家庭用品規制法における有害物質の指定方法のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
202026010A
報告書区分
総括
研究課題名
家庭用品規制法における有害物質の指定方法のあり方に関する研究
課題番号
19KD2001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
五十嵐 良明(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 河上 強志(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
  • 井上 薫(国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
家庭用品規制法では、家庭用品に含有される物質のうち人の健康に被害を生ずるおそれのある21種類の有害物質について対象家庭用品中の基準が設定されている。近年、様々な化学物質が使用された多種多様な家庭用品が開発され、想定外の目的や方法で家庭用品に化学物質が使用されたことによる、健康被害の発生も報告されている。このような、家庭用品を取り巻く状況変化に応じた、新たな有害物質の指定や対象家庭用品の見直し等が必要である。有害物質指定は、指定候補物質の健康被害報告、諸外国規制、学術文献等の資料をもとに審議されるが、指定候補物質の選定方法やその資料となる情報の収集方法は定められておらず、随時検討しているのが現状である。そのため、有害物質指定候補物質の明確な選定基準及び方法などを定めておく必要があり、本研究は体系的な有害物質の指定のあり方の提案を目的とする。本研究では、諸外国の家庭用品中化学物質の規制基準の設定方法等を調査すると共に、家庭用品の特性を考慮した化学物質の毒性及び曝露情報の収集方法を検討する。これらの情報等に基づいて、有害物質を含有する家庭用品のリスク評価手法について検討する。
研究方法
OECDの報告書をもとに、各国・地域での化学物質の優先順位付け方法の概要を調査した。EUのREACH、米国のTSCA及びオランダRIVMの優先順位付け方法を調べた。政府向け GHS 分類ガイダンスに示されている情報収集方法の内容を精査し、List 1~3に挙げられた評価文書等の種類を、化審法のスクリーニング評価で活用する優先順位1及び2の情報源と比較した。また、毒性情報がない又は不十分な評価対象物質について、既存のグループ評価結果の現状を調査し、その第一段階で行う構造類似物質候補の検索方法について具体的事例を挙げて検討した。化管法第一種指定化学物質について、国内資料に収載されている用途情報を収集・整理した。ECHAが実施したプラスチック添加剤の用途等に関する調査や、TSCAのCDRや北欧のSPINについて用途情報を収集し整理した。昨年度及び本年度収集した用途情報を整理し、化審法の用途分類の説明資料を参考にしつつ化審法の詳細用途分類表に当てはめ、相互に紐づけて各用途情報源の信頼性を検討した。EU及びRIVMで使用されている化学物質曝露推算モデルその概要を調査した。
結果と考察
REACH、TSCA及びRIVMでは、ハザード及び曝露の観点から対象物質をスコアリングすることで優先順位付けを行っていた。OECDは優先度判定のスキーム作成前に、適切で科学的信頼性の高い情報の入手方法を検討し、データは共有化し情報収集の二度手間を防ぐべきとしている。家庭用品規制法における有害物質指定の優先順位付けには既存スキームや情報源の利用が好ましく、化審法の収集情報を利用し必要に応じて家庭用品規制法の意図に即した情報を追加してスコア化する方法が最も効率的と考えられた。毒性情報収集法では化審法スクリーニング評価に倣い、優先順位1の情報源を対象とし、不十分な場合に優先順位2の情報源、これらでも不十分な場合に政府向けGHS 分類ガイダンスの List1の情報源を調査し、それでも有用情報が得られない場合は、List 2の情報源に調査範囲を広げる段階的情報収集方法を提案する。評価対象物質について、既存のグループ化やその評価結果が妥当と判断された場合はその評価結果を使い、活用できない場合は独自にグループ評価を試みる必要がある。PRTR法用途情報等や、ECHA、TSCAのCDR、北欧SPINで収集されている化学物質の用途情報を調査し、記載用途の正確性を記載内容の揺らぎや同一用途の記載の有無等で比較検討し、国内情報源を優先し必要に応じて諸外国のデータの利用が望ましいと考えられた。消費者製品の化学物質曝露量推定モデルであるConsumer TRA及びConsExpo Webについて、TRA Consumerはある程度パラメータが固定化されており初期評価に、ConsExpo Webは不確実性が考慮され、複数の曝露シナリオが使用できるため詳細評価に向いていると考えられた。
結論
諸外国における化学物質のリスク評価で用いられる優先順位付け方法を調べ、スコア化による優先順位付けは非常に有効であり、既存スキームに必要に応じて家庭用品規制法の意図に即した情報を追加してスコア化する方法が最も効率的と考えられた。毒性情報収集法では化審法スクリーニング評価に倣い、段階的な情報を提案する。評価対象物質について、既存のグループ化やその評価結果が妥当と判断された場合はその評価結果を使い、活用できない場合は独自にグループ評価を試みる必要がある。用途情報は記載用途の正確性等から、国内情報源を優先し必要に応じて諸外国データの利用が望ましいと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2021-10-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-10-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202026010Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
24,000,000円
(2)補助金確定額
24,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,910,760円
人件費・謝金 5,266,121円
旅費 0円
その他 16,823,119円
間接経費 0円
合計 24,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-07-28
更新日
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