外来化学療法における部門の体制および有害事象発生時の対応と安全管理システムに関する研究

文献情報

文献番号
200824065A
報告書区分
総括
研究課題名
外来化学療法における部門の体制および有害事象発生時の対応と安全管理システムに関する研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
畠 清彦(財団法人癌研究会有明病院 化学療法科・血液腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 大迫政彦(鹿児島市医師会病院)
  • 三阪高春(霧島医師会医療センター)
  • 河本和幸(財団法人倉敷中央病院)
  • 横山雅大(財団法人癌研究会有明病院 化学療法科・血液腫瘍科 )
  • 井ノ本琢也(大阪赤十字病院)
  • 金澤旭宣(大阪赤十字病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
22,698,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん拠点病院やそれに準じる一般病院における抗癌剤の外来治療の実態を調査する。
外来化学療法安全性の確保や有害事象発生時の対策のためのマニュアルや研修を行う。

研究方法
全国の200床以上の施設から内科、外科のある施設を選択し大腸および乳腺化学療法の研修を行う。
結果と考察
横山研究員はがん拠点病院へ調査票による調査を行った。大迫研究員が鹿児島市医師会病院周辺での実態と外来化学療法における問題点を把握し解決のための研修会を行った。『大阪がん診療地域連携協議会』に参加する大阪赤十字病院の金澤研究員が作成された大腸癌における経口薬による補助化学療法パスは重要であり全国のがん拠点病院への普及に向けて印刷配布した。三阪研究員は3職種それぞれの立場における外来化学療法の実態調査を行った。
1.治療前の同意書について
病名および抗癌剤治療告知をおこなっている施設が90%以上を占めていた一方、化学療法開始前に同意書をとらずに行っている施設は15%(95%CI:8.0-22.0%)であった。
2.治療に関する説明文書の有無について
各治療に対する説明文書が整備されていない施設は22%(95%CI:13.9-30.1%)であった。
3.抗がん剤治療に関する治療継続または中止に施設内基準について
治療導入については総合的に議論されている傾向がみられたが、治療中止の基準が定められていない施設は50%(95%CI:40.2-59.8%)であった。
4.キャンサーボード設置について
癌患者に対する集学的治療を行う上での治療方針を議論する場(キャンサーボード)が設置されていない施設は35%(95%CI:25.7-44.3%)であった
早急に改善しないと危険な施設は今もがん拠点病院に存在する。外来治療スペースは2施設を除いて設置されているが小さい所が多い。治療前同意書を取得せずに抗がん剤治療を開始している所が15%もあることは意外である。早急に改めさせる必要がある。治療に関する説明文書も22%が全くなく、早く整備が必要である。通常の業務として抗がん剤を継続するか中止するかを決めるのが50%において決定されていない。現場の個人レベルで決めているであろうか。情報共有が十分でないと不在時の対応に問題を生じる可能性が高い。安全性を高めるためにいくつかの改善すべき点が浮き彫りにされた。

結論
外来治療では点滴治療に専念ができれば効率化につながると考え、がん拠点病院に大腸癌の術後補助治療パス、研修テキストを作成し配布した。乳癌についても準備中である。今後新規薬剤について発売にあわせてマニュアルを作成配布していく。

公開日・更新日

公開日
2009-04-08
更新日
-