胎児期から乳幼児期を通じた発育・食生活支援プログラムの開発と応用に関する研究

文献情報

文献番号
200822023A
報告書区分
総括
研究課題名
胎児期から乳幼児期を通じた発育・食生活支援プログラムの開発と応用に関する研究
課題番号
H20-子ども・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
瀧本 秀美(国立保健医療科学院 生涯保健部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 則子(国立保健医療科学院 生涯保健部)
  • 吉池 信男(青森県立保健大学 健康科学部)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 人材育成部)
  • 草間 かおる(国立保健医療科学院 人材育成部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
将来の生活習慣病予防という観点からあらたに胎児期から乳幼児期を通じた栄養摂取のあり方を確立し、同時に乳幼児の栄養評価の視点から、多胎や早産など児の個別性に配慮した乳幼児身体発育調査の身体評価指標の検討を行い、これらの知見に基づき、地域における実践可能な妊娠期-乳幼児期の食生活支援体制の構築を目指した。
研究方法
本研究では、1)諸外国での乳幼児身体発育曲線がどのような方法で作成されているか、また身体発育指標として用いられている項目が何かということを文献的に考察し、2)2010年の実施に向けた体制作りについても検討をおこなった。3)日本人の食事摂取基準の策定根拠となるデータを提示することを目的に、1983年-2008年に国内外で発表された文献を系統的に検索し、整理・提示した。
4)自治体における母子保健事業での妊産婦の食生活指導に関する実態調査を行った。
5)セルフモニタリングによる妊婦の栄養教育手法の開発のため、産科医療機関と協力し、「妊産婦のための食事バランスガイド」を踏まえた自己記入方式の「マタニティフードダイアリー」を用いたセルフモニタリングによる栄養教育とその効果を、従来の妊婦栄養指導を受ける対照群との比較によって検証した
結果と考察
1)先進国においては、日本を含め、既存のデータを解析する形で成長曲線が見直されていた。2)乳幼児身体発育調査では、病院調査は生後10日以内および30日前後のデータは充実しているが、生後30日未満と1か月以降の発育パーセンタイル曲線を1つにまとめることは、従来の統計学的手法では困難であることが明らかとなった。
3)日本人の食事摂取基準2005年版」の策定作業が行われた2004年以降の発表論文は、2件に過ぎなかった。
4)人口1万人未満の自治体では、母親・両親学級の実施率が低く、「妊産婦の食生活指針」や「授乳・離乳の支援ガイド」の活用が十分でないことが明らかとなった。
5)2008年9月末までに文書にて参加同意を確認し、1回目のベースライン調査を行った者は42名、食事摂取基準群20名(32.4歳)、食事バランスガイド群22名(32.8歳)だった。ベースライン調査の結果、年齢、身体状況、妊娠前BMI、栄養素摂取等に2群間の差が殆ど認められなかった。食品全体及びお茶を除く食品からの葉酸摂取量は、食事バランスガイド群においてのみ有意な増加が認められた。
結論
乳幼児身体発育調査については、標本抽出のあり方を含めて一層の検討が必要と考えられた。食事バランスガイドを用いた妊婦への栄養教育は一定の効果が認められ、人口が少ない自治体での活用が期待された。

公開日・更新日

公開日
2009-09-17
更新日
-