保健師活動の展開推進及び統括保健師の役割遂行力開発

文献情報

文献番号
202027007A
報告書区分
総括
研究課題名
保健師活動の展開推進及び統括保健師の役割遂行力開発
課題番号
19LA1004
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
井伊 久美子(香川県立保健医療大学 保健医療学部)
研究分担者(所属機関)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学 医学部健康社会医学講座)
  • 吉岡 京子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 成木 弘子(日本赤十字看護大学 さいたま看護学部)
  • 鳩野 洋子(九州大学 医学研究院保健学部門看護学分野)
  • 坂本 真理子(愛知医科大学 看護学部)
  • 髙嶋 伸子(香川県立保健医療大学 保健医療学部看護学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
9,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域保健を担う保健師は,住民の健康課題の解決のため,「地域における保健師の保健活動に関する指針」(以下,「活動指針」とする.)に基づき,保健活動を展開している.活動指針は,平成25年4月に改訂され,地方公共団体のほぼ全ての保健師が理解しているものの,具体的な活動にどのようにつながっているかは明らかにされていない.
本研究は,活動指針を踏まえた活動の実態を把握し,活動を展開するための促進要因や阻害要因を明らかにし,保健活動の推進策を整理した「保健師活動推進マニュアル(仮称)」または活用事例集を作成することを目的としている.また,平成25年4月の活動指針で統括保健師配置の必要性について新規に明記された.統括保健師が期待される役割を担うことが,保健師の保健活動を推進していく上では重要であるが,特に市町村統括保健師の資質向上のためのプログラムが開発されていない.そのため,その開発を試みる.本年は,活動指針に基づく保健活動及び人材確保・育成,統括保健師の配置や役割について各自治体の取り組み状況及び課題を把握することを目的とした.
研究方法
令和元年度に実施した「保健師活動指針に基づく保健活動の展開に関する調査」の詳細分析を行った.
・各設問について「年代別」,「自治体種別(一般市町村においては人口規模別)」,「統括保健師の配置有無別」のクロス集計等
結果と考察
詳細分析の結果、自治体種別・規模による取り組みの差と統括保健師の配置の影響が明らかになった.また,地域ベースの保健活動や人材育成,市町村の統括保健師等に課題があると共に,小規模市町村については,規模が大きい自治体とは異なる結果が明らかになった.
結論
○保健師活動の取り組み状況については,自治体種別及び自治体規模による差があり,特に人口規模5万以下の自治体と以上の自治体では取り組み事項に差があった.活動指針10項目については,自治体規模による差があり,政令市中核市,規模の大きい市は取り組みの事項数が多く,人口規模5万から3万以下の市町村は取り組み事項数が少ない傾向であった.また,活動方法留意点についても,政令市中核市及び規模が大きい市の取り組みは実施事項数が多く,5~3万以下の町村については,実施事項数は少なかった.
○保健師活動方法に関しては,活動指針10項目の実施事項数が多いほど,活動方法留意点の取り組みも多く,活動指針に沿った留意点として有用であることが示唆された.しかし,地区活動等地域を基盤にした活動については,全体に低調であり,国や都道府県の方針による実施が義務付けられている事業を優先している状況が示唆された.地区活動等の地域を基盤とした保健師活動に係る取り組みについては,地域包括ケアシステムの構築など,指針④,⑥,⑧の実施が低い状況であったが,自治体種別・規模に差は無かった.また,自治体概要で回答している活動体制の地区担当制の有無により,⑧は活動体制による差は無かったが,④と⑥は地区担当制により取り組みが推進されていることが読み取れた.
○統括保健師の経験年数による取り組み状況の差があり,統括保健師の年齢が50歳以上の方が取り組み事項数は多い傾向であった.今後,本研究の成果物となる「統括保健師育成のための研修プログラム」が活用されることで,経験に加えて統括保健師の強化が期待される.
○保健師活動推進に関する課題については,保健師の確保や配置と人材育成,及び地区活動について自治体種別規模別に関わらず,強い課題認識があった.人材育成については,新任期中堅期管理期全てにおいて課題があるが,子育てと仕事の両立等も影響は大きく,保健師の配置や確保にも及んでいることが読み取れた.また,地区活動については,保健師活動の方法論としてもそのあり方を改めて検討する必要が示唆された.
○本庁の役割遂行については,配置部署や職位,業務量等多大な課題があり,役割遂行を困難にしている状況がうかがえた.
○小規模自治体については,統括保健師の配置もなく,保健師数も少なく,人材確保・育成計画も立てにくい状況が反映した結果となっていると考えられる.一方で,保健師活動については,「実践を通じて,地区の特性に合わせた保健活動になっているか検討する」「住民ニーズの変化を反映させながら事業評価を行い,継続の必要性について精査」は取り組まれていることから,小規模自治体に応じた保健師活動のあり方を改めて提起する必要がある.
○統括保健師の育成のための研修プログラムは,リフレクションを行うことを中心に構成した.統括保健師が分野を超えた調整を行うスキルは現行において整理されていない.そのため,各統括保健師がそのスキルを振り返り,言語化し,共有することを想定した研修プログラム試案は,現在の統括保健師のスキルの研究の発展段階と合致するものと考えられた.

公開日・更新日

公開日
2022-05-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-05-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202027007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,000,000円
(2)補助金確定額
11,515,000円
差引額 [(1)-(2)]
485,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,117,342円
人件費・謝金 1,999,216円
旅費 7,552円
その他 2,640,947円
間接経費 2,750,000円
合計 11,515,057円

備考

備考
その他(利息)57円

公開日・更新日

公開日
2022-02-08
更新日
-