受診率向上につながるがん検診の在り方や、普及啓発の方法の開発等に関する研究

文献情報

文献番号
200824063A
報告書区分
総括
研究課題名
受診率向上につながるがん検診の在り方や、普及啓発の方法の開発等に関する研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 大助((財)宮城県対がん協会 がん検診センター)
研究分担者(所属機関)
  • 濱島 ちさと(国立がんセンター がん予防・検診研究センター)
  • 田中 政宏(大阪府立成人病センター)
  • 平井 啓(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター)
  • 星 佳芳(国立保健医療科学院 研究情報センター)
  • 長瀬 博文(富山県中部厚生センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
22,698,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん検診受診率のモニタリング方法と科学的根拠に基づく系統的受診勧奨方法の開発。
研究方法
1)全国保健所のホームページのインターネット配信状況の調査、及び公募による一般市民の参加による「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン」の一般向けリーフレットの作成。
2) 社会調査会社の登録モニターのうち40歳以上60歳未満の女性641名を対象に、乳がん検診の受診に影響する心理・行動的要因についてのインターネットによる質問紙調査。
3)モデル地域における土・日曜検診(胃がん検診)の受診状況調査、未受診者対策における個別受診勧奨の効果についての検討。
4)平成19年に行われた国民生活基礎調査についての検討。
結果と考察
1) 保健所からのインターネット情報配信は、医学的アドバイスが専門家による監修を受けていることが明確に記述されているところが少ないなどの課題もあり、標準的な情報提供のあり方についての検討が今後必要であった。また、リーフレットは専門的な知識よりも大腸がん検診の全体のイメージを伝えることに重点がおかれ、外部評価結果ではリーフレット全体から受ける印象や、分かりやすさについての評価が高かった。
2)乳がん検診の受診行動は計画意図と実行意図で説明できるが、実行意図がより説明的であり、受診率向上には、実行意図に焦点を当てた普及啓発プログラムの開発が必要と考えられた。また、胃がん検診の土日検診では、初回受診者や会社勤めなど平日と異なったタイプの受診者が増えていた。更に未受診者対策では、欧米と同様、我が国においても案内状による個別受診勧奨が受診率向上に有効であった。
3)平成19年に行われた国民生活基礎調査では、子宮がん検診や乳がん検診の受診期間が1年間に設定されているなどの問題は未だあるものの、各がん検診の検査法を記載するなど従来からの改善点もみられた。今後、国民生活基礎調査の妥当性評価が必要と思われた。
結論
1) 保健所からのインターネット情報配信については、質的な担保などの課題が存在した。がん検診に対する一般向けリーフレットの作成には一般市民の参加が有用であった。
2)検診受診率向上には個別受診勧奨が有効であり、休日検診は初回受診者の増加等に効果がある。乳がん検診受診率の向上には実行意図に焦点を当てた普及啓発プログラムの作成が必要である。
3)今後、国民生活基礎調査の妥当性評価が必要と思われた。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-