋梗塞収容患者数により影響を受けるので、中小病院では参加者数を確保するための工夫が必要であると考えられた。
4)海外施設調査において、欧米(ESC・AACVPR)の推薦施設30施設のうち20施設から詳細な回答を得て解析中である。
結論
本年度の主な成果は、前向き登録症例が増加したことと後ろ向きデータにより外来心リハの効果と課題が示された点である。今後、本研究において、虚血性心疾患に対する外来通院型心リハのエビデンスが構築され、海外施設における成功事例を参考として、わが国に心リハを広く普及させるための具体的方策を提言する計画である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-01-27
更新日
-