早期乳癌へのラジオ波焼灼療法の安全性および有効性の評価

文献情報

文献番号
200818015A
報告書区分
総括
研究課題名
早期乳癌へのラジオ波焼灼療法の安全性および有効性の評価
課題番号
H19-臨床試験・一般-020
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
木下 貴之(国立がんセンター中央病院 第一領域外来部、16A病棟)
研究分担者(所属機関)
  • 青儀 健二郎(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 外科)
  • 山本 尚人(千葉県がんセンター 乳腺外科)
  • 藤澤 知巳(群馬県立がんセンター 乳腺科)
  • 増田 慎三(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 外科)
  • 津田 均(国立がんセンター中央病院 臨床検査部 分子病理診断室)
  • 岩本 恵理子(国立がんセンター中央病院 放射線診断部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は全身麻酔下にラジオ波焼灼療法(RFA)施行し、直後に標準治療である乳房切除術を施行し、安全性と摘出標本の病理組織学的評価を実施することを目的としている。
研究方法
対象は、マンモグラフィ、超音波検査、MRI検査にて腫瘍径2cm以下の限局型乳癌で、かつ、治療前に針生検にて組織学的な確定診断がなされた症例である。文書にて同意が得られた適格症例30例に対してRFAの乳癌局所治療法としての評価が行なわれた。
結果と考察
対象症例の超音波検査によるサイズは、1cm以下10例、1~1.5cm;10例、1.6~2.0cm;10例、
1)皮膚熱傷は、腫瘍近傍の乳房および対極版を貼付した両側大腿部ともに認めなかった。大胸筋熱傷が3例に確認されたが、通常の経過と異なる疼痛や発熱および感染は認めず、予定通り退院された。
2)NADH染色のみでは新鮮凍結標本にて評価すること、その取り扱いが煩雑であること、切除標本全体の病変の評価が困難なことからより簡便な日常診療にて用いるH&E染色および弾性線維(EVG)染色による抗腫瘍効果の確認方法を班員および研究協力者の病理医の協力を得て確立した。
NADH染色陰性を細胞死予測のゴルードスタンダードにした場合HEおよびEVG染色では①間質の無構造化②上皮細胞核の淡明粗造化、線状化、濃縮がNADH染色陰性の結果と一致することが確認された。
次期多施設臨床試験のために、これらの病理判定基準の結果をアトラス化して協力施設に配布する予定である。
3)今回の30症例はラジオ波焼灼療法後にすべて全乳房切除術あるいは乳房部分切除術が実施された。事前に予定していた術式を完遂し、合併症なく予定通りの入院期間にて退院された。
早期乳癌に対するラジオ波焼灼療法(RFA)は、プロトコールに従うことにより安全に実施可能と考えられた。
結論
早期乳癌に対するラジオ波焼灼療法(RFA)は標準治療である乳房温存手術と同等の局所効果が期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
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