東南アジア地域で国際共同治験を計画する際の留意事項に関する研究

文献情報

文献番号
202025034A
報告書区分
総括
研究課題名
東南アジア地域で国際共同治験を計画する際の留意事項に関する研究
課題番号
20KC2010
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
頭金 正博(名古屋市立大学大学院薬学研究科 医薬品安全性評価学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤 嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
  • 佐井 君江(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部 第一室)
  • 宇山 佳明(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 医療情報活用部)
  • 熊谷 雄治(北里大学 医学部附属臨床研究センター)
  • 川合 眞一(東邦大学 医学部 炎症・疼痛制御学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
20,964,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
東南アジア諸国での医薬品の有効性と安全性に関する民族差の原因となる内的要因と外的要因を明らかにすることによって、ICH E17におけるPooled populationの考えを東南アジア地域へ拡大適用する際の留意点を明らかにすることを目的とする。具体的な研究対象地域としては、台湾及び東南アジア諸国で治験が活発化している国(タイ、インドネシア、ベトナム、シンガポール等)を主な対象に、内的要因としての遺伝子多型、外的要因としての併用薬(用法・用量)、診断基準、臨床・治験環境に関する調査・検討を行い、総合的に東南アジア地域を含む国際共同治験において、日本との国・地域差をもたらしうる要因を明らかにし、東南アジア地域で国際共同治験を計画する際の留意点等の情報を提供することを最終的な目的とする。
研究方法
データベースを用いた有効性の解析
PubMed、EMBASE、医中誌及び医薬品医療機器総合機構が公表している申請資料概要と審査報告書を利用し、システマティックレビューを実施した。
用法用量及び副作用診断基準等調査
インターネット上で公開されている添付文書情報を利用して用法用量等を調査した。
副作用報告データベース解析
 各国のVigiBaseへの登録開始時(大半は2010年以降)から、2020年10月4日時点までに登録された全症例報告データを用いて解析した。
治験状況の実態調査
 2018年度及び2019年度に承認された医薬品のうち、国際共同治験のデータが主たる臨床成績であった品目を対象に、PMDAのホームページで公表されている審査報告書、申請資料又はClinicalTrials.gov の情報をもとに、対象とすべき調査項目や情報収集の可能性を検討し、探索的に個別品目の情報を収集した。
臨床試験と医療実態の調査
 タイ、ベトナム、インドネシアの3国について医療環境、臨床試験の状況につき公表された資料、論文、書籍を検索し、臨床試験を行う環境について検討した。
(倫理面への配慮)
 本研究は公表された臨床試験データを用いた2次解析になるので、ヒトを対象にした医学系研究に関する倫理指針等の対象には該当しない。
結果と考察
東南アジア諸国での医薬品の有効性と安全性に関する民族差の原因となる内的要因と外的要因を明らかにするために、直接経口抗凝固薬(DOAC)およびアリピプラゾール、メトトレキサートを対象にして東南アジア地域あるいはアジア地域を含む国際共同治験のデータを用いて有効性の民族差について検討したところ、内的要因が関与する差は認められず、投与量の違い等の外的要因による影響が大きいことが示唆された。各国の規制当局からWHOに報告された副作用症例報告のデータベースを用いて、各国の規制上の違いも反映した症例報告の実態、ならびに副作用報告のプロファイルの特徴を検討したところ、日本及び東アジア諸国で認められる薬剤ごとに特徴的な副作用は、東南アジア各国でも共通に有意に検出されることが確認された。また、東南アジア地域での実診療下での用法・用量や国際共同治験の実施状況、臨床試験環境について調査を行ったところ、東南アジア地域での用法・用量については、概ね、欧米いずれかの記載をそのまま又は参考に導入している傾向にあると推定された。また、国際共同治験の実施状況、臨床試験環境については、日本が参加している国際共同治験に関し、実施地域として欧米だけでなく、東南アジアや南アジア地域の参加が確認できた。東南アジア地域での臨床試験の環境について、タイ、ベトナム、インドネシアを対象にして公表資料等を元に調査をしたところ、各国について、臨床試験を計画する際に重要な背景情報、医療の状況、臨床試験の概況についてまとめることができた。
結論
東南アジア地域あるいはアジア地域での有効性及び安全性の民族差について検討したところ、内的要因が関与する差は認められず外的要因による影響が大きいことが示唆された。また、東南アジア地域での用法・用量については、概ね、欧米いずれかの記載をそのまま又は参考に導入している傾向にあると推定された。国際共同治験の実施状況についての調査からは、日本が参加している国際共同治験に関し、東南アジアや南アジア地域の参加が確認できた。タイ、ベトナム、インドネシアでの臨床試験の環境について調査をしたところ、各国について臨床試験を計画する際に重要な背景情報、医療の状況、臨床試験の概況について情報を入手した。

公開日・更新日

公開日
2021-07-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-07-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202025034Z