高齢者の腰痛症に係る効果的な診断・治療・リハビリテーション等の確立

文献情報

文献番号
200821026A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の腰痛症に係る効果的な診断・治療・リハビリテーション等の確立
課題番号
H18-長寿・一般-038
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
戸山 芳昭(慶應義塾大学医学部 整形外科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 菊地 臣一(福島県立医科大学 整形外科)
  • 四宮 謙一(東京医科歯科大学 整形外科)
  • 持田 讓治(東海大学医学部 整形外科)
  • 武政 龍一(高知大学医学部 整形外科)
  • 千葉 一裕(慶應義塾大学医学部 整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
20,060,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者における腰痛症の病態解明とその治療法の確立は、緊急性を要する課題のひとつである。そこで、本症にかかわる膨大な治療費や介護費用を抑制し、「腰痛に悩む国民の救済」という社会的インパクトに直結する包括的な総合医療への一助とすることを目的とした。エビデンスに基づいた医療の視点から、効果的な診断基準やガイドラインの作成、疫学データの蓄積、および最適な治療方法と後療法を開発すべく研究をすすめた。
研究方法
高齢者腰痛症の病態解明と診断法の確立、電気生理学的手法を用いた新たな高齢者腰痛診断法の確立、高齢者腰痛症の一因を成す椎間板変性に関する分子生物学的解析、再生医療を用いた高齢者腰痛症に対する新たな治療法の開発、骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折に対する新たな低侵襲治療法の開発をおこなった。
結果と考察
全脳T2-STAR強調fMRIスキャンを用い、腰部圧迫刺激により腰痛特異的に後帯状皮質が賦活化されることを確認した。ポータブル型表面筋電計による腰背部筋活動量は脊椎アライメント異常による腰痛と相関していた。エストロゲン受容体αとTGF-β/p38シグナルの相互作用が椎間板の主要構成マトリックス分子であるⅡ型コラーゲン遺伝子のエンハンサー活性を正に制御することが明らかになった。骨髄間葉系細胞との共存培養系で活性化された髄核細胞を変性椎間板へ挿入移植する系を確立し、その安全性が確認された。骨粗鬆症性脊椎骨折に対するリン酸カルシウムセメントを用いた椎体形成術の有効性が検証され、低侵襲手技に改良された。
結論
今後は大規模な患者対照研究へ展開し、「腰痛に悩む国民の救済」という社会的インパクトへの直結と臨床現場への還元を目指す。本研究班によって確立された病態に関する新知見・効果的な診断法・低侵襲の革新的治療法を用いて、高齢者の腰痛予防と治療、リハビリテーションへの応用、社会復帰と自立支援を推進し、国民の生活機能改善への一助としていきたい。

公開日・更新日

公開日
2009-05-22
更新日
-

文献情報

文献番号
200821026B
報告書区分
総合
研究課題名
高齢者の腰痛症に係る効果的な診断・治療・リハビリテーション等の確立
課題番号
H18-長寿・一般-038
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
戸山 芳昭(慶應義塾大学医学部 整形外科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 菊地 臣一(福島県立医科大学 整形外科)
  • 四宮 謙一(東京医科歯科大学 整形外科)
  • 持田 讓治(東海大学医学部 整形外科)
  • 武政 龍一(高知大学医学部 整形外科)
  • 千葉 一裕(慶應義塾大学医学部 整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者における腰痛症の病態解明とその治療法の確立は、緊急性を要する課題のひとつである。そこで、本症にかかわる膨大な治療費や介護費用を抑制し、「腰痛に悩む国民の救済」という社会的インパクトに直結する包括的な総合医療への一助とすることを目的とした。エビデンスに基づいた医療の視点から、効果的な診断基準やガイドラインの作成、疫学データの蓄積、および最適な治療方法と後療法を開発すべく研究をすすめた。
研究方法
骨粗鬆症性高齢者腰椎に対する新たな力学的評価法、診断法、電気生理学的手法を用いた新たな高齢者腰痛診断法を確立し、椎間板変性に関する分子生物学的解析、再生医療を用いた新たな治療法の開発、骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折に対する新たな低侵襲治療法の開発をおこなった。
結果と考察
骨強度予測解析法をもとに皮質骨と海綿骨のモデル化をおこない、立位・前屈位における椎体への荷重負荷分布から椎体骨折のリスクがCT有限要素法によって評価できた。高齢者腰痛症患者の大規模臨床疫学データから、腰部脊柱管狭窄症の自記式診断サポートツールを開発した。エストロゲンとTGF-βシグナルのクロストークが椎間板代謝を制御することを明らかにした。骨髄間葉系細胞との共存培養系で活性化された髄核細胞を変性椎間板へ挿入移植する系を確立し、その安全性が確認された。骨粗鬆症性脊椎骨折に対するリン酸カルシウムセメントを用いた椎体形成術が低侵襲の手技に改良された。
結論
今後は大規模な患者対照研究へ展開し、「腰痛に悩む国民の救済」という社会的インパクトへの直結と臨床現場への還元を目指す。本研究班によって確立された病態に関する新知見・効果的な診断法・低侵襲の革新的治療法を用いて、高齢者の腰痛予防と治療、リハビリテーションへの応用、社会復帰と自立支援を推進し、国民の生活機能改善への一助としていきたい。

公開日・更新日

公開日
2009-05-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200821026C

成果

専門的・学術的観点からの成果
薬剤介入による骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折の骨質改善効果に有限要素法の有用性が実証され、腰部脊柱管狭窄症の診断サポートツールが開発され、腰部表面筋電図による他覚的な腰痛評価法が検証され、閉経後の椎間板変性へのエストロゲンシグナルの関与が解明され、椎間板再生医療の臨床応用への可能性が示され、骨粗鬆症性脊椎骨折に対する椎体形成術が低侵襲手技に改良された。
臨床的観点からの成果
有限要素法による骨強度予測法を臨床症例に応用できる方法へ改良した。腰部脊柱管狭窄症診断サポートツールの感度と特異度が示された。腰背部筋電図が手術的治療効果の他覚的評価法になりうることを確認した。体外で活性化した自己髄核細胞を変性椎間板へ移植する系が臨床応用前段階まで到達した。リン酸カルシウムセメントを用いた椎体形成術は早期除痛効果が得られ低侵襲であることが示唆された。
ガイドライン等の開発
高齢者腰痛症の原因となるさまざまな疾患に対する最適な治療とそのガイドラインの作製をすすめている。
その他行政的観点からの成果
高齢者腰痛症の原因となるさまざまな疾患に対する最適な治療とそのガイドライン、さらには社会復帰と生活自立に向けた効果的な介護、およびリハビリテーションプログラムの確立につなげ、本症に関わる膨大な治療費や介護費用の抑制と高齢者医療の質の向上につなげていきたい。
その他のインパクト
大規模な患者対照研究への展開をすすめ、公開シンポジウムなどの開催によって、「腰痛に悩む国民の救済」という社会的インパクトに直結するような臨床現場への有効な還元と高齢者腰痛症治療の啓発普及に努める。

発表件数

原著論文(和文)
37件
原著論文(英文等)
23件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
18件
学会発表(国際学会等)
8件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-