都道府県等の生活習慣病リスク因子の格差及び経年モニタリング手法に関する検討

文献情報

文献番号
200825003A
報告書区分
総括
研究課題名
都道府県等の生活習慣病リスク因子の格差及び経年モニタリング手法に関する検討
課題番号
H18-循環器等(生習)・一般-037
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
吉池 信男(公立大学法人青森県立保健大学 健康科学部栄養学科)
研究分担者(所属機関)
  • 由田 克士(国立健康・栄養研究所 国民健康・栄養調査プロジェクト)
  • 下光 輝一(東京医科大学公衆衛生学)
  • 田嶼 尚子(東京慈恵会医科大学 内科学)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 人材育成部)
  • 中村 雅一(大阪府立健康科学センター 脂質基準分析室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
メタボリックシンドロームの予防・管理を主眼とした特定健康診査・保健指導事業が開始された。そこでは、都道府県が生活習慣病のリスク因子等に関する質の高いデータを収集し、相互比較及び経年変化を行うことが重要である。このようなモニタリングについて技術的な問題解決につながる研究や手法開発を行い、さらに都道府県別指標のデータベースを開発・公開すること。
研究方法
分担研究者がそれぞれの専門領域に関わる課題の検討を進めるとともに、全体的な調整・統合を十分に図り、必要なエビデンスの構築およびツールやデータベースの開発・公開を行う。
結果と考察
○メタボリックシンドローム関連指標:国民健康・栄養調査等でのHbA1c測定値の真値からのブレは許容範囲にあった。着衣のまま腹囲を測定した場合は実測値から1.3~1.5cm引いた値を検査値とするのが良いことが示唆された。メタボリックシンドローム構成因子に関わる適切な腹囲のカットオフ値は男性85cm、女性80cmであり、脳卒中・冠動脈疾患死のハイリスク者を予測するためにはBMIと腹囲の両者の計測が必要と考えられた。○血液検査の標準化手法及び都道府県の相互比較・経年変化:国民健康・栄養調査の血液化学検査成績に関する測定精度の追跡システムを考案した。○身体活動等の行動指標の検討:身体活動関連項目と主観的健康感、運動習慣、身体活動、歩数との関係を検討し、都道府県調査において有用な指標を提案した。○健康・栄養調査の精度向上を目指した技術支援:複数の食事調査法等を比較した結果、現行の「比例案分法」(秤量法)が、行政が実施する調査の手法として相対的に優れていることが示唆された。都道府県健康・栄養調査の集計と統計処理に関する一定の“ガイドライン”を作成するとともに、データ活用のための集計用PCソフトウェアーを開発し、提供した。○都道府県健康・栄養調査を活用したデータベース構築:国民健康・栄養調査データ及び都道府県民健康・栄養調査をデータソースとして、都道府県指標データベースを完成させ、(独)国立健康・栄養研究所のホームページから公開した。 
結論
本研究により、都道府県における調査の技術的基盤の充実・強化、及び疫学的評価技術の向上を図ることが期待される。その上に収集されたデータについて、コアとなる指標のデータベース化・HPによる公開によりデータの活用が促進される。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200825003B
報告書区分
総合
研究課題名
都道府県等の生活習慣病リスク因子の格差及び経年モニタリング手法に関する検討
課題番号
H18-循環器等(生習)・一般-037
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
吉池 信男(公立大学法人青森県立保健大学 健康科学部栄養学科)
研究分担者(所属機関)
  • 下光 輝一(東京医科大学 公衆衛生学)
  • 田嶼 尚子(東京慈恵会医科大学 内科学)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 人材育成部)
  • 中村 雅一(大阪府立健康科学センター 脂質基準分析室)
  • 由田 克士(国立健康・栄養研究所 国民健康・栄養調査プロジェクト)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
メタボリックシンドロームの予防・管理を主眼とした特定健康診査・保健指導事業が開始された。そこでは、都道府県が生活習慣病のリスク因子等に関する質の高いデータを収集し、相互比較及び経年変化を行うことが重要である。このようなモニタリングについて技術的な問題解決につながる研究や手法開発を行い、さらに都道府県別指標のデータベースを開発・公開すること。
研究方法
分担研究者がそれぞれの専門領域に関わる課題の検討を進め、必要なエビデンスの構築およびツールやデータベースの開発・公開を行った。
結果と考察
1)身体活動等の行動指標の検討:○生活活動時間調査マニュアルの作成、○地域健康調査における身体活動・飲酒・喫煙調査項目の検討
2)メタボリックシンドローム関連指標の検討:○HbA1cの精度管理、○糖尿病発症を予測する指標としての空腹時血糖値およびHbA1c値、○腹囲測定の精度・適正なカットオフ値・BMIと腹囲の代謝異常、脳卒中・冠動脈疾患死リスク予測能の比較
3)血液検査の標準化手法及び都道府県の相互比較・経年変化:○全国を対象とした場合、○都道府県を対象とした場合、○標準的な健診・保健指導プログラムへの協力
4)健康・栄養調査の精度向上を目指した保健所栄養士等を対象とする技術支援に関する研究:○保健所栄養士等の調査精度向上のための総合的な対策、○各種食事調査法に関する比較検討
5)健康・栄養調査における都道府県別指標に関わる統計学的検討:○メタボリックシンドローム関連施策の評価のための都道府県別指標等に関する検討、○都道府県別指標の精度とサンプリング・統計解析手法、○国民健康・栄養調査による全国及び地域ブロック別の生活習慣病リスク因子のモニタリング精度の検討、○健康・栄養調査の精度向上を目指した企画・運営・評価の技術支援に関する研究
6)都道府県健康・栄養調査を活用したデータベースの構築に関する検討:○都道府県健康・栄養調査の実態に関する検討、○国民健康・栄養調査を活用した健康及び栄養水準に係る都道府県別ベンチマーク指標の検討、○都道府県健康・栄養調査を活用したデータベースの構築と公開
結論
本研究により、都道府県における調査の技術的基盤の充実・強化、及び疫学的評価技術の向上を図ることが期待される。その上に収集されたデータについて、コアとなる指標のデータベース化及びホームページからの公開により、データの活用が促進されると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200825003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 健康増進施策、生活習慣病予防対策(特にメタボリックシンドロームを中心とした一次、二次予防プログラム)に関わる疫学的評価研究に活用し得る、基礎データ(腹囲測定の精度管理、HbA1c及び脂質測定の精度管理プログラムなど)や統合データ(都道府県健康・栄養調査を活用したデータベース)の蓄積や発信を行うことができた。そのことにより、関連領域の研究が推進されることが期待される。
