たばこ規制枠組条約に基づく有害化学物質等の新しい国際標準化試験法に関する研究

文献情報

文献番号
200823002A
報告書区分
総括
研究課題名
たばこ規制枠組条約に基づく有害化学物質等の新しい国際標準化試験法に関する研究
課題番号
H18-3次がん・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 治(麻布大学 生命・環境科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 後藤 純雄(麻布大学 生命・環境科学部)
  • 稲葉 洋平(国立保健医療科学院 生活環境部)
  • 鈴木 元(国立保健医療科学院 生活環境部)
  • 緒方 裕光(国立保健医療科学院 研究情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,208,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
WHOたばこ規制枠組条約第9条に基づいて進められているたばこ製品の含有物及び排出物の新しい国際標準化試験法に関する研究室ネットワーク(TobLabNet)を通じて、国内外の情報を得るとともに、国際貢献の一助となること
研究方法
(1)アジア太平洋たばこ研究として、CReSSmicro装置により測定した喫煙パターンの解析、唾液中コチニン、尿中の酸化ストレスマーカー測定を行なった。(2)ラウンドロビン研究として、5種類のたばこ試料を用いてHCI法によるTNCO測定法バリデーションを目的とする、二段階構成のラウンドロビンに参加した。
結果と考察
(1)アジア太平洋たばこ研究より、喫煙者の1日総吸煙量はパッケージ表示ニコチン量が低いたばこほど多い傾向が見られ、唾液中コチニン量はパッケージ表示ニコチン量に依存して増加した。唾液中ニコチン量を重回帰分析した結果、総吸煙量、パッケージ表示ニコチン量と関連性が認められた。しかし、自覚的なたばこの吸い方の強度、たばこ依存性には関連性が認められなかった。一方、尿中の酸化ストレスマーカー(8-OHdG)は総吸煙量との間に強い関連性がみられたが、唾液中コチニン、呼気中CO濃度との関連性はみられなかった。(2)ラウンドロビン第一段階として、1種類の標準たばこを用いたバリデーション能力の評価が実施され、国立保健医療科学院は参加基準をクリアし、第二段階に進み、さらに4種類のたばこ試料を用いた測定法のバリデーションが行われた。バリデーション結果は概ね妥当なものであり、研究用標準たばこも市販銘柄と比較可能な数値で分析可能であった。
結論
(1)低ニコチンたばこ喫煙者の方が代償性喫煙により総吸煙量が増加し、有害物質をより多く摂取している可能性が高い。(2)HCI法による測定法バリデーションをさらに進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-04-01
更新日
-

文献情報

文献番号
200823002B
報告書区分
総合
研究課題名
たばこ規制枠組条約に基づく有害化学物質等の新しい国際標準化試験法に関する研究
課題番号
H18-3次がん・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 治(麻布大学 生命・環境科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 後藤 純雄(麻布大学 生命・環境科学部)
  • 稲葉 洋平(国立保健医療科学院 生活環境部)
  • 鈴木 元(国立保健医療科学院 生活環境部)
  • 緒方 裕光(国立保健医療科学院 研究情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
WHOたばこ規制枠組条約第9条に基づいて進められているたばこ製品の含有物及び排出物の新しい国際標準化試験法に関する研究室ネットワーク(TobLabNet)を通じて、国内外の情報を得るとともに、国際貢献の一助となること
研究方法
共通のたばこ試料等を用いて測定法バリデーションを行うTobLabNetラウンドロビン研究に参加した。また、世界のたばこ消費の70%を占めるといわれるアジア地域における調査研究の一環として、喫煙者の喫煙行動と曝露バイオマーカーを調査する「アジア太平洋たばこ研究」を実施した。さらに有害化学物質、特にタール中の発がん関連物質に関する新しい測定手法について検討を行った。
結果と考察
ラウンドロビン研究より、従来の国際標準試験法であるISO法に比べカナダ保健省提案の新しいHCI法がヒトの喫煙実態に則しており、測定精度も良好であることが判った。また、喫煙装置を用いたタール中の発がん関連物質測定結果から、“低タール”と表示されているたばこであってもヒトへの曝露量やリスクの低減には必ずしも結びつかないことなども判った。アジア太平洋たばこ研究より、呼気中CO濃度は1日の喫煙本数や喫煙時の吸引力の強さと相関を示すことや、パッケージ表示ニコチン量が低いたばこほど喫煙者の1日総吸煙量が多くなる傾向(代償性喫煙)が見られた。また唾液中コチニン量はパッケージ表示ニコチン量に依存して増加し、総吸煙量やパッケージ表示ニコチン量と関連性が認められた。さらに尿中の酸化ストレスマーカー(8-OHdG)は総吸煙量との間に強い関連性が示唆された。
結論
低ニコチンたばこ喫煙者の方が代償性喫煙により総吸煙量が増加し、有害物質をより多く摂取している可能性が高い。今後受動喫煙も含めたたばこ対策のエビデンスとなるバイオマーカーを用いた実証研究が必要と思われる。カナダ保健省が提案しWHOが推奨するHCI法による測定法バリデーションをさらに進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-04-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200823002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
喫煙装置を用いたタール中の発がん関連物質測定結果から“低タール”と表示されているたばこであってもヒトへの曝露量やリスクの低減には必ずしも結びつかないことや、喫煙者の喫煙行動と曝露バイオマーカーの研究から低ニコチンたばこ喫煙者の方が代償性喫煙により総吸煙量が増加し、有害物質をより多く摂取している可能性が高いことなどを明らかにし、国内外の学術誌・学会に公表した。
臨床的観点からの成果
喫煙者の喫煙行動と曝露バイオマーカーを調査する「アジア太平洋たばこ研究」に参加し、低ニコチンたばこ喫煙者の方が代償性喫煙により総吸煙量が増加し、有害物質をより多く摂取している可能性が高いことなどを明らかにした。バイオマーカーを用いる手法は、禁煙治療など臨床応用も可能と考えられる。
ガイドライン等の開発
WHOFCTC第9条に基づいて進められているたばこ製品の含有物及び排出物の新しい国際標準化試験法に関する研究室ネットワーク(TobLabNet)を通じて、共通のたばこ試料を用いて測定手法の比較を行うラウンドロビン研究に参加、評価基準をクリアし、測定法バリデーションに貢献した。なお、TobLabNet関連の国際会議に研究代表者遠藤治、分担研究者鈴木元、同稲葉洋平が参加した。
その他行政的観点からの成果
平成20年3月26日より平成21年3月4日に開催された「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会」(事務局:厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室)構成員として研究代表者遠藤治が参画し、たばこ煙中の有害化学物質等に関する資料提供を行うとともに討議に参加した。
その他のインパクト
平成19年5月31日東京都千代田区サイエンスホールで開催された世界禁煙デー記念シンポジウムにおいて、研究代表者遠藤治が「たばこの煙の有害性と諸外国の動向」について講演を行い、またパネル討論「受動喫煙対策について」にパネリストとして参加した。講演内容については日本禁煙医師連盟通信(Vol.16, No.3, 2007)に発表した。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Endo O, Inaba Y, Suzuki G et al.
Nicotine, tar and mutagenicity of mainstream smoke generated by machine smoking with ISO and HCI regimens of major Japanese cigarette brands
Jounal of Health Science , 55 (3)  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-