文字利用が困難な高齢中途視覚障害者のための理療教育課程における学習支援システムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200821006A
報告書区分
総括
研究課題名
文字利用が困難な高齢中途視覚障害者のための理療教育課程における学習支援システムの構築に関する研究
課題番号
H18-長寿・一般-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 和之(国立障害者リハビリテーションセンター 更生訓練所 理療教育・就労支援部)
研究分担者(所属機関)
  • 乙川 利夫(国立障害者リハビリテーションセンター 更生訓練所 理療教育・就労支援部)
  • 伊藤 和幸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 福祉機器開発部)
  • 清田 公保(熊本電波工業高等専門学校 情報通信工学科)
  • 江崎 修央(鳥羽商船高等専門学校 制御情報工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,880,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格取得を目指す理療教育課程での学習において、点字や普通文字、パソコンでの文字入力に困難を有し、ノート・テイキングに苦慮する中・高齢層中途視覚障害者の学習支援システムの構築を目的とする。
研究方法
ノートテイキングシステムの改良と評価、理療教育課程における中途視覚障害者のための学習支援システムの構築と普及・応用に向けた取組みを行うべく、次の6部門で構成した。
(1)理療教育課程における中途視覚障害者の属性と学習方略に関する実態調査 
(2)ノートテイキングシステムの改良
(3)中途視覚障害者の学習方略獲得のための学習支援システム案の作製
(4)理療教育課程在籍者によるノートテイキングシステムの試用評価 
(5)地域の外部モニターによるノートテイキングシステムの試用評価 
(6)研究の発展に向けた取組み
結果と考察
(1)実態調査から、視力0.02以下の中・高齢層の在籍者で適切な筆記手段のない方の場合、録音物に依存した学習を余儀なくされる傾向が強まっていた。理療教育課程入所後、授業時の学習手段の獲得について、早期支援の必要性が再確認された。
(2)2種類のノートテイキングシステムのうち、点字タイプライター方式L. L. Writerは、編集機能の音声化を実現した。ペン入力方式Pen-Talkerは、連続筆記機能と誤り訂正処理機能を搭載しての文字入力実験により、平均19.1文字/分、平均文字認識率93.7%の結果を得た。
(3)モニターによる1ヶ月間の試用後、福祉用具満足度スケール(QUEST第2版)と福祉機器心理評価スケール(PIADS)を用いた調査の結果、L. L. Writerは携帯性と利便性の実現が確認された。また、個人内では効力感と積極的適応性が向上していた。Pen-Talkerは、利便性の実現が確認された。また、個人内では効力感と積極的適応性が向上していた。自尊感については個人差が見られた。学習場面でのシステムの有効性、生活・就労場面での利活用の可能性が得られたと判断される。
(4)デジタルペンを利用した理療臨床における予診票記録システムと施術録記録システムに関する調査、研究を行った。主に、デジタルペンで筆記するためのフォーマットについて検討を行った上、データベースに保存する項目を精査した。他障害分野への実施は今後の課題とする。
結論
「障害程度・ニーズ等調査票」、L. L. WriterとPen-Talker、「システム操作法習得プログラム」の組合せにより、学習支援システムを構築した。

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200821006B
報告書区分
総合
研究課題名
文字利用が困難な高齢中途視覚障害者のための理療教育課程における学習支援システムの構築に関する研究
課題番号
H18-長寿・一般-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 和之(国立障害者リハビリテーションセンター 更生訓練所 理療教育・就労支援部)
研究分担者(所属機関)
  • 乙川 利夫(国立障害者リハビリテーションセンター 更生訓練所 理療教育・就労支援部 )
  • 伊藤 和幸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 福祉機器開発部 )
  • 清田 公保(熊本電波工業高等専門学校 情報通信工学科)
  • 江崎 修央(鳥羽商船高等専門学校 制御情報工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格取得を目指す理療教育課程での学習において、点字や普通文字、パソコンでの文字入力に困難を有し、ノート・テイキングに苦慮する中・高齢層中途視覚障害者の学習支援システムの構築を目的とする。
研究方法
(1)理療教育課程在籍者の属性と学習方略に関する実態調査
(2)ノートテイキングシステムの開発と改良
(3)理療教育課程在籍者によるノートテイキングシステムの試用評価
(4)地域の外部モニターによるノートテイキングシステムの試用評価
(5)研究の発展に向けた取組み
結果と考察
 実態調査の結果、低視力で中・高齢層の在籍者の間には、授業時に筆記具を用いずに録音をし、自主学習時に音訳教科書を併用する、いわゆる「書かずに聴く学習」を導入する傾向が強まっていた。理療教育課程入所早期における筆記手段の獲得に関する支援の必要性が認められた。
 そこで、2種類のノートテイキングシステム、すなわち点字タイプライター方式L. L. Writerとペン入力方式Pen-Talkerの開発と改良を行った。L. L. Writerは、肉声の単音連続出入力による編集機能の音声化を実現した。大きさ160×100×30mm、重さ約350gの試作機は、白衣のポケットに入れての安全な教室移動を可能にする。また、起動から文字入力、終了まで複雑な操作を要さない。Pen-Talkerは、連続筆記機能と誤り訂正処理機能を搭載しての文字入力実験により、平均19.1文字/分、平均文字認識率93.7%の結果を得た。訓練により、十分に入力文字数の向上が見込まれる。
 モニターによる1ヶ月間の試用後、福祉用具満足度スケール(QUEST第2版)と福祉機器心理評価スケール(PIADS)用いた調査の結果、L. L. Writerは携帯性と利便性の実現が確認された。また、使用前に比べて効力感と積極的適応性が向上していた。Pen-Talkerは、利便性の実現が確認された。また、使用前に比べて効力感と積極的適応性が向上していた。学習場面でのシステムの有効性と生活・就労場面への普及の可能性を得たと判断される。
 さらに、発展的研究としてデジタルペンを利用した理療臨床における予診票記録システムと施術録記録システムに関する調査、研究を始めた。主に、デジタルペンでの筆記のフォーマットを検討し、データベースに保存する項目を精査した。
結論
 「障害程度・ニーズ等調査票」、L. L. WriterとPen-Talker、「システム操作法習得プログラム」の組合せにより、学習支援システムを構築した。

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200821006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 中途視覚障害者の学習支援システムを構築した。支援機器の少ない筆記手段に着目し、
点字タイプライター方式並びにペン入力方式のノートテイキングシステムを新規に製作した。中途視覚障害を有するモニターによる福祉用具満足度評価スケール(QUEST2.0)日本語版と、福祉機器心理評価スケール(PIADS)日本語版を用いた試用評価により、試作機の有効性が確認された。成果を2008年度以降、内外に発表中である。
臨床的観点からの成果
 理療教育課程に在籍する中途視覚障害者で、点字、普通文字、PCでの読み書きに困難を有するケースに対して、点字タイプライター方式並びにペン入力方式のノートテイキングシステムを具体的に提案することが可能となった。「障害程度・ニーズ等調査票」と「システム習得プログラム」との併用により、学習支援システムとして中途視覚障害者の就労移行支援に活用している。
ガイドライン等の開発
特記事項なし
その他行政的観点からの成果
現時点での特記事項なし
その他のインパクト
特記事項なし

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
13件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
伊藤和幸
レーザ光線を利用した頸髄損傷者向けマウスポインティングデバイス
電子情報通信学会論文誌(D) , 90 (3) , 771-779  (2007)
原著論文2
Kimiyasu Kiyota, et al.
Development of Pen-based Note-Taking System for Persons with Visually Disabilities
International Journal of Innovative Computing, Information and Control , 5 (3) , 1349-4198  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-