臨床的観点からの成果
 都道府県の公衆衛生担当者、健康増進及び栄養政策担当者が活用できるデータや情報の整理と発信(都道府県健康・栄養調査の実態に関するレビュー、都道府県指標データベース、生活活動時間調査マニュアル、健康・栄養調査の精度向上を目指した企画・運営・評価の技術支援等)を行った。そのことにより、都道府県健康増進計画の策定・評価・改善がより良く実施されることが期待される。
ガイドライン等の開発
 都道府県健康・栄養調査の集計方法は都道府県によって様々であるため、国全体および他県との比較は容易ではなく、また、健康増進計画等の評価に用いる際の統計処理にも定まったルールがなかった。そこで、「健康・栄養調査の集計と統計処理に関するガイドライン」を作成し、さらにデータ活用のための集計用PCソフトウェアを作成した。これらは、国立保健医療科学院における都道府県担当者を対象とした研修で活用された。
その他行政的観点からの成果
 本研究の成果として、「腹囲測定の精度の検討」(平成19年度)、「国民健康・栄養調査による全国及び地域ブロック別の生活習慣病リスク因子のモニタリング精度の検討」(平成20年度)は、それぞれ特定健康診査における腹囲測定方法の留意事項(特に着衣時の測定について)及び平成21年国民健康・栄養調査の標本設計(厚労省健康局の国民健康・栄養調査企画検討委員会で検討予定)の基礎資料として活用された。血液検査の精度管理に関わる研究の成果は、継続して国民健康・栄養調査の実施・運営において活用されている。
その他のインパクト
 研究班の成果については、分担研究者が所属する国立健康・栄養研究所及び国立保健医療科学院が主催する、都道府県や保健所の健康増進・栄養政策担当者を対象とした研修に毎年度活用されている。また、栄養調査の技術的な検討事項については、国立健康・栄養研究所のホームページから随時公開され、活用されている。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
29件
その他論文(和文)
25件
その他論文(英文等)
4件
学会発表(国内学会)
40件
学会発表(国際学会等)
10件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
その他成果(普及・啓発活動)
6件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Hayashi F, Takimoto H, Yoshita K, Yoshiike N
Perceived body size and desire for thinness of young Japanese women: A population-based survey
Br J Nutr , 96 , 1154-1162  (2006)
原著論文2
Ishiwaki A, Yokoyama T, Fujii H, Saito K, Nozue M, Yoshita K, Yoshiike N
A statistical approach for estimating the distribution of usual dietary intake to assess nutritionally at-risk populations based on the Japanese new Dietary Reference Intakes (DRIs)
J Nutr Sci Vitaminol , 53 , 337-344  (2007)
原著論文3
Nishimura R, Nakagami T, Tominaga M, Yoshiike N, Tajima N
Prevalence of metabolic syndrome and optimal waist circumference cut-off values in Japan
Diabetes Res Clin Pract , 78 , 77-84  (2007)
原著論文4
Hayashi F, Yoshiike N, Yoshita K, Kawahara K
Trends in the prevalence of anaemia in Japanese adult women, 1989-2003
Public Health Nutrition , 11 , 252-257  (2008)
原著論文5
Nakagami T, Tominaga M, Nishimura R, Yoshiike N, Daimon M, Oizumi T, Tajima N
Is the measurement of glycated hemoglobin A1c and efficient screening test for undiagnosed diabetes? Japan National Diabetes Survey
Diabetes Res Clin Pract , 76 , 251-256  (2007)
原著論文6
Nakagami T, Tominaga M, Nishimura R, Daimon M, Oizumi T, Yoshiike N, Tajima N
Combined use of fasting plasma glucose and HbA1c in a stepwise fashion to detect diabetes mellitus
Tohoku J Exp Med , 213 , 23-32  (2007)
原著論文7
Miyoshi M, Hayashi F, Arai Y, Nozue M, Yoshita K, Yoshiike N
Regional Characteristics of Secular Changes in Obesity-Related Lifestyle Behavior in Japan
Anti-Aging Med , 5 , 30-38  (2008)
原著論文8
Kaneita Y, Uchiyama M, Yoshiike N, Ohida T
Associations of Usual Sleep Duration with Serum Lipid and Lipoprotein Levels
Sleep , 31 , 645-652  (2008)
原著論文9
Nakamura M, Sato S, Shimamoto T, Konishi M and Yoshiike N
Establishment of long-term monitoring system for blood chemistry data by the National Health and Nutrition Survey in Japan
J Atheroscler Thromb , 15 , 244-249  (2008)
原著論文10
林芙美, 横山徹爾, 吉池 信男
都道府県別にみた健康・栄養関連指標の状況と総死亡及び疾患別死亡率
日本公衆衛生学雑誌 , 56 (9) , 633-644  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-