RNA創薬を支援するバイオイメージング技術の確立

文献情報

文献番号
200812040A
報告書区分
総括
研究課題名
RNA創薬を支援するバイオイメージング技術の確立
課題番号
H20-ナノ・若手-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
浅井 知浩(静岡県立大学大学院 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 small interfering RNA(siRNA)の医療応用を促進するには、疾患部位に必要量のsiRNAを送達することを目的とした核酸デリバリーシステムの開発が鍵になる。これまでsiRNAベクターの体内動態は詳細に解析されてきたが、主薬であるsiRNA本体の体内動態は未知のことが多い。そこで本研究ではsiRNAの体内動態を非侵襲的、リアルタイムかつ高感度に解析する技術の確立を目的とし、siRNAの18Fポジトロン標識体の開発ならびにポジトロン断層法(PET)による動態解析技術の構築を目指した。
研究方法
 本年度は、siRNAポジトロン標識体の開発、LC/ESI-TOF-MSを用いたsiRNA分析方法の確立、およびsiRNA体内動態の蛍光インビボイメージングについて重点的に検討し、実際にsiRNA体内動態のPET解析に着手した。
結果と考察
 まず本研究に用いるsiRNAの配列、ポジトロン標識部位、siRNAとポジトロンの結合様式等の設計を行った。次に、標識siRNAの分析条件を確立し、ポジトロン標識siRNAの分取に成功した。この標識siRNAが合成中に分解を受けていないことを電気泳動にて確認した。実際に調製したポジトロン標識siRNAをマウスに静脈内投与し、その体内動態のPET解析を実施した。その結果、siRNA単体とリポソームに搭載したsiRNAの体内動態の差異をイメージングすることに成功した。
 一方、主薬であるsiRNAと運搬体であるベクターの体内動態が一致しているか否かを評価していくうえで、リポソームベクターのPET動態解析方法について検討した。我々が開発したポジトロン標識プローブを用いてリポソームを放射標識し、PETを用いてその体内動態を解析した。また、PET解析データの検証に有用であると考えられる蛍光インビボイメージング法を利用し、蛍光標識siRNAの体内動態を解析した。リポソームに搭載したAlexa750標識siRNAをマウスに投与し、その体内動態を解析した。
結論
 当初の計画に沿って研究事業を遂行し、siRNA体内動態のPET解析技術の確立に向けて着実な研究成果が得られた。siRNAの体内動態に関して有益な情報が得られれば、RNA創薬の開発効率を高め、創薬の加速化に繋がると期待される。また、当該技術の確立は、ヒトマイクロドーズ試験への応用に発展する可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-