文献情報
文献番号
200821011A
報告書区分
総括
研究課題名
介護保険制度における栄養ケア・マネジメント事業評価に関する研究
課題番号
H18-長寿・一般-017
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 みち子(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科)
研究分担者(所属機関)
- 加藤 昌彦(椙山女学園大学 生活科学部)
- 合田 敏尚(静岡県立大学 食品栄養科学部)
- 川内 敦文(高知県 健康福祉部 医療薬務課)
- 高田 和子(国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)
- 太田 貞司(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 社会福祉学科)
- 臼井 正樹(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 社会福祉学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
10,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
施設・居宅サービスにおける栄養ケア・マネジメント事業(NCM)評価を行い、サービスの質の向上や今後の介護保険制度改正に寄与する根拠を提示する。
研究方法
1.定床数・地域別無作為抽出した2,458施設に調査用紙の郵送留め置き調査によってNCM事業評価を行った。2.18施設の296NCM帳票から栄養改善困難者の特性を分析した、3.2と同様に認知症高齢者の低栄養状態、食関連周辺症状、栄養ケア内容を分析した。4.589施設の栄養補助食品の利用状況を集計した。5.居宅介護支援専門員77名を通じて協力同意を得た利用者569名に郵送留め置き式調査を行った。6.在宅療養支援診療所3,156施設、病院2,660病院の施設長及び居宅療養管理指導加算の算定実績の有無別に無作為抽出した管理栄養士に調査用紙の郵送留め置き式調査を行った。SPSS(ver.15 Windows版)を用いて集計・解析した。神奈川県立保健福祉大学,椙山女学園大学の研究倫理審査委員会に承認を得た。
結果と考察
1.施設におけるNCM事業は3年間に推進され、NCM導入1年後に低栄養状態や褥瘡が改善した。しかし、評価と継続的品質改善活動、帳票類の削減、給食体制の検討が求められた。また、経口移行、経口維持加算取得率は低く、医療機関との連携が求められた。2.低栄養状態改善困難者では、摂食・嚥下障害、呼吸器疾患等の特性を有し、エネルギ-、タンパク質摂取量が必要量を充足しなかった。3.認知症高齢者のNCM帳票には、食事摂取量の不良、食関連周辺症状と対応した栄養ケア内容の記載が多くみられた。4.施設ではタンパク質、エネルギー補給のための栄養補助食品が高頻度に利用されていた。5.居宅サービス利用者のうち介護支援専門員が栄養面や食生活上の問題からの低栄養状態のおそれがあるとする者は37.8%と高い割合であった。6.病院、診療所における管理栄養士による居宅療養管理指導の実施は極めて低率であり、制度の認知度の低さ、管理栄養士の不足や所在が不明瞭のためであった。
結論
介護保険施設におけるNCM事業はこの3年間に推進された。今後の解決すべき課題は、居宅におけるNCMの推進、人材資源供給体制の整備、評価と継続的品質改善活動の推進、帳票削減や献立作成等給食業務の効率化、摂食・嚥下障害や認知症等の困難事例に対応した体制である。
公開日・更新日
公開日
2017-10-03
更新日
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