文献情報
文献番号
200822019A
報告書区分
総括
研究課題名
成育疾患における診断技術、治療法開発を目的としたポストゲノムプラットフォームの構築と応用-小児リウマチ性疾患、自己免疫疾患におけるマイクロRNAの機能解析と診断、治療への応用
課題番号
H20-子ども・一般-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
淺原 弘嗣(国立成育医療センター研究所 移植・外科研究部)
研究分担者(所属機関)
- 柳谷 隆宏(国立成育医療センター研究所 移植・外科研究部)
- 関 敦仁(国立成育医療センター 第二専門診療部整形外科)
- 小林 信一(国立成育医療センター 第一専門診療部膠原病・感染症科)
- 蓮沼 智子(北里大学臨床薬理研究所 医学管理部)
- 川合 眞一(東邦大学 医学部内科学講座(大森)膠原病科)
- 加藤 義雄(独立行政法人産業技術総合研究所 セルエンジニアリング研究部門)
- 吉鷹 輝仁(国立成育医療センター研究所 移植・外科研究部)
- 佐藤 可野(国立成育医療センター研究所 移植・外科研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
小児リウマチ性疾患・自己免疫疾患は、自己組織の慢性炎症や破壊を伴う重篤な全身性疾患であるが、その病因は完全には明らかにされていない。また、現在の生物製剤治療では治癒できない症例も多く、新しい治療法の開発が求められている。本研究計画は、リウマチ性関節炎の滑膜組織において特異的に発現上昇している疾患関連マイクロRNA(miR)を同定して、そのmiRがどのようにして疾患の発症に関わっているのかについて明らかにするとともに、miRを疾患の治療や診断における分子標的として応用する可能性について検討するものである。
研究方法
マイクロアレイ法を用いてリウマチ性関節炎滑膜組織において発現上昇している疾患関連miRを検索した。当該miRについては、免疫染色法、in situ hybridization法によって発現組織・細胞の特異性を調べた。一方、miRの標的遺伝子をゲノムワイドに検索する、ハイスループットスクリーニングシステム(HTS)を開発して、疾患関連miRの標的遺伝子のスクリーニングを行った。標的候補遺伝子については、miR過剰発現細胞でのタンパク質レベルでの発現解析を行い、当該miRの疾患発症における機能・役割について調べた。
結果と考察
リウマチ性関節炎滑膜組織において発現上昇している疾患関連miRとして、miR-146a、miR-424を見出すことに成功した。次のステップとしては、miRの標的遺伝子について調べる必要がある。そこで、miRの標的遺伝子をゲノムワイドに検索するHTSを開発して、疾患関連miRの標的候補遺伝子を探した。その結果、複数の候補を見出すことに成功した。また、miR過剰発現細胞での標的遺伝子の発現解析を行い、確かに、当該miRの標的遺伝子であることを確認した。miRの標的遺伝子は、NF-kBやTGF-のシグナル制御因子であった。今後は、リウマチ性疾患における当該miRの役割について明らかにする。一方、「miRを標的にしたリウマチ性疾患の治療法の開発」に関しては、現在、アデノウイルスベクターを用いた過剰発現解析やアンチセンス核酸を用いたノックダウン解析によってその可能性を探っており、引き続き検討を行う。新規診断法の開発計画に関しても、疾患特異的miRをマーカーとした診断法に関する可能性・妥当性の検討、及び実用化に向けた技術開発を継続している。
結論
本研究によって、世界で初めてリウマチ性関節炎に関連したmiRとその標的遺伝子を見出すことが出来た。本研究成果は、リウマチ性関節炎の新規治療法や診断法の開発へ応用することが期待される。
公開日・更新日
公開日
2009-07-16
更新日
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