膝痛・腰痛・骨折に関する高齢者介護予防のための地域代表性を有する大規模住民コホート追跡研究

文献情報

文献番号
200821071A
報告書区分
総括
研究課題名
膝痛・腰痛・骨折に関する高齢者介護予防のための地域代表性を有する大規模住民コホート追跡研究
課題番号
H20-長寿・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
吉村 典子(東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター関節疾患総合研究講座)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 耕三(東京大学 医学部)
  • 阿久根 徹(東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター臨床運動器医学講座)
  • 藤原佐枝子(放射線影響研究所 臨床研究部)
  • 清水 容子(東京都老人総合研究所 )
  • 大森 豪(新潟大学 超域研究機構)
  • 須藤 啓広(三重大学 医学部)
  • 西脇 祐司(慶應義塾大学 医学部)
  • 吉田 宗人(和歌山県立医科大学 医学部)
  • 下方 浩史(国立長寿医療センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
77,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
介護予防対策の推進により健康寿命を延伸し、膝痛・腰痛・骨折などの運動器障害による要介護高齢者を低減させることを最終目標に、運動器障害とその主要原因疾患(変形性膝関節症(KOA)、変形性腰椎症(LOA)、骨粗鬆症(OP))に関する日本人の疫学エビデンスを構築し、危険因子を解明することが本研究班の目的である。
研究方法
わが国において骨関節疾患を目的として観察されてきた代表的な9つの地域コホート研究のうち、東京1、和歌山、広島、三重、新潟、東京2、秋田、群馬の8地域コホートの情報を統合し、大規模統合コホートを設立し、残る愛知コホートで大規模コホートの結果の検証を行うこととした。ベースラインデータ共通項目として統合し得たのはID, 性別、アンケート実施年月日、ベースライン時年齢、身長、体重、飲酒、喫煙、膝痛、腰痛の有無、転倒の有無、骨折の既往、骨密度、閉経年齢、膝X線結果、腰椎X線結果、脊椎圧迫骨折(X線)結果である。
結果と考察
8つのコホートの統合の結果、10,998人が参加する大規模統合コホートを構築した。このコホートにおいて、膝痛、腰痛、KOA、LOA、脊椎椎体骨折、および腰椎OPの有病率をそれぞれ求めると、膝痛は男性の26.3%、女性の38.4%が自覚し、腰痛は男性の36.8%、女性の45.7%が自覚しており、KOAは男性27.4%、女性44.6%、LOAは男性80.7%、女性64.9%に認められた。脊椎椎体骨折の有病率は男性7.0%、12.9%、腰椎骨密度から診断したOPの有病率は男性3.4%、女性19.2%となった。
 分担研究者が担当する地域コホートでは、膝痛とKOAの関連、腰痛とLOAの関連、LOAの有病率と発生率、血中ビタミンD(血清25-OH-D)濃度と転倒に関連する運動能力、転倒歴、介護保険申請状況との関連、KOAの発症・進行に関係する因子、高齢者におけるKOAの有病率と危険因子、膝痛と死亡・要介護状態、ADL低下、施設入所の関連、腰椎の加齢変化、加齢に伴う骨関節疾患の実態などを明らかにした。
結論
わが国の代表的な地域コホートの結果の統合により、骨関節疾患や腰痛、膝痛の有病率を明らかにし得た。さらに分担研究者らの詳細な分析より高齢者要介護予防にとって極めて重要な結果を得た。

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-01
更新日
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