女性生殖器における妊孕能の客観的な評価法の確立

文献情報

文献番号
200822025A
報告書区分
総括
研究課題名
女性生殖器における妊孕能の客観的な評価法の確立
課題番号
H20-子ども・若手-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
吉野 修(東京大学 産婦人科)
研究分担者(所属機関)
  • 大須賀 穣(東京大学 医学部 産婦人科 )
  • 堀 正明(東邦大学 医学部 放射線科)
  • 浜谷 敏生(慶應義塾大学 医学部 産婦人科)
  • 阿部 宏之(山形大学 工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
不妊治療のニーズが高まる中、生殖機能の客観的な評価法が確立しているとは言い難く、このことが不妊治療の方針が定まらない原因と思われる。子宮、卵巣、胚の質に関して客観的なスクリーニング法を確立し、その概念に立脚した効率のよい治療法の提示を目的とする。
研究方法
1).卵巣機能評価、2).得られた卵子および胚の評価、3).子宮内膜の着床能の評価にわけ、各々の分野で精力的に基礎研究を行ってきた研究者と共同研究を開始した。1)の卵巣機能評価はおもに基礎的研究を行い、2)の卵子および胚の評価はおもにヒト検体を用い、3)の子宮内膜の着床能の評価は基礎的および臨床的検討を行った。
結果と考察
1)卵巣機能評価において、これまで脳下垂体ホルモン値であるFSH値が妊孕能の観点から見た卵巣予備能の評価に用いられてきた。しかし、同ホルモン測定は偏差が大きく、明確な基準になり得ていない。近年、血中AMH値が卵巣予備能評価に有用であるとの報告が見られるが、同ホルモンの調節因子はこれまでよくわかっていなかった。今年度、我々はBMP-6, BMP-7 がAMHを誘導することを見出した。
2)胚および卵子の評価法では、ヒト胚においても呼吸能測定により胚の質を評価することができる可能性を示すことができた。
3)子宮内腔の洗浄液をもちいた検討では、液性因子MMP測定とその是正が不妊治療に有用であることを示すことができた。また、基礎的研究として、胎児成分が液性因子であるIL-1を分泌することで母体細胞に働きかけてIL-8の分泌を誘導し、IL-8の作用により胎児成分の子宮内膜への遊走および生存能を獲得していることを見出した。 画像による不妊症のスクリーニングに関して、特に各種検査法の条件設定を確立すると共に、今後データを蓄積することができる環境を整えることができた。
結論
3箇年計画の初年度を終えるにあたり、今年度は主に不妊症検査に関する基礎的知見を加えることができた。また同時に来年度以降のデータを蓄積することができる研究環境も整えることができた。

公開日・更新日

公開日
2009-07-27
更新日
-