タウイメージングによるアルツハイマー病診断

文献情報

文献番号
200812039A
報告書区分
総括
研究課題名
タウイメージングによるアルツハイマー病診断
課題番号
H20-ナノ・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
工藤 幸司(東北大学 未来医工学治療開発センター)
研究分担者(所属機関)
  • 谷内一彦(東北大学 医学部機能薬理)
  • 荒井啓行(東北大学加齢医学研究所)
  • 岡村信行(東北大学 医学部機能薬理)
  • 古本祥三(東北大学加齢医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
49,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本課題はアルツハイマー病(AD) 発症前からの病理像のうち、過剰リン酸化タウ蛋白(以下タウ)に特異的選択的に結合し、しかも血液-脳関門を容易に透過するプローブ(=低分子有機化合物)を見いだし、このプローブをPET(Positron Emission Tomography; 陽電子断層撮影装置)で扱える核種で標識後、静脈内投与して、PET画像を基に脳内標識プローブの集積(=タウの集積)の定量およびその空間的分布からADを診断しようとするものである。
研究方法
AD患者脳切片における化合物による染色、線維化タウ蛋白の作製とチオフラビン法による測定、化合物の脳移行性、AD患者脳切片におけるオートラジオグラフィー実験を実施した。

結果と考察
146化合物をスクリーニングし、6化合物にアルツハイマー病患者脳標本のタウにおいて明瞭な染色像が観察された。その中で2化合物はタウイメージング用近赤外線蛍光プローブとして使用できるとともに、いわゆるハイブリッドプローブとしてタウイメージング用PETプローブとしても応用できる可能性が示唆された。脳移行性試験では検討した5化合物はいずれも十分なる脳移行性を示し、うち4化合物が十分なる脳からのウオッシュアウトを示した。これらの化合物はいずれも新しい化合部群である。今後の最適化化合物のドラッグデザインにこれらの知識を生かしたい。アルツハイマー病患者脳を用いたオートラジオグラフィー実験では[18F]THK-2153、[11C]THK-1062の集積像はタウ特異的選択的であり、また[18F]THK-2153の集積の大部分は同化合物の非標識体を付加することによりブロックされたことから、2年目、3年目にむけてプロミシングなプローブの開発に目処がついたと感じている。インビトロにおけるβシート構造をとったタウはミュータントのタウであるK18(K∆280)を使用して、今後研究を進める予定である。
結論
ADの病理像としてのタウに特異的に結合する、いわゆるタウイメージング用PETプローブを開発するために、AD患者脳標本におけるタウ染色性、脳移行性、オートラジオグラフィ等を検討し、2年目、3年目にむけてプロミシングなプローブの開発に目処をつけることができた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-